2014年12月27日土曜日

マッサン

ニッカウヰスキーの創業者竹鶴政孝氏夫妻がモデルの朝ドラ。以前、氏の人生を描いた本を読んだことがあり、ドラマにするのによい題材と思ったが、どうも視聴率がふるわないらしい。ストーリーがあまり面白くないという向きもあるが、もう一つの理由としてニッカウヰスキーの競合のサントリーがPR活動を妨害しているとの記事を読んだ。確かにドラマでは同社がまがい物の酒類を売って成長した歴史が忠実に描かれているし、ドラマの効果でニッカのウィスキーが売れると得をするのは同社の親会社で商売敵のアサヒビールだ。しかしドラマでは鳥井、佐治、寿屋(サントリーの前身)といった実名は一切出てこないし、視聴者が今のサントリーと結びつけることもないだろう。むしろ竹鶴氏が最初にウィスキー造りをした同社の山崎蒸留所のウィスキーのよい宣伝にもなるように思うのだが。

2014年12月20日土曜日

最高裁裁判官国民審査

予想通りの結果となった衆議院選の期日前投票に向かう途中、通知書の封筒を見て初めて最高裁裁判官の国民審査もあることに気づいた。民主主義の基本である一票の重みの平等を否定するような最高裁の判決に疑問をもっていたため、そのような判決に加担した裁判官は容認してはならないと思いつつ、投票所の目の前まで来て、各裁判官のスタンスを調べるためにわざわざ家まで引き返す気にもならなかった。ふと思いついてスマホで「最高裁」「国民審査」とグーグってみると、『最高裁裁判官の国民審査で、一人一票反対派判事(3名)に×印を付けて、一人一票を実現しよう!』なるサイトが上位にあがってきた。そしてそこに掲載されている情報をもとに票を投じた。選挙と違って注目度が低く、今後も国民審査で罷免される裁判官が出て来るとは思えないが、それでもネットの力を使って最高裁の判決に疑問をもつ国民の声を集め、その集票をもって一定のメッセージが伝われば国民審査もあながち無駄なことではなくなるように思う。

2014年12月13日土曜日

政見放送

政見放送で候補者の目線を見ると、一見カメラを見ているように見えて、たいがい左右に動いてカンペを丸読みしているのがわかる。それをごまかすためか、政権与党はあえて候補者を斜めからとらえて目線の動きがわからないように「工夫」している。長い台詞を覚えるのが難しいのだろうが、主張したいことがあるのならカンペなどに頼らずにアドリブでやってほしいものだ。政見放送を見ていてもう一つ思うのが政権与党の巧みさだ。前政権が国民の信を問わずに消費増税を決めたことを批判し、そのことに多くの国民が共感して政権交代を達成したわけだが、国会議員の定数削減という自身の公約はまったく守られていないし、守る気も感じられない。そして政見放送でその問題に言及する与党候補は見当たらず、皆「景気は回復しつつある」、「景気回復の恩恵を地方に」、「この道しかない」などと国民の最大の関心事である経済政策一本にしぼって、巧みに関心をそらしている。また、国民の年金を大量に株につぎ込んでいることには触れず、景気の回復で株価が上がっているような錯覚を与えている。こうしたある種の「悪賢さ」がないと選挙には勝てないのが世の現実のようだ。

2014年12月6日土曜日

アベノミクス

NHKのニュース番組でアベノミクスについて語っていたW大の教授と国立H大の教授。前者は肯定的、後者は否定的であったが、実質所得の減少が消費を低迷させ、経済の縮小を生んでいるというH大の教授の的を得た分析に対し、円安が進めば製造業が国内に回帰するなどと語るW大の教授の見識のなさに驚いた。日本の多国籍企業の多くは過去の輸出モデルから「地産地消」型への転換を目指して市場の拡大が見込まれる海外に出ていっているわけで、円安になったからといって市場が縮小することがわかっている我が国に製造拠点を戻すはずなどない。政府が取るべき対策についてもH大の教授が規制緩和のみと述べたのに対してW大の教授は低所得者層への現金支給などとわけのわからないことをいう始末。W大の凋落ぶりは教授の質にも表れているのか。今月の総選挙は来年が大変な年になることを暗示しているように思える。アベノミクスがうまくいき、来年政権の支持率が上がることが見込まれれば何も今選挙をやる必要などない。今の経済政策に疑問をもっていても、野党に投票するまでの決断がつかない人が多いことを見透かした解散と思われるが、このあたりは政治巧者といえよう。低投票率の中で低得票の与党が安定多数を確保するという結果が容易に予想される。

2014年11月29日土曜日

ブランド価値

イオンの失速は安い量産品を求める人々と、多少高くてもプレミアム感のある商品を求める人々との二極化が進んでいることを象徴しているかもしれない。今週西日本でお会いした業界関係者は、後者の商品を求める顧客層が買い物をする大丸ピーコックを買収し、前者の商品を売るイオンのお店に変えてしまったことがイオンの失敗の一例といわれたが、確かに都心に住んでいたときに利用していたピーコックは購買力のある人々が住む地域に立地し、イオンや西友よりワンランク上の商品を置いていた気がする。ピーコックの消滅で兵庫県あたりではいかりスーパーが後者の層の支持を一身に受け、大繁盛していると聞く。我が古巣ソニーの凋落を見てもプレミアム感のあるブランドをもつことの大切さが実感される。私が在籍していた20年前はオーディオ製品が市場シェアでトップを占め、正に飛ぶ鳥を落とす勢いだったが、今にして思えば量産ビジネスに大きく舵を切り、しかも品質管理が不十分でさんざん不良を起こしていたことがソニーブランドがもつプレミアム感を失わせたように思う。アジアや欧州ではかなり名の知れていたアイワを完全子会社化したときには安い量産品と高いプレミアム商品とでブランド分けする好機だったが、ときのマネジメントはなぜかそれをやらなかった。ブランド価値を毀損してまで市場シェアを追うことが正しかったのか。ここに来て答えが出ているような気がする。

2014年11月20日木曜日

W大の没落

我が母校W大が永遠のライバルK大の滑り止めに成り下がっているという記事を読んだ。最近の調査で両校に合格した学生の大半がK大を選ぶことがわかったというものだが、長年W大のピントはずれな経営を見てきた者としては驚くに値しない。やみくもに学部を新設し、学生数を増やすだけ増やせば当然粗製乱造となってクオリティは落ち、「需給バランス」も崩れ、同大卒であることの価値が下がる。そして価値の下がった卒業証書をもらうためにその大学を選ぶ学生が減るのも当然のこと。学部を新設するにしても世の中のニーズを的確にとらえ、学生に魅力的に響く名前にし、実態が養豚場の跡地であってもイメージを考えて湘南キャンパスと名づけるK大の経営陣との経営センスの差は歴然としている。さらに投資銀行時代に採用活動に関わった際に感じたのは、K大の学生の方が実践的な知識やスキルを身につけていて採用したくなるということだ。また、記事でも語られている同窓生同士が協力し合うのもK大の魅力だろう。W大の者はよくK大の人たちを指して「すぐにつるむ」とあたかもそれが好ましからざることのようにいったりするが、学生同士、OB同士が協力し合って何ら悪いことはなく、お互い協力し合うことこそ日本人の美徳だろう。私もたまにはW大のOBの集まりに参加することがあるが、同年代の同窓生とは「子どもを入れるならWではなくKだよね。」という話をしている。自分が通った大学の価値が下がるのを見るのは実に寂しく、嘆かわしいことだが、付属校まで増設して肥大化してしまったW大が再びK大のライバルに値する大学になる道筋は見えない…。

