2014年9月6日土曜日

東海道新幹線

新幹線嫌いの私も名古屋や京都への出張があると仕方なく利用する。その度に耳にするオーストラリア訛りの英語のアナウンスに、長年東京に住んでいても北関東弁が抜けなかった母方の祖父母のことを思い出す。新幹線のアナウンスをしているのはドナというオーストラリア人女性で私も一度会ったことがあるが、JR東海がアメリカ英語ではなくイギリス英語を求めたのに対して自分はイギリス英語ができるといって仕事を受注したと聞く。「8号車」の8を“アイト”と発音する彼女の発音はイギリス英語とは程遠いが、おそらくJR東海の人にはそれがわからなかったのだろう。(自分たちで聞き分けられないのに、なぜイギリス英語を求めたのかは不明。)では彼女が嘘をついてまで仕事をとろうとしたのかというと、必ずしもそうとはいえない。というのもオーストラリア人の中には自分たちがイギリスの標準語を話していると本気で思っている人がいるからだ。アメリカ留学中にクラスメートだったシドニー出身の“ダイビッド”(デイビッド)など、自分たちは(アメリカ人と違って)クイーンズ・イングリッシュを話すと得意げにいっていたものだった。私の祖父母は東京に住んでいた年数の方がよほど長かったのに最後まで訛りが抜けなかった(栃木と茨城でお互いに相手が訛っているといっていたが、孫の私には区別がつかなかった。)そんな話を宇都宮出身の新聞記者の知り合いにしたところ、栃木の人間が訛りが抜けないのは皆、標準語を話していると思っているからだといった。(彼の親戚はU字工事の漫才を聞いて、我々はあんなに訛ってない、とU字工事とまったく同じ訛りでいうそうだ。)新幹線のアナウンスがオーストラリア英語というのは日本語のアナウンスが北関東弁であるのに等しく、イギリス人やアメリカ人からは大いに違和感があるといわれるが、中には「面白い」とか「親しみがわく」と感じる人もいるのかもしれない。しかしそれはJR東海が意図したことではないだろうし、長年使い続けているということはその事実にすら気づいていないのではないかと思う。