2018年5月26日土曜日

指揮官

批判の的となった日大の記者会見。テレビで断片的に見ただけだが、MCを務めた同学広報部長の発言に笑ってしまったのは不謹慎だっただろうか。(詰めかけた記者たちも笑っていたので、私だけではないと思うが。)方や親に付き添われることもなく淡々と事実関係を語った加害選手の行動は後手後手に回って事態を悪化させ続けた日大とは対照的で実に効果的だった。(被害者側の選手の親が単独で記者会見を開いたのには驚いたが、政治家(市議会議員)と知って納得した。)それにしても辞職した日大の前コーチのような人が戦時中の旧日本軍の指揮官で、戦闘に加わっていない一般の人に危害を加えるように命じたら、追い詰められた部下の兵士はそれに逆らえただろうか。日本人にはまじめな人が多く、まじめな人ほど精神的に追い詰められやすい。そう考えると今回の出来事は決して笑えない。

2018年5月19日土曜日

危機管理

答弁と矛盾する事実が次々に明るみに出てついに国会で前言を訂正した経済産業審議官。ただ、なおも覚えていないはずがないことを記憶にないといい続け、新たな嘘までついたことで愛媛県の反発を招いた。前国税庁長官のときと同様、与党が国会招致をしぶる間に政権側が当人たちと口裏を合わせたものと想像するが、国のトップエリートがたちの悪い世襲議員の下僕と化し、みっともない姿を衆目に晒す(本人にどれほど羞恥心があるかはわからないが)のは見るも哀れな光景だ。現政権は証拠が出ない限り嘘をつき通すというスタンスを貫いたことが裏目に出た形だが、アメフト部員の危険なプレイで窮地に立たされた日大は映像や試合後の監督の発言等の動かぬ証拠がありながら、すぐに事実関係を認めて引責すべきを引責させなかったために傷口を広げてしまったといえよう。いずれもトップに立つ人間を守ろうとしておかしなことになってしまった点が共通するが、国の民主主義の根幹に関わる点で事の重大性は大きく異なり、国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会がないがしろにされるようになってしまった国の先行きが気になる。

2018年5月12日土曜日

アイドル稼業

「強制わいせつ」というと深刻な響きだが、実際に暴行を働いたわけでもないという。にもかかわらず、仕事を失うという極端な制裁を受けなければならないのは夢を売るアイドルだからだろうか。芸能人という立場上、表沙汰になったときの影響は容易に想像できるわけで、事務所を通じて示談するのではなく、知り合った番組の放送局に抗議を入れ、警視庁に被害届まで出しておきながら「この過ちで一人の人間の未来がすべて奪われてしまうことは望んでいない」などというのは偽善的。「徹底的に制裁を加えたかった」という方がまだ実際の行動と整合性がある。そもそも酔っ払ったおじさんが一人暮らししている家に出かけていった自分の娘に非はないとでもいうのだろうか。所属していた省までもが認定したセクハラを最後まで否定し続け、退職金を少し減額されただけで逃げ切った元官僚と比べてもバランスが悪い気がする。

2018年5月5日土曜日

国外脱出

付き合いのあった部品メーカーの社長からの挨拶メール。何と会社をそのままにシンガポールに生活の拠点を移したというではないか。知人が勤める会社の創業者も会社を上場させた後に同国に移住。インサイダー取引で逮捕された元通産省官僚のファンド経営者がさっさと同国に移ったのはよく知られた話だが、税金が安く、富裕層にやさしいことだけが理由なのかが気になる。特にくだんのファンド経営者は官僚時代に「滅びゆく日本」という近未来小説を書いている。移住者を多く出す国は問題を抱えていることが多いが、特に海外に出かける機会が多く、入る情報も多い富裕層がほかの国を選ぶというのは決していい兆候ではないだろう。こうした人たちがなぜ日本を捨てたのかを調査すると、この国が抱える知られざる問題が見えてくるかもしれない。