2014年11月15日土曜日

昭和町

久しぶりの福山。今回は府中の企業を訪問するための前泊だったが、現地のお付き合い先にお誘いを受け、夜一緒に食事をさせて頂いた。駅近くの居酒屋で地元料理に舌鼓をうった後、二次会で飲み屋街昭和町のスナックに連れて行って頂いたが、そこは絨毯敷きの広々とした快適な空間だった。人と会食する機会も少ないので、たまにこうした機会があると楽しくなってついついウィスキーや焼酎をひたすらストレートで飲み続けてしまう。今回もそのパターンで、タクシーでホテルに戻り、エレベーターに乗る前まで覚えていたが、その後の記憶がなかった。ところが、翌朝目覚めると背広はきちんとハンガーに吊るしてあり、コンタクトレンズも外してちゃんとしまわれていた。記憶がないなりにきちんと行動している自分に感心するとともに、人といる間は一定の緊張感を保ち、記憶をとぎらせなかったことに一抹の安心感を覚えた。

2014年11月9日日曜日

原発

最近のニュースで原発事故の避難訓練だの、30キロ圏内の自治体云々と聞いて違和感を覚える。原発を推進し始めた当初は絶対安全といっていたことがすっかり忘れ去られてしまったようだ。原発事故が起きる確率は「地球に巨大隕石が衝突する確率と同じくらい」といっていた御用学者に再び表に出てきて弁明してもらいたいものだ。こうした大前提が変わってしまってもなお、原発を続けるというロジックがよくわからない。原発の経済性の主張も再び事故が起きないという前提に立ってのことであり、そうであれば避難訓練など必要ないはずだろう。島根原発がある松江の知人が原発は麻薬のようなものといっていた。補助金に依存しないと生きていかれなくなり、一度やってしまうともうやめられない麻薬と同じだというのだ。今回の川内原発の再稼働へ向けた地元自治体の動きを見てなるほどと納得した。

2014年11月1日土曜日

因果応報

同じW大のOBということでお招きを受けた野田前総理の講演。消費増税や尖閣諸島の国営化を決断するに至った背景、TPPをめぐるオバマ大統領との初会談の際に彼の心をとらえるためにやったこと等の裏話が聞かれたが、選挙公約を守らず、早々に政権を失った点についての総括はなく、国会に戻らなければならないとのことで質疑応答なしに終わった。そんな氏が所信表明演説を行った際にやはりW大出身の自分の父親と比較して侮辱した自民党の女性二世議員が経済産業大臣に任命され、“女性初の総理候補”などともてはやされていたので、それについてどう思うか聞きたいところであったが、父親から地盤を引き継いだだけで野田氏のような苦労もしていないであろう彼女がその後父親から引き継いだ支援団体のあからさまな利益供与が原因で辞任に追い込まれる様を見て「因果応報」という言葉が頭をよぎった。

2014年10月25日土曜日

ネコパブ

今週は全世界から弁護士6,000人が集まる大きなイベントが東京で開かれ、それに併せて英国のクライアントが来日した。会場が皇居に近い東京国際フォーラムだったこともあるかもしれないが、開会式では安倍総理が開会の辞を述べたばかりでなく、天皇皇后両陛下までお出ましになったのだから政府の力の入れようが推察される。通常海外からの来客があると夜のお付き合いもするものだが、今回は5人が来ていて、そのうちの一人が東京のナイトライフについてネットで調べ上げていたため、私は何もせずに済んだ。それどころか東京に住んでいる私ですら知らないネコパブ(ネコカフェなら聞いたことがあるが…)やらロボットバーやらに行き、カラオケはビッグエコーと決めていたのだから、そのネット検索力に驚かされた。世界中がネットでつながり、スマホが普及した今、ガイドブックを片手に旅行をする光景は過去のものとなってしまったようだ。

2014年10月19日日曜日

ファッション

最近、商用で紳士服を扱う会社の人と会う機会が増えた。高級衣料品を扱う店の担当者は見るからにいい服をセンスよく着こなしていて、ふだん服装に頓着しない私は大いに反省させられる。やはりいい服は見てすぐにわかるし、ネクタイやシャツの色合いやコーディネートは着ている人のセンスをうかがわせる。パーティーでつける蝶ネクタイを買うために入ったイギリスの紳士服屋でいちばんいいスーツを勧められ、その光沢のある生地の美しさに魅せられて衝動買いしてしまったことがあるが、こうしたものはシャツなどと違い、大事にしていれば長く使えるものなので、自分のイメージアップ?のためにももう少しお金をかけるべきかと考えさせられる。

2014年10月11日土曜日

医者が国を滅ぼす?

ものもらいになったためオフィスの近くの眼医者に行ったところ、視力検査だの眼底検査だの、ものもらいとはおおよそ関係がなさそうな検査をされた。特に眼底検査は区の検診でやることになっていたので必要ないといったのにやるのだから、あからさまな診断報酬点数稼ぎだ。しかしこうした経験は初めてではない。何年か前にお腹をこわして当時住んでいた荻窪の町医者に行ったところ、“念のため”検査入院をした方がいいと阿佐ヶ谷の総合病院に紹介状を書かれ、一泊二日の間にレントゲンだの血液検査だの、腹痛とはおおよそ関係がない検査を何度もされ、さらに病室は個室しかあいていないといわれ、驚くような金額を請求された。必要のない検査をやること自体どう考えても不正行為だし、荻窪の町医者が阿佐ヶ谷の病院と結託していたことは明らかだった。しかし国家財政が危機的な状況にあるときに、私腹を肥やすことしか考えていない医者が何と多いことか。だが、さらに恐ろしいのが“うつ病”のテレビCMを流す人々だ。リストラの嵐が吹き荒れる私が元いた会社では精神的に落ち込む人がいて、下手に医者などに行ったら薬を処方され、薬効が切れるとその反動でさらに落ち込み、本当に精神病になってしまいかねない。病院の精神科に勤める知人の奥さんによると薬を処方された後に自ら命を絶ってしまう人が後を絶たないというが、精神科の医者がそうした事実を知らないはずがあるまい。こうした医者たちのためにどれだけの人たちが必要のない検査を受け、必要のない薬を投与され、場合によっては病気を治すどころか悪化させていることか。こうしたことがまかり通るのが与党の支持母体である医者の政治力によるものだとすれば、日本もずいぶんと“病める”国になってしまったものだと思う。

