2017年8月26日土曜日

戦争責任

終戦の日の頃に放映された池上彰氏の番組は実に興味深かった。それまで昭和天皇の戦争責任について議論として耳にすることもなかったが、番組では1945年の初めには敗戦が不可避ということも、特攻隊のことも知らされていたにも拘わらず、「相手にもっと打撃を与えてから講和した方が有利」といって戦争を続けたというから意思決定権者であったことは確かなようだ。また、これは原爆投下はもとより東京大空襲の前のことだったので、もっと早く戦争を終わらせていればどれだけの人の命が助かっただろうかと考えずにはいられなかった。番組では元特攻隊員が当時のことを語っていたが、本当に志願した人などほとんどいなかったことも初めて知った。こうしたことをきちんと学校で教育していれば、安易にタカ派的な発言をして人気を得ようとする戦争を知らない世代の政治家も生まれなかったのではないかと思う。

2017年8月20日日曜日

レイシスト

米バージニア州で白人至上主義者が引き起こした騒動。トランプ大統領が差別主義者の側を明確に非難しなかったことで批判を受けたが、アメリカに顧客をもつカナダの企業経営者が共和党支持者は皆隠れレイシスト(人種差別主義者)といっていたことを思い出した。誰も差別主義者とは思われたくなく、特に異人種がいるところではそれを表に出すことはないので、こればかりは白人どうしでないとわからないことなのだろう。KKKなど過去のものと思っていたが、差別主義者がいなくなっているわけではなく(日本にもしっかり存在していることは我々もわかっていること)、それがトランプ大統領支持層とだぶるためにここぞとばかりに表に出てきているものと思われる。振り返って、そうした資質の大統領にあからさまにスリスリするスネ夫的首相というのもいかがなものかと思う。

2017年8月15日火曜日

ミサイル騒動

北朝鮮のミサイルが上空を通過する県の知事がこぞって官邸を訪れ、首相に住民の安全確保を要請したのは実に滑稽だった。万一発射されてそれらの県の上空を通過したとしても飛行機のような高度を飛ぶわけでもないのだから、破片が落ちるなどの被害が発生する確率など、飛行機事故に巻き込まれるよりよほど低いだろう。自民党しか当選しない島根の知事がほかの知事を従えている様は、「ミサイルを発射しないように圧力をかける」と応じる首相と相まって、必要以上に危機を煽って他の問題から目をそらし、政府の求心力を高めようとする思惑にさえ見えた。それにしても人もあまり住んでいないのに一人張り切る島根の知事とは対照的な、ほかの知事のテンションの低さは印象的で、高知の知事など「こんなアホなことに付き合わされて迷惑千万」とも見える顔をしていたのが面白かった。

2017年8月13日日曜日

企業文化

10年余り前に完成した、元いた電機メーカーの新本社ビル。それ以前の借りビルの本社に比べて見るからに立派な建物だが、メーカーの倹約カルチャーは変わらないらしく、夏場の室内の温度設定は28度だという。どんなに立派で近代的なビルで働いていても28度の高温の中で仕事をさせられては生産性もあがらないだろう。本社ビルの中で涼しいのは役員フロアだけという話を聞き、そうしたカルチャーも相変わらずと思った。私が高輪のオフィスにいたときに、役員は火事の際にはしご車が届かない11階より上の階にはおかないと聞き、「将来ある若手社員が火事の犠牲になっても先の長くない役員は守りたいんだ」と失望した記憶がある。最近ゴルフをご一緒した某大手石油会社の元監査役は国際線のファーストクラスで隣り合わせた同電機メーカーの社長のところにエコノミークラスに座っていた部下がやってきて跪いて指示をメモするのを見て「ずいぶんひどい会社」と思ったそうだ。元同僚たちとそのような話をしながら、好きな温度設定で仕事ができる今の幸せを感じた。

2017年8月5日土曜日

高値掴み

ベトナムの企業買収案件を紹介した関西の食品流通大手。紹介したベトナム企業は同国トップクラスでこの上ない組み合わせなのだが、既に昨年同国で同業を買収したのでしばらくは見送りたいと告げられた。同社の有価証券報告書によると、このベトナムの会社を買うのに30億円を超える金額を払ったようだが、当該企業はうちが紹介した会社より規模も質も劣り、10億円でも払い過ぎと思われた。さらにネットで調べるとこのベトナムの会社には私もホーチミンで面談したことがある同国の首相の娘が始めた会社がアドバイザーについていたことがわかった。このベトナムの会社の情報を開示してもらうのにお金まで払わされたというから、海外での企業買収に無知であることにつけ込まれてやりたい放題やられたことが想像される。3千億円でブラジルの会社を買って1千億円減損処理したキリンビール、6千億円でオーストラリアの会社を買って4千億円減損処理した日本郵政、6千億でアメリカの原発会社を買って7千億減損した東芝は論外としても、日本企業の高値掴みは相変わらずのようだ。買い手側である日本企業にもアドバイザーはついていたはずだが、買い手側のアドバイザーも買収価格が高くなればなるほど報酬が増えるので、適正価格で買わせようという動機づけは働きづらい。また、アメリカであれば経営陣は責任追及を免れないが、日本は官民ともにアカウンタビリティが欠如しているので緊張感も反省もなく同じことが繰り返されるのだろう。