2012年2月25日土曜日

関さば


関あじとともに魚の最高級ブランドとして知られる関さば。豊予海峡で獲れ、大分の佐賀関で水揚げされるさばで、旅行で初めて別府を訪れたときに食し、その新鮮さと身のしまり(歯ごたえ)が忘れがたいものとなった。

関さばも関あじもふつうのさばやあじよりも大ぶりだが決して大味ではなく非常に美味。そして何よりも前述の身の締りが東京あたりで食べる刺身とはまったく異なる。潮の流れが速い海峡で泳いでいるため、筋肉が鍛えられ、一本釣りなので、餌に食らいつく生きのいいのが獲れると聞く。

しかし大分に行く用事もそうそうなく、それ以来、もはや食べる機会もあまりないかと思っていたが、ここのところ商用で立て続けに大分を訪れる機会があり、今週は商談先のお招きで、何と関さばをまる一匹、活造りでご馳走になった(写真)。別府で初めて食べたときはふつうの皿にのる程度の切り身の数だったが、今回はそれだけでお腹一杯になりそうなくらい食べた。何たる贅沢…。

今回はまた、東京からの来客のために“大分尽くし”のメニューを用意してくださり、関さば以外にも鳥天や団子汁が出てきた。団子汁は名前は聞いたことがあったが食べたのは初めてで、白味噌っぽい味噌の味が野菜や豚肉、平麺(団子)と相まって実においしい。これは材料をそろえれば自宅でも作れそうだ。

九州は食べ物が美味しく、食事にお招き頂くと実にありがたい。しかしそれだけに、当地で接待してくださった方々が東京に来られたときに食事にお連れしようとすると相当ハードルが高くなってしまうのが悩ましい。

2012年2月18日土曜日

機窓の風景


鹿児島出張から帰る飛行機が駿河湾の沖合あたりにさしかかったとき、窓側の座席に座っていたおばあさんがトントンと私の肩を叩き、「あれは富士山ですか?」と聞いてきた。窓の外を見ると、富士山が日の光に照らされて美しく輝いていた。「そうですよ。」と答えると、おばあさんは一言も発することなく見えなくなるまで富士山を眺め続けていた。

東京で富士山を見ながら育った私でも、飛行機から眺める姿は格別と感じる。このおばあさんは九州の方のようだったので、富士山を見るのすら初めてだったのかもしれない。東京で乗ったタクシーの運転手さんが今や羽田に到着してタクシーで富士山を見に行く中国からの観光客がいいお客さんだといっていたが、国内最高峰という以上の魅力をもっているのだろう。

しかし富士山の見え方というのはアングルによって異なる。羽田から関西方面や福岡に向かう便は火口が見えるくらい近くを通るので、迫力はあるがあまり美しいとは感じられない。一方、鹿児島あたりから羽田に向かう便はずっと沖合を通るので、北斎の浮世絵のように駿河湾を前景とした景色が見られる。また、富士山の南側を通るので、天気のいい日は日の光に輝いて実に美しい。

機窓から眺める景色でもう一つお勧めなのが関西空港から東京に向かう夜の便だ。空港まで送ってくれた大阪の友人が「夜景を見に生駒山まで連れて行く時間がなく残念」といっていたが、おそらくその比ではないだろう。離陸後左方向に旋回する機内からは大阪湾岸の夜景が神戸方面まで一望できるのだ。たまたま左の窓側の席を選んだのだが、とても得をした気分になった。

同じ料金を払うのであればいい景色が見られるに越したことはない。一度の出張でなるべく多くの面談をこなそうという発想になりがちな私は、間際まで飛行機の予約をしないことも多く、窓側の席がとれないことも多いが、飛行ルートを頭に浮かべつつ、なるべくいい景色が見られる側の席をとるように心がけている。

(写真は冬の羽田空港の日の出。これもまた格別の美しさ)

2012年2月12日日曜日

CDプレイヤー


「安物買いの銭失い」とはよくいったものだ。香港で買った北京語の教材についていたCDを聞こうと大手量販店にポータブルCDプレイヤーを買いに行った。そこに置いてあったのは中国のメーカー2社のものとソニー製の計3種類。値段は中国製のものがいずれも2000円台、ソニー製の方は4000円台だった。かつて何万円もしたものがいつの間にこんな価格になってしまったのかと驚くとともに、これでは日本のメーカーはやっていかれまいと思った。

どれを選んだらよいものか迷って店員さんに違いを聞くと、中国のメーカーの一つはあまり品質がよくないとの答え(っていうか、そもそもそんなものを置くんじゃない!)。もう一つの中国のメーカーのものはまだましだが、品質で選ぶならソニー製との答え。昔いた会社の製品に全幅の信頼があれば迷わず2000円余分に払ったのだが、そうでもなかったのでつい中国メーカーの方を買ってしまった。機能はさして変わらないというし、数千円しかしないものの2000円の違いというのが大きく感じられたからだ。

ところがどうだろう。このCDプレイヤー、買って一週間も経たないうちにまともに再生しなくなった。買った量販店の修理コーナーに持ち込んだところ、斜めにすると光学ピックアップがうまく信号を読み出せなくなることがあるとのこと。なんじゃそりゃ?ポータブルCDプレイヤーの意味ないじゃん!新しいものに取り換えてくれたが、差額を払ってソニー製のものにすることはできなかった。おまけにほかに苦情は来ていないのかと聞くと、元が安いからか苦情は少ないといわれ、まるで修理に持ってきた私がセコいみたいなことになってしまった…。

それにしても大手量販店が品質に疑問がある製品を平気で並べるなんてちょっと驚いた。2000円をケチった私がいうのも何だが、これも日本人が値段の安いものしか買わなくなっているからだろうか。最近はネットやコンビニで買う日用品や文房具(特にPBブランド)の質の低さに驚かされることがあるが、購買力が落ちて行く国の悲哀を感じさせ、実にさびしい…。

2012年2月4日土曜日

恵方巻


3週間ほど前、事務所の下のコンビニに行ったところ、「恵方巻の予約受付中」という貼り紙がしてあった。消費が低迷しているとはいえ、恵方巻がテレビの番組などで全国的に知られるようになったとたん、それまでそんな習慣はなかった関東でも売り出すなんてなんたる便乗商法。

それにしても節分に恵方に向かって黙って太巻きを食べるなんて誰が思いついたことなのか。バレンタインデーのチョコレートのように販促を狙った太巻き屋が節分と恵方にかこつけて縁起がよいと宣伝したのが始まりかもしれない。私の地元には太巻きや押し寿司を売る老舗の寿司屋があるが、今年の節分は行列ができていたというから、日本人の縁起好きと感化されやすさには驚く。買った人たちはおそらくいわれた通りに恵方に向かって黙って食べたのだろう。

縁起がらみのこととなると一度やり始めると毎年やめられなくなるのが日本人の悲しい性。私はあえてそうならないように太巻きを食べようとは思わなかったが、実家で美味しいロールケーキを食べ、それでならやってみたいと口走った。ところがどうだろう。出張先の岡山の駅ビルで実際に売っていたではないか。ケーキ屋も同じことを考えたようで、便乗というものにはきりがないようだ。ただこうしたことで消費が刺激されるなら必ずしも悪いことではないか…。