2014年10月4日土曜日

火山噴火予知

一大惨事となった御嶽山の噴火。「火山噴火予知」連絡会の事務局を務めながら、深刻な事態が明らかになって早々に「噴火の予知は難しい」と会見で語った気象庁の主張がまかり通りそうな雰囲気だが、噴火が起きた直後、かの公共放送は噴火の2~3週間前に地表に近い浅いところで一日に数十回の地震が起き、それが2日も続いたと報じていた。ところが気象庁から噴火の予知が難しいというコメントが出てから、この報道がすっかり鳴りを潜めてしまった。天気予報で世話になっている気象庁に気を遣ってのことかもしれないが、果たして今回の反省なくしてこうした惨事の再発は防げるのか。一日に何十回も地震が起きるからには地中で何かが起きていたことくらい素人でもわかるわけで、その事実を知らされずに登って犠牲になった人々は浮かばれない。かつて山登りをしていた身としては入山禁止にしないまでも、せめてそうした火山活動の活発化を示す兆候について知らされた上で、自己責任で登るかどうかを決めたい。火山災害から国民の命を守るべき機関がこうしたことだと、日本の火山は怖くてどこも登れない。

2014年9月27日土曜日

クリエイティブ産業

ディズニーに勤める人とゴルフをご一緒した。ゲーム製作を担当されているとのことで、アナ雪のようなヒット作が生まれるとそのキャラクターを使ったあらゆるものが売れるという。映画、DVD、ゲームと“使い回し”ができるキャラクター物の商売は、こつこつと新しい製品を開発し続け、原価をかけて製造し、人手をかけて販売するメーカーにとっては実にうらやましい商売といえよう。しかもミッキーマウスのように陳腐化しないキャラクターであれば、長期的に収益をあげ続けることができる。日本でミッキーレベルの人気を獲得しているキャラクターはキティだろうか。先日洗濯バサミまでキティのものを使っているキャディーさんが、「キティは今年で40歳なんです。」というので、「ずいぶんおばあさんだね。」と冗談めかしていうと、「私も今年40なんですけど。」といわれた。もちろんネコ年齢のことをいっていたのだが…。キティショップはアイスランドの小さな町でも見かけたくらい世界的な人気になっているようで、このキャディーさんのような固定客を獲得して大きな収益をもたらしていることは想像に難くない。こうしたキャラクターものを好むのは女性が多いようで、ミッキーやキティのようなかわいい動物系が受けるようだ。くだんのキャディーさんが手ごろなサイズのステンレスボトルも持っていたので、「それいいね。」といったら「安かったから買いました。」といわれた。日頃は財布の紐が固い人をも緩ますキャラクターの力を改めて認識させられた。

2014年9月20日土曜日

スコットランド

スコットランドの独立騒動。当事者でもなく、同じような問題も抱えていない日本のメディアがちょっと騒ぎ過ぎだったのではないかと思う。投票の直前に某英国メディアのネットを使った世論調査で独立賛成派が反対派をわずかに上回ったのが一因かもしれないが、そうしたネット調査は往々にして世論を正確に反映しておらず、投票結果を見ると反対派が賛成派を終始上回っていたと見るのが正しいだろう。10年前に仕事で初めてスコットランドの最大都市グラスゴーを訪れたとき、ちょうどサッカーの欧州選手権が行われていた。夜、訪問先の人に連れられて様々なタイプのバーをはしごしたが、どこに行ってもサッカーの試合を放映していて、皆大いに盛り上がっていた。スコットランドは弱いので(失敬)、早々に敗退しているのになぜこれほど盛り上がるのかと不思議に思ったが、しばらくして皆、イングランドの対戦相手を熱心に応援していることに気づいた。スコットランドが敗退したら同じイギリス(UK)のイングランドを応援してもよさそうなもので、地元の人になぜイングランドの対戦相手を応援するのか聞くと、「敵の敵は味方(enemy's enemy is a friend)」と答えた。北海の油田の税収があればスコットランドは豊かな国として独立できるという話は当時からあったが、その後独立を党是に掲げる民族党が復活したスコットランド議会で政権を掌握し、今回の住民投票に至ったのも、その根底にはこうしたスコットランドの人々の反イングランド感情があったものと想像される。今回独立派が負けた形にはなったが、独立運動を盛り上げて住民投票を行ったことで中央政府から自治権の拡大という対価を受けるという“実”を得ることになったのだから、大したものだ。

2014年9月13日土曜日

気の治療学

お世話になっている施術師の勧めで買った本。人間の健康にまつわることが色々と書かれているが、食品添加物が人体に与える影響に関する記述が特に興味深い。現代人になぜがんや花粉症が多いのか。確かに昔の人との違いの一つは食品添加物を日々摂取するようになったことだろう。そして使用が許されている添加物が人体に与える影響は実は立証されていない(すぐに目に見える症状を起きないだけ)という。また、こうした添加物が使われている駅弁やコンビニ飯は素材本来の味がなくなってしまっているというのもまさに共感した。最近の若い人に味覚障害が多い(マヨラー等がそのいい例)というのも食品添加物が蔓延した後に育った世代だからだろうか。しかし、外で調理済みの食材を買う場合、添加物が使われていないものを探すのは難しい。こうしたものを食べると後で気持ちが悪くなる私は、なるべく添加物が少なそうなものを買うようにしているが、ない場合は食べること自体をあきらめてしまう。「食中毒を起こされると会社の存亡に関わるから」という発想かもしれないが、果たして食品添加物をじゃんじゃか使っている業者たちは“お客様”の健康を少しでも考えているのか、はなはだ疑問だ。

2014年9月6日土曜日

東海道新幹線

新幹線嫌いの私も名古屋や京都への出張があると仕方なく利用する。その度に耳にするオーストラリア訛りの英語のアナウンスに、長年東京に住んでいても北関東弁が抜けなかった母方の祖父母のことを思い出す。新幹線のアナウンスをしているのはドナというオーストラリア人女性で私も一度会ったことがあるが、JR東海がアメリカ英語ではなくイギリス英語を求めたのに対して自分はイギリス英語ができるといって仕事を受注したと聞く。「8号車」の8を“アイト”と発音する彼女の発音はイギリス英語とは程遠いが、おそらくJR東海の人にはそれがわからなかったのだろう。(自分たちで聞き分けられないのに、なぜイギリス英語を求めたのかは不明。)では彼女が嘘をついてまで仕事をとろうとしたのかというと、必ずしもそうとはいえない。というのもオーストラリア人の中には自分たちがイギリスの標準語を話していると本気で思っている人がいるからだ。アメリカ留学中にクラスメートだったシドニー出身の“ダイビッド”(デイビッド)など、自分たちは(アメリカ人と違って)クイーンズ・イングリッシュを話すと得意げにいっていたものだった。私の祖父母は東京に住んでいた年数の方がよほど長かったのに最後まで訛りが抜けなかった(栃木と茨城でお互いに相手が訛っているといっていたが、孫の私には区別がつかなかった。)そんな話を宇都宮出身の新聞記者の知り合いにしたところ、栃木の人間が訛りが抜けないのは皆、標準語を話していると思っているからだといった。(彼の親戚はU字工事の漫才を聞いて、我々はあんなに訛ってない、とU字工事とまったく同じ訛りでいうそうだ。)新幹線のアナウンスがオーストラリア英語というのは日本語のアナウンスが北関東弁であるのに等しく、イギリス人やアメリカ人からは大いに違和感があるといわれるが、中には「面白い」とか「親しみがわく」と感じる人もいるのかもしれない。しかしそれはJR東海が意図したことではないだろうし、長年使い続けているということはその事実にすら気づいていないのではないかと思う。

