2019年12月29日日曜日

Risk averse

某大使館の商務官が来日した同国の自治体の代表に行ったプレゼンテーションの中で語っていた日本人ビジネスマン像が実に当たっていて恥ずかしかった。受付もお茶くみもすべて女性という男尊女卑ぶりなど我が国の後進性を顕著に表しているが、笑えなかったのがリスク回避(risk-averse)の傾向が強いという指摘だった。自分が責任を問われないための行動があまりに多いと企業は衰退し、そうした企業が多ければ国も衰退するのではないかと思う。その最たる例が日本の大手企業の意思決定の遅さで、物事を決めるための稟議など、責任の共有といえば聞こえがいいが、要は個人の責任回避の手段にほかならない。海外市場に成長を求める日本企業が増えているが、そのスピードについて行かれなければ商機を逸するだけで、仕事柄そうした例をいくつも見てきた。社内の決裁規定など一朝一夕には変えられないだろうし、変えたくもないだろうから、我が国の凋落も加速度的に進むのかもしれない。

2019年12月21日土曜日

外国特派員

性的暴行事件の被告・原告が外国特派員協会で行った会見と、それを報じる日本のメディアの萎縮ぶりがこの国の報道の自由の衰退を印象づけた。日本のメディアは「刑事と民事とで判断が分かれた」という報じ方をしているが、実際には刑事事件の方でも逮捕状が発布され、海外から帰国する容疑者を警察が成田空港で待ち受けていたのだからクロとの証拠がそろっていたのは明らかだろう。それを官房長官が自らの秘書官として仕えていた刑事部長(現・官房長)に逮捕中止を命じさせたことまで明らかなのに、そうした核心の部分には一切触れようとしない。一方、会見で質問に立った外国特派員は首相や官房長官を名指しにこそしなかったものの、首相と親しく「よいしょ」記事ばかり書いていた被告を救済するために現政権が直前で逮捕を中止させた疑惑に踏み込んでいた。(ちなみに官房長官は自らの懇親企業に対し、被告に資金提供するよう依頼していたというから驚く。)性的暴行を犯しても首相と親しければ警察に圧力がかかって逮捕がとりやめになり、検察も無罪放免にし、マスコミもそのことを報じないような国はもはやまともな法治国家・民主国家とはいえないだろう。

2019年12月14日土曜日

属国

「何十年後かには日本人は皆北京語を話すようになっているよ」大手商社出身の人物がいったちょっと衝撃的な一言。また別の大手商社出身の人は尖閣はいずれかの国に取られると断言した。ビジネスの世界でグローバルに活躍してきた人たちがいうのだからあながちありえない話ではないだろう。現政権はもちろんそんなことは百も承知のはずで、自分の在任中に起こる心配がないと何ら策も講じないものと推察する。我々の世代には関係のないことだが、若い子どもをもつ商社マンは彼らのことを真剣に心配し、海外留学などさせている。貿易交渉であのアメリカ大統領から大きな譲歩を引き出したかの国の交渉力はアメリカの言いなりの日本とは対照的で、指導者の能力の違いが大きいにしても、アメリカが力でねじ伏せることができない相手に成長したことを示す象徴的な出来事と思った。かの半島国はそうしたパワーバランスの変化を敏感に読み取って少しずつ軸足を移しているのかもしれない。しかし長い歴史を見れば産業革命以降に起きた歪が是正され、元の状態に戻りつつあるとも見ることができる。違いは当時とは航海技術も戦闘技術もけた違いに発達しているので、もはや島国だから守られるということはないことだろうか。

2019年12月7日土曜日

劣化

野党の追及にあったとたん、国民の税金で食べている役人が時の政権に都合が悪い名簿を破棄して国民の知る権利を侵害するなどまともな民主国家ではありえまい。記者会見で支離滅裂な答弁を繰り返す晩節の汚し方がハンパない官房長官にメモを差し入れる官僚たちはそのことを恥とも思っていない様子で、この国は一体、政治家、検察、裁判官だけでなく、官僚まで劣化してしまったのかと思った。現首相を守っているのは某指定暴力団で、オレオレ詐欺、振り込め詐欺といった特殊詐欺の類がそうした団体の資金源になっていると与党及び警察関係者から聞いたことがあるが、名簿を破棄しなければならなかったのはそれほどやばい反社系の招待者の名前がそこにあったからと容易に推測される。公費を使った宴会の費用だけでなく、公開の義務がない官房機密費もどこに流れているかわかったものではない。現首相は自分の在任中さえよければいい人物で、何ちゃらノミクスのぼろが出る次期政権は短命に終わるだろうが、今回証拠隠滅で逃げ切ったとしても、いずれ彼の闇の部分が明るみに出ればさすがにお人好しな国民の彼に対する見方も一変するのではないかと思う。

2019年12月1日日曜日

元首相

アメリカの大統領と対等に渡り合い、野党からも一目置かれていた元首相の訃報。かつてはこの国にもあのようなリーダーがいたことを思い出した。片やアメリカの言いなりで、国税で自らの支援者に利益を供与していた疑いが濃厚な今の首相。このような政治家の劣化を生み出しているのは能力本位ではなく世襲議員ばかりを選んでいる国民に原因があるのだろう。司法/検察まで政権におもねるようになり、もはや隣国のことをとやかくいえるような民主国家の体もなさなくなったこの国は、経済の衰退と相まってますます住みにくい国になっていくだろう。財を成した日本人は接する情報量も多く、そんな彼らがどんどんとシンガポールに移住していくのはこの国に見切りをつけているからにほななるまい。