2015年5月30日土曜日

人命軽視?

口永良部島噴火のニュースでかき消せれた感がある箱根山の火山活動。大涌谷のような場所がある時点でアクティブな火山であることがわかるが、火山活動の周期は人の寿命と比べて長すぎて、しょっちゅう爆発している火山でもなければ、噴火が起きることなど想像もせずに観光している。箱根と名のつくところがすべて危険なイメージになって観光客が減っていると聞き、久しぶりに行ってみようかなどと思ったりしたが、箱根町が給湯設備の保守のために立入禁止区域に人を入れようとしているというニュースに首をかしげた。テレビに防護服のようなものを身につけた人が映っていたが、実際に噴火が起きたらそんなものは何の役にも立たないことは素人でもわかる。火山活動が活発化している兆候がありながら警戒レベルを引き上げなかった御嶽山の噴火のときもそうだが、観光へのダメージを避けるために人命を軽視するのはいかがなものかと思う。

2015年5月23日土曜日

消耗戦

シャープ苦境の報に触れ、投資銀行時代に当時の同社のCFOのお供で欧州の機関投資家まわりをしたことを思い出した。夜到着するCFOのためにパリの和食屋に頼んでおにぎりを用意してもらい、空港からホテルに向かう車の中で食べてもらったことや、パリの有名フランス料理屋で一緒に食事をしたこと、道路の渋滞でシャルルドゴール空港から乗る予定だったフライトに遅れてしまったことなどが思い出された。ほんの10数年前のことだが、当時はこんな日が来るとは思いもよらなかった。苦境の原因はジャパンディスプレイとの値下げ競争というが、この業界で変わらないことといえば、こうした消耗戦を通じて皆が貧乏になっていくことくらいだろうか…。

2015年5月16日土曜日

法治国家?

志布志事件の裁判の報に触れ、いわゆる郵政選挙のときに同じ鹿児島の選挙区から出馬した当地出身の弁護士の話を思い出した。自らが立てた「刺客」候補の応援で全国を駆け回っていた当時の小泉首相が、彼の応援をするために鹿児島入りすることができなかったというものだ。その理由は誰もヘリポートを貸さなかったからで、代わりに武部幹事長が来たという。(小泉首相が応援に行った先の候補はことごとく当選したが、武部氏が行った先は皆落選したという話の真偽は不明。)志布志事件は警察や検察などの公的権力が地元の権力者に敵対する者を排除しようとした法治国家とは思えない事件だが、度合いこそ違え、それと似たようなことが起きているのが群馬だろう。安倍首相の米国議会での演説が新聞の一面を賑わせたのと同じ日に、小渕代議士の利益供与事件の首謀者とされる人物が起訴されたというニュースが小さく報じられた。群馬の地元政界に詳しい人の話では、起訴されたといっても帳簿の記載ミスという軽い犯罪で、さらに世間の注目を浴びないよう、安倍首相の米国議会での演説のタイミングとぶつけたのだそうだ。警察のみならず検察までもが時の権力におもねるようになって果たして正義など達成されるのだろうか。この国の先行きが心配になった。

2015年5月9日土曜日

北海道移住

札幌で面談した当地の地方銀行の人が私の名刺に書かれている住所を見て懐かしそうに「私が卒業した高校の近くです。」といった。うちの事務所の近くの高校といえばあの都立の名門高だ。だが、なぜ東京出身の人が北海道の銀行に勤めているのか。聞けば震災を機に東京のメガバンクを辞めて家族で移住したのだという。北海道での生活がえらく気に入っているようで、私も移住してはどうかと勧められた。札幌は父が中学校時代を過ごしたところで、祖父の帰任で家族が東京に引き揚げた後も卒業まで一人残るくらい気に入っていたところだ。札幌であれば適度に都会で自然も身近にあり、食べ物もおいしい。老後は南の島でのんびりなどと思っていたが、実は北もありかもしれない。

2015年5月3日日曜日

インフレ

「経済政策はしばらく安倍さんに任せるしかないね。」ゴルフをご一緒した注文住宅会社の前社長がいった。確かに株価は上がり、久しぶりに賃上げのニュースも聞かれるようになり、景気がよくなっている雰囲気はある。しかしインフレ状態ではあらゆる数字が上がって当たり前。重要なのはインフレの影響を差し引いた後の“実質”数字がどうなっているかだ。賃金が多少上がっても、物価がそれ以上に上がっていては意味がない。だからこそ“実質”と名のつくデータがあるはずだが、このごく当たり前の点に触れた報道があまり見られない。報道している側がそうしたことを理解していないからだろうか。スーパーに行くと円安と消費増税の影響もあってか、ものの値段が半端なく上がっていることに気づく。これで景気回復を実感している人がどれくらいいるのだろうかと思う。