2014年8月30日土曜日

ブラック企業

イメージが大切なはずのビューティーサロンや、おとぎの国であるはずの遊園地の運営会社までその過酷な労働実態が明るみに出て、いつの時代もこうしたことはなくならないものだと感じた。このビューティーサロンの経営者はテレビのバラエティ番組でその金満ぶりを披露していたが、資本主義の世の中ではいかにうまく搾取の構造を築くかが金持ちになるコツだったりするので、驚くには値しないだろう。一方、ブラックといわれる居酒屋チェーンの経営者は、コメンテーターとしてテレビ出演したり、国会議員選挙に出たりしていたが、このあたりもブラックな実態とは異なるイメージを作る意図があったのかもしれない。かつてはブラック企業という言葉すらなかったが、そうした言葉ができたおかげで労働者への極端な搾取に歯止めがかかるようであれば好ましいことといえよう。

2014年8月24日日曜日

シングルマザー

「昨夜東京に着いたんだけど、明日会えない?」大学院時代のアメリカ人(女性)クラスメートからの突然のメール。翌日は東京にいてアポイントも入っていなかったため、ランチを一緒することになった。7年前に彼女の地元シアトルで会ったときに「親は誰でもいいから早く結婚してほしいと思っている」と話していたが、その後別のクラスメートから彼女が人工授精で子供を産んだと聞いた。今回会った際には二人目の子の話を始めて、同じ方法でもう一人子供をもうけていたことを知った。昨年は別のアメリカ人クラスメートも結婚することなく同様の方法で子供を産んだと聞き、こうしたことがアメリカではそれほど特異なことではなくなっていると知った。しかし彼女たちも40歳代のいい歳だ。本邦では夫が子育てを手伝わないと批判を受ける時代になっているが、彼女たちは夫の助けもなく一人で子育てをしているのだから、大したパワーだと感心する…。

2014年8月17日日曜日

ハリポタ

「今年の夏休みはディズニーランドが空いているらしいですよ。」とバイトの女の子がいった。何でも大阪のユニバーサルスタジオで始まったハリーポッターのアトラクションが大人気で、その煽りを受けているそうだ。そのせいか来週の大阪出張のホテルがとれない…。昨年来、大阪のホテルの予約が取りにくくなり、料金も急騰したのは京都に来る外国人観光客が増えたためだと聞いていたが、これにハリーポッターが加わったとなるとどうしようもない。それにしても遊園地の一アトラクションが大阪ほどの大都市のホテルを満室にしてしまうほどの集客力があるのには驚かされる。コアなファン層を獲得した人気小説を映画化し、その後DVDとして売り出すところまではよくあることだが、それを遊園地のアトラクションにするというのは三度ならず四度美味しい、魅力的なビジネスといえよう。行列が嫌いな私は遊園地のアトラクションで2時間並ぶなど想像できず、夏の蒸し暑いさなか家族サービスに励む親たちには頭が下がる。

2014年8月9日土曜日

ねぶた

「ほんと思いつきなんだけど…」突然電話をかけてきた幼馴染がこう切り出した。何かのお誘いと直感したところ、「ヒロシのところに行かない?」と続けた。ヒロシといえば青森に移り住んだ幼馴染で、市内で人気のカラオケ店を営んでいる。聞けば青春18切符の広告を見て、無性に自由旅行がしてみたくなったのだという。大企業に勤め、前の週には家族旅行でグアムに行った模範的人生を送る同級生が、一人でインドにバックパッキング旅行をした20代の頃の気持ちを残しているのが微笑ましい。世界自然遺産の白神山地に行き、その後青森でなぶたを見るということだったが、私は月曜日と火曜日の2日しかあいていなかったため、青森のねぶただけ合流することになった。人の家に泊まるのも気づまりなのでネットでホテルを探したところ、唯一空いていた部屋が狭いと評判のチェーンホテルが一泊2万円もして驚いた。ヒロシの店の前がねぶたの運行コースになっていて、最前列の特等席から見事なねぶたを間近に見ることができた。今年はまとまった休みが取れず、旅行も諦めていたが、幼馴染の思いつきのおかげで短いながらも思いもかけず楽しい夏休みを過ごすことができた。

2014年8月2日土曜日

英語で夢を見る楽しみ

長年ソニー創業者の故・井深大氏に仕え、今は翻訳家をされている浦出善文氏から最新の著書を頂戴した。ベストセラーとなった「英語屋さん」をはじめとする数々の著書をもつ浦出氏は小生の大学のゼミの先輩で、氏にOB訪問したのがきっかけでソニーに入社することとなった。本書は財界誌に連載された「英楽通法」を抜粋・編集したもので、楽しく読ませて頂いたが、とりわけ共感したのは某公共放送も平気で垂れ流す変な和製英語に関する記述だった。“パワーハラスメント”のように一見それらしくて正しい英語と勘違いしそうなものは特にたちが悪く、多少なりとも英語に親しんできた私も恥ずかしながらこれが和製英語とは知らなかった。しかし子ども時代をアメリカで過ごした私が最初に違和感を覚えた和製英語はほかでもない、ソニーの大ヒット商品の“ウォークマン”だった。だがこの言葉は私と同じように違和感を感じていたであろう欧米の人々の間でも商品名としてすっかり定着したのだから、その商品力を物語っているといえよう。

2014年7月26日土曜日

ダイエットコーラ

「ふつうのコーラでよろしいでしょうか?」ゴルフ場の食堂でコーラを注文したらウェイトレスに聞かれた。メニューのコーラの下にダイエットコーラと書かれているのは百も承知で、なぜわざわざ確認するのか。そんなに私が太って見えるのか。ランチタイムのレストランに行くと「サービスでご飯を大盛りにしますか」とよく聞かれる。これも痩せている客や女性客にも聞いているのだろうかと考えてしまう。久しぶりに自分の写真をソーシャルメディアにアップしたところ、さっそく太ったとのコメントが来て被害妄想になってしまっているのだろうか…。

2014年7月19日土曜日

座席指定

羽田空港の自動チェックイン機で事前に席を予約していた連れの近くに座ろうと座席指定の手続きをしていたところ、突然画面が切り替わり、最初の画面に戻された。もう一回手続きに入ったところ、今度は連れの近くの席がとれないばかりか、機体の最後方の席しか選べなくなっていた。先ほどの画面では空席がたくさんあったのにどうしたことだろうと思いながら飛行機に乗り込んだところ、機体の前方に客が集まっているものの、いくつか空いている席もあった。連れの近くの席に移動したいと客室乗務員に申し出たところ、機体のバランスをとるために後方に人を座らせる必要があるのだと説明された。大型のジェット機がその程度のことでバランスを失ってしまう恐れがあるというのは意外で、体重もわからない人を何人か後方に乗せたからといってそれほど違いが出るのか疑問だったが、我々一行の中で「バランスをとる」要員としてもっとも効果的なのが自分であったことも否めなかった。

2014年7月12日土曜日

3位決定戦

「3位決定戦はこのようなビッグトーナメントにはふさわしくなく、決してやるべきではない。さらにブラジルは1日休みが多く、フェアでない。準決勝進出という好結果を残したにもかかわらず、3位決定戦に負けることによって2連敗する可能性があり、そうなったら好結果を残した大会をまるで敗北者のように去らねばならない。」3位決定戦を前にオランダの監督はこう語ったという。まさに仰る通り。トップになることが重要な大会で、一方に不利な条件で3位決定戦をやる合理性があるのか。番狂わせで勝ち上がった国でもない限り、3位で帰っても4位で帰っても扱いはさして変わらないだろう。ならばトップ4という成績で帰してやるのが選手にとっても一番いいのではないだろうか。

