2019年7月28日日曜日

ファミリー

お笑い芸能事務所社長の釈明会見。ニュースで断片的に見ただけだが、腹を括って事実を認め、謝罪するかと思いきや、説得力のない言い訳を繰り返し、ずいぶんと逆効果なことをやる人だと思った。また、所属芸人を「ファミリー」と呼んでいたが、契約で報酬を約束することもせず、いわゆる闇営業をしなければ食べていかれない状況においた相手がファミリーなら「扶養義務違反」だろう。こうした体質の芸能事務所を徹底的に美化する朝ドラを制作した公共放送もいかがなものかと思う。一方、こうした社長の対応も会社を守るためにやったことと肯定的にとらえる人もいて、見方を変えればその通りかもしれない。事実長時間にわたったという記者会見でももっとも核心の部分、すなわち闇営業を斡旋した芸人が、かつて会社も営業を受けていた先と発言していた点については誰も質問せず、同社と裏社会のつながりについてはついぞあぶり出されなかったようだ。

2019年7月21日日曜日

忖度

今の時代であれば手が後ろに回っていることを繰り返してきた芸能事務所の社長の死去を、そのことを知らないはずはないであろうマスコミ各社がこぞって英雄扱いで大々的に報じる一方で、いわゆる「闇営業」問題で事務所をやめることになった芸人が自分で開いた記者会見はそのまま放映する。この対応の違いは何なのかと考えると、前者は男性アイドル界で独占的な地位を築き、敵に回すと番組が成り立たない恐れがあるのに対し、後者はお笑い業界でトップでも競合も代わりもいて、決定的に敵に回してはならない相手ではないという違いだろうか。それにしても居酒屋チェーンがブラック企業ランキングのトップに選ばれたときはさんざん報じたのに、一大広告主の家電量販最大手が翌年選ばれると一切報じなかったり、同じく大広告主のシャンプー会社に都合の悪い事実は世間に知られつつあることでも一切報道はしない(界面活性剤が抜け毛の元であること)… 若者のテレビ離れが進んでいるといわれるが、代替となっているネットで発信される情報はもう少しまともであってもらいたいものだ。

2019年7月13日土曜日

酷評

おそらく世界の多くの常識人はトランプ政権を「無能」「例を見ないほどの機能不全」と酷評して辞任した駐米英国大使に賛同あるいは同情するだろうが、「情報鎖国」の我が国は少し事情が違うようで、首相が参院選の政見放送でそんな人物を一生懸命持ち上げて自らの外交成果を作り上げようとしている。世界的に見れば恥知らずなことだが、国民がそれがいかに恥かしいことかわかっていないことを織り込み済みなのだろう。(あるいは国際感覚を欠いた首相自身も実はわかっていないかもしれない...。)英国大使の酷評に感情的に反応する子供じみた彼の国の大統領は、国会で都合の悪いことを聞かれて質問には答えずむきになって相手を口撃する我が国の首相の姿と重なり、同じレベルの人間なのだとも感じる。そして両者の国内での支持率は50%を超えない範囲で安定はしているので、両国とも同じ割合で似たような層の有権者がいることを表しているのかもしれない。

2019年7月7日日曜日

血まみれの手

カナダ人の知人がG20で来日したサウジアラビアの皇太子を称してこういった。反体制派のジャーナリストをトルコのサウジ総領事館で惨殺することを命じた疑いが濃厚なこの人物をアメリカ追随がモットーの我が国の首相が何事もなかったかのように笑顔で迎え入れたのは想像される彼の人間性、政治姿勢からして不思議ではなかったが、天皇が赤坂御所で面会し、その「血まみれ」の手と握手を交わしたのにはがっかりさせられた。思えば自らの体制維持のためには国民を餓死させてまで大量破壊兵器の開発に大金をつぎ込み、自らの兄や叔父にまで手をかけた彼の国の独裁者を称賛する米国大統領、その「親分」の心変わりに気づかずに慌てて圧力路線を転換して「前提なし対話」のラブコールを送る節操がなくお間抜けな我が国首相も、善悪よりも自身の利益が優先するという意味ではこうした独裁者たちと同類なのかもしれない。また、そうした人たちが曲がりなりにも直接、間接に国民に選ばれているのだから、両国の国民がこうした状況を許しているともいえるだろう。