2015年7月25日土曜日

チャレンジ

投資銀行時代、不正経理問題で話題の総合電機大手のT社には何度か伺ったことがある。会う相手の地位により、通されるのが応接室だったりオープンな会議スペースだったりしたが、後者ではベテラン風の女性が喫茶店のウェイトレスのごとく手慣れた手つきでお客に飲み物をふるまう様が印象に残っている。同社では「チャレンジ」と称して事業部門が利益のかさ上げを迫られていたと報じられているが、私がいた電機メーカーの事業部門ではその呼び名が「気合い」だった。もちろん根拠のない数字なのでそのような抽象的な呼び名がつく。また、報道で聞かれる「必達目標」という言葉の響きも懐かしいくらい、よく似たことが行われていた。ただ、T社との違いはインフラ系の事業をやっていなかっただけに、費用の計上を遅らせるなどの不正がやりづらく、営業利益をよく見せるために、上客の要請に素直に従う監査法人の「理解」のもと、営業外扱いだった収入を営業利益に含めたりというのがせいぜいだった。しかしこんな小手先のことをやってもいずれはつじつま合わせをしなければならなくなり、後の世代に負担を残すだけだ。社長の体面を守るために、こうしたことに手を染めさせられる社員は実に気の毒だと思う。

2015年7月18日土曜日

ミニマリスト

必要最小限のもので生活するいわゆるミニマリストが30代の人の間で増えているという。テレビで紹介されたミニマリストの生活に共感した。もともとシャンプーだの歯磨き粉だのといった昔の人が使っていなかったものが本当に必要なのかが疑問だったが、特にシャンプーは石油が原料の質の悪い界面活性剤が使われていて、頭皮のたんぱく質を破壊し、抜け毛のもとになるという話を聞き、使うのをやめている。このミニマリストは液体石鹸一本で体中を洗っているといっていたが、私は固定石鹸のみで何の支障も感じられないばかりか、シャンプーを使っていたときのような抜け毛もすっかり減った。調理器具も鍋と蓋付きのフライパンがあれば色々なものが作れ、素材さえよければ手の込んだものほど美味しいわけではないことも経験的にわかっている。部屋が散らかりだすと掃除が億劫になり、また要らぬものをため込んでしまうことも経験的にわかっていて、今後はミニマリストを目指して不要なものを捨てて行くようにしたい。

2015年7月11日土曜日

身元保証

転職する親族から頼まれた身元保証。思えば私も大手電機メーカーに勤めることになったときにそのようなものの提出を要求され、父親以外に叔父にも頼んだ記憶がある。本邦で昔から行われてきた慣習とはいえ、自分が採用した社員が問題を起こしたときにほかの人に責任を押しつけようというのだから、虫のいい話だ。雇った社員が思いのほか働きがよく、会社に貢献をしたからといって身元保証をした者に恩典があるわけではないので、アップサイドがゼロの不平等契約にも思われる。身元保証を頼まれるのは初めてだったのでどういったものかをネットで調べてみると、身元保証人がその社員に対して責任を負わなければならない期間は保証書に書かれていなければ3年、書く場合でも法律上許容される最長は5年とあった。渡された保証書を見ると5年と書かれている。合法とはいえ、入社してから5年間も社員に対する責任を負わせようというのだから、そうしたことを要求する会社にはどうしてもマイナスイメージをもってしまう。

2015年7月4日土曜日

新国立競技場

新国立競技場の建設費が当初の予定を900億円も上回るとのニュースを聞き、日本人もクオリティが落ちたものだと思った。作る計画だった屋根や自動移動式の座席を作らず、徹底的にコストを削っても当初計画の1.5倍以上かかるというのだから、建築資材の値上がり云々の問題ではなく、計画自体がでたらめだったとことは誰の目にも明らかだろう。こんなでたらめなことが起きたことについて納得のいく説明もないまま、「2520億円になった。今後、国費の負担を抑える工夫をしていきたい。」さらには改築費の一部を東京都に負担してもらいたいなどと平然といってのける文科大臣にも呆れるし、責任の所在についてつっこもうとしないマスコミにもがっかりだ。そんなレベルの人たちがやっていることだから、おそらく2520億円というのも現実的な数字ではなく、作ってみたらもっとかかってしまったということになるのだろう。2020年のオリンピックを境に経済的には衰退への道をたどるであろう我が国だが、オリンピック開催から10年も経たないうちに財政破たんし、最近はデフォルトまで取りざたされている彼の国のようにならないと果たして誰がいえるだろうか。