2014年7月5日土曜日

そばつゆ

大阪で乗ったタクシーの運転手さんと「うなぎとうどんは関西の方が美味しい」という話で共感した。私が「でもそばはやはり東日本」といったところ、「でもなぜあんなにつゆをしょっぱくする必要があるんですかね」と一言。これはしょっぱいつゆを当たり前と思って育った東の人間には考えも及ばない、まったくもって真っ当な指摘だった。確かに江戸っ子が「つゆはちょっとだけつけるのが通」などというのは、つゆの味が濃すぎるからかもしれない。それなら最初からもっとマイルドな味にすればいいものだが、そのあたりのセンスがないのはやはり歴史が浅く、雅さのない武家社会だったためか。そんな運転手さんが関西の料理で勧めてくれたのがはもすき。はもといえば京都で食される淡白な白身魚の印象だが、実はいい出しが出るのだという。これほどグルメな人がいうのであれば美味しいに違いなく、大阪に行く楽しみが一つ増えそうだ。

2014年6月27日金曜日

スケープゴート

都議会のやじ問題を見て改めて彼の政党の体質が何ら変わっていないことを認識した。所属議員の間にかん口令を敷いた末に出した結論が、より悪質な発言ををした議員を守るために、相対的に悪質性が低いやじを飛ばした中堅議員に謝罪させるということのようだ。この議員が会派を離脱してけじめをつけたように見せているが、いずれ復帰する申し合わせができていることは想像に難くない。そもそも問題が大きくなったときに記者からの質問に対して「誰が発言したのか特定するのは難しい」などと答えた与党議員団の代表や、発言者の処分の求めに対して「誰がいったかが特定されておらず要件が不十分」としてこれを拒んだ議長の不誠実さには驚く。(発言した人物の周囲に座っていた人がわからないはずがない。)ふだん請求されるままに都民税を払うだけで都議会での議論に注目したこともなかったが、これほどレベルの低い人たちが議員をやっているとは想像もしなかった。しかしこうした人たちを選んでいるのは都民であり、この一件は都民のレベルを反映しているともいえよう。こんなことでオリンピックの開催都市に値するのだろうか…。

2014年6月20日金曜日

誤審報道

ブラジル・クロアチア戦の西村主審の判定に関する国内と海外の報道の落差に驚く。素人目にもブラジル選手の演技にまんまと騙されたようにしか見えないが、本邦では「…が西村主審の判定を擁護」などといった記事が目立つ。一方、海外の報道は少なくとも英文のメディアを見る限り誤審であったことを前提に、PKだけでなく、ブラジルのネイマールがクロアチアの選手にレッドカードとすべきエルボーをしたときにもイエローカードにしかなかったことを挙げ、この試合を通じた彼の判定の公平性に疑問を投げかける報道が目立つ。西村氏がその後の試合で主審から降格されたことを見れば、FIFAも暗に彼が公平性を欠いていたことを認めているように思われる。以前の大会でも開催国や特定の国に明らかに有利な判定をする審判がいたが、日本人審判がこのような形で批判の的となるなど想像しなかった。また、この誤審問題に限らず、世界ランキング40位以下の国が32か国しか出ていない大会で一次リーグ突破の可能性が高いなどと報じる本邦メディアの客観性を欠いた報道もいかがなものかと思う。

2014年6月14日土曜日

ウィルス対策ソフト

「あなたのパソコンは危険に晒されています」。ウィルス対策ソフトがスキャンを終えた後にノートパソコンの画面に現れたメッセージ。「対策をとる」のボタンを押すと、新しいソフトウェアの購入を勧める画面に移行した。待てよ、ついこの間も同じ画面に誘導されて新しいソフトウェアを買ったばかりなのになぜ何度も買わされるのか。メールでソフト会社に尋ねたところ、2016年まで有効の基本ソフトを購入済みなので、この間買った追加のソフトすら不要であったことが判明。すぐに返金の要請を行った。購入を促す表示がされるのはパソコン内に【Security Scan Plus】がインストールされているからで、これはAdobe Flash Playerをインストールまたは更新した際に、オプションとしてインストールされる「無料のウィルス診断ソフト」だという。いやいや、無料の診断ソフトといえば誰しもインストールしてしまうが、それが必要のないソフトを何度も買わせるための細工だったら客を騙す悪質な仕掛け以外の何物でもない。そもそも基本ソフトで保護がされているのにも関わらず、パソコンが危険に晒されているなどと表示されるのは明らかな診断ミスだろう。さらに回答メールには「もし【Security Scan Plus】がご不要の場合は、 お手数ではございますが、アンインストールしていただければと存じます。アンインストール方法につきましては、技術的内容となりますので、弊社テクニカルサポートセンターをご案内させていただきます」と書かれていた。同じやり方で騙されている人たちが相当いることは想像に難くなく、こうした商売のやり方がまかり通っていることに驚くしかない…。

2014年6月7日土曜日

雲仙

今週は久しぶりに長崎県の雲仙を訪れた。思えば前回来たのは普賢岳が噴火する前だった。当時の様子は実はあまりよく覚えていないのだが、岩崎弥太郎の元別荘という当時三菱セメントの社員寮となっていた宿で出た料理が実に美味しかったことは今でも思い出す。下界よりも涼しくて緑が深く、温泉も実にいい。にもかかわらずホテル街は人の気配がなく、大型のホテルや旅館が廃墟のように建ち並んでいる。実に寂しい光景だ。今回は宿泊先のホテルが主催するウォーキングツアーに参加し、雲仙の歴史について知る機会を得た。もっとも印象深かったのが、長崎に住む外国人の避暑地のイメージが強いこの地が、高野山や比叡山よりも100年も前に開山した霊山で、一時は千人を越える修行僧がいたということだ。当時のお寺が残っていれば高野山以上の価値があったというが、キリスト教徒たちの焼き討ちにあって焼失してしまったという。本邦で日本史を習うとキリスト教徒たちが迫害されたというイメージしかもたないので、これは意外な史実だった。それにしてもアクセスが悪く観光客が減り続けているという雲仙。仏教遺跡もない状況で、どうしたら盛り返せるのか…。

2014年5月30日金曜日

ホテル予約

出張のホテル予約は国内外を問わずネットで済ませるようになって久しい。しかし最近になって気づいたことがある。それは同じ予約サイトでもほかの国のものを使った方がいい条件で泊まれることも、その逆もあるということだ。最近ホテルの稼働率が高い大阪の梅田周辺では料金が上がっているだけでなく、間際では予約が取りづらくなっている。日本のサイトで空きがないので、ダメモトで海外のホテル予約サイトを見たところ、何と日本のサイトではすべて完売となっていたホテルにまだ空きがあり、しかも料金が安かった。ホテルの側で国ごとあるいはサイトごとに割り当てを行っているのだろうか。今週はシンガポールに出張していたが、滞在が延長になり、現地のサイトからもう一泊予約しようとしたら満室になっていた。ところがその会社の日本のサイトにアクセスするとまだ空きがあり、さらに値段も安かった。日本人観光客は海外で歓迎されるというが、そのあたりが表れているのだろうか。確かにホテルの口コミ欄を見ると極端に低い評価をつけてボロクソにけなしているのは日本人以外が多く、一方日本人は不満があっても一番下の評価はあまりしない。同じ会社が運営しているサイトでも国によって空き状況や値段が違うというのは思いもよらなかったことで、今後も困ったときは他の国のサイトもクロスチェックすることにした。

2014年5月23日金曜日

新国立競技場

日本建築家協会が新国立競技場の建設に反対しているという。私も完成予想図を見て、「なんじゃこりゃ?」と思ったので、周りの景観とまったくマッチしないと感じていたのは私だけではなかったことに安心した。周囲に何もなければ斬新でいいかもしれないが、今の国立競技場のある場所にあのようなデザインの建物を建てるセンスが理解できない。それにしてもなぜ本邦はオリンピックがらみのことになるとこうしたセンスを欠いたことばかりが起きてしまうのだろうか。その最たる例が選手たちが着るユニフォームだ。日本を代表するとされるデザイナーを起用しているはずなのだが、素人目にも「何で??」というようなデザインや色遣いばかりだ。2020年はホスト国なので、もう少し何とかしてほしいものだが、あのような競技場のデザインを採用しているようでは期待薄かもしれない…。

2014年5月18日日曜日

イギリスのタクシー

無駄に広いばかりで乗り心地のよくないイギリスのタクシー。ベンツがふつうにタクシーとして走っているドイツとはえらい違いだが、今週出張先のロンドンで乗ったうちの一台はドアが自動で開閉し、乗客が座る後部座席にはセルフサービスでクレジットカード決済ができる端末までついていた。座席の乗り心地の悪さや車内の無駄な広さは相変わらずだったが、そもそもタクシーのドアが自動で開くなどというのは日本人以外は喜ばないと思っていたので、ちょっと意外だった。目的地に到着してセルフでクレジットカード決済をしようとしたら機械が故障していて、運転手の手動でも決済ができなかったあたりは大らかな?イギリスらしい…。

2014年5月10日土曜日

海鮮丼

久しぶりの山口出張で宇部空港を利用。早めに着き、小腹がすいていたので店の前のバナースタンドに「海鮮丼税込み1,500円」と切れのいい数字を謳う和食屋に入る。フライトの時間が迫ったので会計に行くと、何と1,640円請求された。自分の記憶違いかと思い、そのまま支払いを済ませて店を出ると、やはりバナーには「税込み1500円」と書かれている。ところが入口の脇にさりげなく置いてあるメニューには税別となっていた。消費税が5%だったときも、ルールに反して価格を税別表記しているレストランはせこさが表れていて印象が悪かったが、それでもメニューの下に小さく税別である旨を書いてあったりした。それに対してこの店は税抜の価格を税込みと書いてバナースタントで客の目を引くように出しているのだから詐欺行為だ。空港のレストランはフライトまでの時間つぶしに使うので、こうしたことが起きても文句をいってもめている時間はない。それを見越してのことなのかはわからないが、こんなことをする業者を日本の空港で見たのは初めてで、いやな気持ちで山口を後にすることとなった。

2014年5月4日日曜日

発電コスト

特需工事をめぐる脱税が話題の浜岡原発の防潮堤工事。関連工事も含めておよそ3千億円かかるという。原発がいちばん安い電力源だというが、事故を防ぐための防潮堤などの建設費用や、福島のように事故が起きたときの対応費用、使用済み核燃料の処理費用などを考慮に入れないランニングコストを比較しているのだとしたらまったくのナンセンス。資源が乏しい国だから原発が必要という議論を聞くが、地震や津波といった天災が多い国ほど安全な操業を確保するのが難しく、コストもかさむ。先進国といわれる国の多くが新たな電力源にシフトする中、20世紀の技術を「トップセールス」で海外に売り込もうとする姿は時代遅れ感が否めず、効果もわからない防潮堤に3千億円もかけるくらいなら、危険な原発は廃炉にできるように新たなエネルギー源の開発に使ってはどうかと思う。

2014年4月27日日曜日

景気回復

ホテルの稼働率や新幹線の混雑状況が景気を反映しているとすれば、少なくとも西日本の景気はよくなっているように見える。大阪では昨年まで驚くほどリーズナブルな料金で泊まれていたホテルが値上がりし、1週間前には満室になっていたりする。また、ロケーションがいいだけのホテルがやたらと高いことをいったりするようになり、「お前はいつからリッツカールトンになったんだ?」といいたくなる。岡山や京都でも同じような状況が見られ、朝夕の新幹線も結構な混み方だったりする。これでお客さんの財布のひもがゆるんで、うちのフィーも上げられればいいのだが…。

2014年4月19日土曜日

踊り食い

唐津に住む知り合いからの食事のお誘い。いつも美味しい店に招待して頂くので九州出張の楽しみになっているが、今回は旬の白魚の踊り食いと聞いてちょっと引いてしまった。以前東京で一度だけ食べたことがあるが、メダカのような小さな魚を生きたまま食べるのは抵抗がある。とはいえ、せっかくご招待頂いたのに食べないわけにもいかない。網杓子で掬って酢が入ったたれに入れると元気にはねていた魚が程なくしてあまり動かなくなった。どうやら酢の影響らしい。白魚自体は味がしないが、老舗のたれは絶妙で美味しかった。それにしてもなぜ踊り食いなるものが支持されるのか不思議だ。伊勢で伊勢えびを食したときは角を左右に動かされ、恨めし気に睨まれているようでとても楽しめなかった。白魚の場合はまだましだが、それでも魚自体がとびきり美味なわけでもないので、あえて生きたまま食べなくとも…と思ってしまう。

2014年4月13日日曜日

須藤君

幼馴染の実家のトンカツ屋で食事をしていると、日に焼けたロン毛のおじさんが入ってきた。一人で店を切り盛りしている幼馴染のお母さんが彼の姿を見て「あら」といい、私の方を向き直って「誰だかわかる?」と聞いた。幼馴染と共通の知り合いとなると小学校か中学校のクラスメートだが、そのロン毛のおじさんの子ども時代の姿など想像もつかなかった。一方、彼は私の方をじっと見て「たけうち?」と聞いてきた。どうやら私は昔の面影を残しているようだ。おばさんに相当ヒントをもらってようやく小学校時代に一度だけクラスが一緒だった須藤君だとわかったが、丸顔であること以外は昔とずいぶん風貌が変わってしまった。彼はアメリカ帰りだった私のことが印象に残っていたらしく、私自身が覚えていない当時のことを話した(これがいちばん恥ずかしいパターン)。聞けば今は工事現場の監督をしていて(なるほど日に焼けるはずだ)、被災地にも出向いているという。大学時代のクラスメートであれば同じような道を進んでいる人が多いが、小学校時代となるとずいぶんと道が分かれる。帰り際に「じゃあ、また。」と連絡先の交換もせずに別れた。果たして彼と再び会うことがあるのかわからないが、長年会っていなかったクラスメートが元気にやっている様子を見るのは悪くないものだと思った。

2014年4月6日日曜日

吉野の桜

一生に一度見ておきたいものに吉野の桜があった。東京育ちの私にとって百人一首の歌に詠まれた吉野は一種憧れの地で、その桜の見事さも耳にしていたからだ。今週は週末前の金曜日に大阪での商用の後に奈良でアポイントが入り、絶好のチャンスとなった。宿泊先の橿原神宮近くの宿の人にまだ咲いていないといわれたが、ここまで来たら行かずに帰るわけにはいかない。しかし、いざ吉野に着いてみるとやはり麓の桜はまだつぼみの状態で、そのまま引き返そうとも思ったが、話のタネに日本最古のケーブルカーに乗って中腹まであがることにした。すると何と山の中腹の桜は満開に近づいていた。山の上の方ほど咲くのが遅いと思っていたが、どうやら日当たりなどが関係しているようだ。これで山一面の桜が満開になったらさぞ見事だろうと思わせる密集ぶりだった。それにしても咲いている時期が短い桜は遠出をして見に行く場合、ベストのタイミングを見極めるのが難しい。たまたま桜の時期に行った弘前城があまりに見事だったので、後年に母と伯母を連れて再訪したが、開花の時期が遅れて一輪も咲いていないことがあった。今回は吉野の桜よりも大阪の桜ノ宮周辺の桜の方が見応えがあったが、吉野も来年以降またトライしたいと思う。

2014年3月29日土曜日

政治家

猪瀬氏に続いて渡辺氏。政治家はかくもお金がかかる生業なのかと認識を新たにした。選挙に出るだけでそれほどお金がかかるなら、新しい政党や既存の政党の後ろ盾がない候補にとってはかなり参入障壁が高い世界といえよう。しかしこれは誰のための政治をするかという根本にかかわる問題だ。政治家に大金を工面する企業経営者が善意でそのようなことを行っているはずもなく、お金がグレーなものであればあるほど、医療法人の経営者に世話になった政治家は病院の払下げで便宜を図らずにはいられないだろうし、薬事法で規制されている化粧品などを扱う会社の社長が規制緩和を唱える政党を支援するのはそれなりの目的があるだろう。(この社長を知る人によると、九州の出身高校が甲子園に出場したときくらいしか寄付もしたことがないという。)渡辺氏の政党が政策に影響を与えるくらい勝利していれば、今回のようなリークもなかったかもしれない。そして我々がこうした日本の政治の裏側を目の当たりにすることも。

2014年3月23日日曜日

シンガポール

2年ぶりのシンガポール。今回は当地に赴任している商社の友人が遊び相手になってくれ、週末に一緒にゴルフをした。一人当たりGDPで日本が抜かれたのは記憶に新しいが、聞けば今や当地のたいがいのものは日本よりも値段が高くなっているという。ローカルの人は官僚が金儲けがうまいというが、腐敗も癒着も天下りもなく、国の経済発展に結びつく合理的な判断を繰り返してきた結果と考えられ、既得権益の保護のために様々な規制を設けようとする日本の官僚と入れ替えてもらえないかとさえ思う。

2014年3月15日土曜日

ワセジョ

STAP細胞発見のニュースに、我がW大出身の理系女子が何たる偉業を成し遂げたのだろうと驚き、感心したが、ここのところちょっと雲行きが怪しくなっている。ほかの論文の転用やコピペはさすがにまずかろうと素人目にも思えるが、肝心のSTAP細胞の存在有無については結論が出ていないようだ。それにしても時代は変わったと思う。W大の文系の学部に通っていた私のクラスにも女子は2人しかいなかったので、理系となるともっと少なかったのではないかと想像する。超マイノリティーであるうえに、自分たちの垢抜けなさを棚にあげた男子学生らからある種蔑称的に「ワセジョ」(早稲田の女子学生の略語と思われる)と呼ばれていた。それが今ではW大出の女子は珍しくなくなり、多方面で活躍している。今回の「発見」は理系ワセジョの地位を高めるきっかけになるかとも思われたが、残念ながら逆の方向に行きそうな雰囲気だ…。

2014年3月8日土曜日

ロックリン

広島のバーで知人と飲んでいると、バーテンダーの青年がテキサス出身というアメリカ人の客と話しているのを耳にした。その会話を聞くともなしに聞いていると、その青年のおばさんがアメリカ人と結婚してカリフォルニア州のサクラメントに住んでいるということがわかった。サクラメントといえば私が高校のときに留学していた地域の中心都市で、カリフォルニアの州都とはいってもロスやサンフランシスコとは比べるべくもない小さな町だ。広島のバーで耳にするなど思いもよらず、つい話しかけてみると、おばさんがいるのは実はサクラメント郊外の、シエラカレッジという大学がある名もない町だという。そのシエラカレッジがある人口数千人のサクラメントよりもはるかに小さな町こそ(「ロックリン」という名前はちゃんとある)私がホームステイしていた町で、ほとんどありえない偶然に驚いた(ソニー時代の同僚がロックリンの隣町の高校に通っていたことを知ったとき以上の驚き)。思えばサクラメントの周辺に住む日系人はそのほとんどが広島の出身かその末裔で、日系人が集まるバーベキューパーティーに行ったときに2世と思われるおじさんに「日本人なのに宮島に行ったこともないのか」といかにも広島セントリックなことをいわれたのを思い出す。彼のおばさんがロックリンの寿司屋で働いていると聞き、昔はあの町に寿司屋などなかったといったら、「僕が行った4年前からありましたよ」といわれ、20歳代にとっての昔と40歳代の昔の時間軸が大きく違うことを思い知らされた…。

2014年3月1日土曜日

現代のベートーベン

一連のゴーストライター騒動を見て、『現代のベートーベン』などと持ち上げたメディアの浅はかさを感じた。よく特定の人物を取り上げて、ヒーローに仕立て上げる番組を目にするが、ビジネスに絡むことをやっている人たちの場合、その実像は美化されるようなものではない可能性がある。今回の騒動の渦中にある人物が身障者を装っていたとしたら、それは本当に障害をもつ人たちにとっては迷惑なことで、批判されてしかるべきだろう。ただ、ゴーストライター氏の曲作りの才能は非常に高いものがあり、曲のイメージを組み立てたのが渦中の人物であったなら、彼の才能も否定できない。クラッシックというマイナージャンルで世に出るためにこんなことをしなければならなかったとすれば皮肉なことに思える。

2014年2月22日土曜日

砂上の楼閣

時事通信社解説委員の鈴木美勝氏による「パンドラの箱を開けた安倍政治と外交の行方」と題する講演を聞いてこの国の先行きが不安になった。靖国参拝に対するアメリカの反応に慌てふためいている様を見て、そんなことも予想できない政府・外務省で大丈夫なのかと漠とした不安をもったが、安倍政権の最大の売りであるはずの経済面でも暗雲が漂い始めている。ジョージ・ソロス氏が日本株を売り始めたという話を聞いてはいたが、財務省の高官によると、先月行われたダボス会議で安倍総理と直接会ったソロス氏が所謂アベノミクスの第三の矢である規制改革に対する覚悟を探ったのだそうだ。このあたりは既得権益を支持基盤をしている政党であるがゆえに私も大いに疑問に思っていた点だ。その後に日本株を売り始めたとすれば、最近の株価下落の流れと一致する。前政権への失望や景気回復への期待感から高い支持率を維持しているが、貿易赤字が過去最大になり、経常黒字が限りなくゼロに近づく中で、「砂上の楼閣」、「嵐の前の静けさ」といった言葉が頭にちらついた。

2014年2月15日土曜日

オリンピック

冬季オリンピックはモーグルやスノーボードなど、ふだんテレビであまり放映されない冬のスポーツをまとめて見ることができるめったにないチャンス。そうした中で気になるのがいつもながらのメダル、メダルの大合唱だ。これまでに金メダル有力といわれて実際にとれた選手がほとんどいないことに気づいているのかいないのか、それともそんなことは関係ないと思っているのか…。実際にやっているアスリートは「そんな簡単なものじゃない!」といいたいのではないかと察する。今回も金メダル候補と騒がれた人がメダルもとれず、あまり注目されていなかった人たちがメダルをとっている。そしてさんざん期待を煽りながらメダルをとれなかったときの手の平を返したような扱いの軽さといったらない。本当にメダルをとってほしいのなら要らぬプレッシャーをかけるべきでないと思うが、なぜ毎回同じことを繰り返しているのかが不思議だ…。

2014年2月8日土曜日

都知事選

これまでにも誰が勝つか明らかだった選挙はあったが、それでも意思表明のためにあえて投票に行っていた。しかし今回の都知事選はなってほしくない候補はいても、これといって入れたい、あるいは入れてもいいと思う候補がいないので困る。じゃんけん後だしをしたり、誰かの応援を受けないと出馬しないといったような候補は好かず、少なくとも筋の通った人に入れたいが、その筋の通った人たちは政策に共感できなかったり、応援している人がいただけなかったりする。(いつもながら、自分が応援することで票が逃げることを自覚していない人が多いように思う。)いつもはさっさと投票する候補を決めて期日前投票をしてしまうところだが、今回はついに投票日当日を迎えてしまった。こんなことだと足元の悪い中、わざわざ投票所に足を運ぶ気にならない…。

2014年2月2日日曜日

首都機能移転

最近すっかり話題にのぼらなくなった首都機能の移転。政治も経済もここまで東京に集中してしまって、次の震災が起きたらこの国は一体どうなってしまうのだろうか。全国の都道府県をまわって思うのは、移転先として名古屋がもっとも適しているのではないかということ。トヨタ自動車のお膝もとだけあって道路も整備されているし、空港も二つある(中部と小牧)。そして何より日本の人口分布からいって東京が東に寄り過ぎているのに対して名古屋は中間に近く、関東からも関西からも2時間以内で行かれる。しかし名古屋に首都機能を移転することに賛成する人はあまりい見かけない。どうやら閉鎖的といわれる土地柄がイメージを悪くしているようだ。しかし首都機能が移転し、人の流入が増えれば、そうしたところも変わるのではないだろうか。そして何より小麦から麩を作るときにできる副産物や鰻の切れ端を高級和菓子や高級和食に仕立て上げる知恵が全国に伝われば、国の経済にもポジティブな影響があるかもしれない。

2014年1月25日土曜日

もつ鍋

出張で訪れた福岡。空港を出ると正午過ぎというのに気温は3℃という寒さ。この日最後の面談でお会いした人に「こんな日はもつ鍋がいいですね」といわれて、その晩の夕食が決まった。ホテルの人に勧められるままに天神にある店に行ったところ、壁一面に芸能人やらプロスポーツ選手やらの色紙が貼ってあり、いやな予感。案の定、お冷を頼むとワンドリンク制といわれてほしくもないソフトドリンクを頼まされ、鍋ができるまでの間に食べるおつまみを注文するようにいわれ、食べたくもない辛子明太子ソーセージを注文。さらに会計のときに酒も飲んでいないのにお通しと思しき500円がのっけられて、もつ鍋を食べに行っただけなのに、えらく高くついてしまった。有名人の色紙を壁一面に貼っているような店は往々にしてCPが悪いかたいして美味しくないことは経験上わかっているのだが、さすがに入店してみないとわからないことなので避けるのが難しい。有名人も色紙にサインするように頼まれると断りづらいのはわかるが、こうした店だと本人のイメージにプラスにならない。

2014年1月18日土曜日

出雲大社

前週の伊勢神宮に続いて今週は出雲大社に参拝した。思えば何年か前に初めて出雲大社を訪れたときには修造工事のためにすでに本殿が覆いに囲われてしまっていたので、実際に拝むことができたのは今回が初めてだった。出雲大社は伊勢神宮に比べてアクセスが悪く、冬場は雪が積もることもあるので、ちょっと気合いを入れ、時間に余裕をもたないと行かれない。しかしそれでも旧正月の前に行っておきたかったのは、伊勢神宮の遷宮が20年に一度であるのに対して出雲大社は60年に一度といわれているので、私が遷宮の年に参拝できるのはどう考えても最初で最後になるからだった。あのまま本殿を拝むことなく終わらなくてよかった…。

2014年1月12日日曜日

お伊勢参り

遷宮の年にお参りするといいと聞いていながらタイミングを逸してしまった伊勢神宮と出雲大社。しかし、こうしたことは旧暦の暦が基準となるので、今月31日の旧正月までにお参りすれば遷宮の年内であることを知り、にわかに計画を立てた。思えば伊勢神宮には中学校時代の修学旅行で行ったきりで、人生二度目となる。東京から日帰りでお参りを済ませていた兄夫婦から、観光客がどっと押し寄せる前に行くとすんなりお参りできると聞いていたので、朝早く宿を出た。中学時代に長い道のりを歩き疲れた記憶があったが、今回は比較的ゆっくり歩いても3時間ほどで外宮と内宮の両方を参拝し終え、我ながら大きくなったものだと思った。しかし朝早く出すぎたせいで、おかげ横丁の店が開いておらず、楽しみにしていた伊勢うどんが食べられなかった…。それにしても伊勢神宮があるおかげでこの地の人たちがどれほど恩恵を受けてきたことだろうか。今年(旧暦)は遷宮の年とあって私のように特に信仰心があつくない人間でもお参りに来ているが、そうでなくても修学旅行生を含めて多くの人々が伊勢を訪れていることは想像に難くない。信仰の対象というのは一朝一夕にできるものではなく、不動の地位を築いている寺社がある地域は観光客の誘致に一生懸命のほかの地域にとってはうらやましい限りだろう。

2014年1月3日金曜日

役職定年

久しぶりに飲んだサラリーマン時代の先輩の口から出た言葉。思えば私の先輩たちもそのような年代に差しかかっているのだ。会社をやめて10年以上もたち、まったく別の世界に身を置いていると、今社内で起きていることにあまり関心をもてなくなるが、それでも自分が若手社員だった頃のことは鮮明に思い出す。当時の先輩たちの近況について聞くと、仕事そのものの実力よりも、そのときどきの権力者にうまく取り入るポリティカルなスキルに長けていた人たちがそれなりに出世していて、仕事ができてもポリティカルな部分がなかった人たちは平凡に「役職定年」を迎えていることを知った。会社に在籍中は後者の人たちをリスペクトしていたが、そうした人たちが子どもの教育が終わる前に定年を迎えてしまうことを心配していることを知り、大手企業の、特に間接部門では前者が正しい生き方だったのだろうかと考えさせられた。