2012年10月28日日曜日

メイド・イン・ジャパン

久しぶりに見たNHKスペシャル。自分が取材を受けたこともあり、どのような出来上がりなのかが気になった。そもそも10年以上も前に辞めた会社のことをマスコミに話すのもどうかと思い、出張でほとんど東京にいないと伝えたが(これは事実)、出張先にでも出向くといわれ、結局逃げ切れずに?下関駅近くの喫茶店で会うことになった。実際に会って話をすると日本の大手メーカーのエンジニアが海外の競合に技術を売っていることも知っていて、窮すれば鈍するというネガティブスパイラルに陥った状況をよく理解しているようだった。私が入社した頃のソニーはひたすら市場シェアーを追って国内外で工場を新設し、ハードの販売に寄与するとの確信から大金をはたいてレコード会社に続いて映画会社を買収したが、こうした拡大主義、自前主義と独占の発想が、ソニーがデジタル時代の覇者になることを阻害したという考察は実に的を得ていると感じた。その後移った投資銀行でソニーの競合に出入りするようになり、そうした大手企業が自分たちが活かしきれないほど大量の理系学生を採用していることを知ったが、番組ではこうした大企業で思うような仕事ができない人たちが独立して起業している事例が紹介されていた。取材を受けている間、ポジティブなトーンでの番組作りをしたいという意図が感じられ、今の状況でそのようなことができるのだろうかと思ったが、実際に番組を見てみると私が業界との関わりを失ってから色々な動きがあって、必ずしも悲観することばかりではないと感じた。

2012年10月20日土曜日

汁なし担担麺

何年か前にテレビで四川省の本場の担担麺には汁がないと知り、一度食べてみたいと思っていたが、美味しい四川料理なら北京でも食べられるので、担担麺だけのために四川省に行くという気にはならなかった。ところが最近、やはりテレビで四川省風の汁なし担担麺が広島で食べられることを知った。広島県庁の人に同県が四川省と姉妹関係にあると聞いていたが、広島のラーメン屋の人が実際に四川省に行って作り方を学んできたというから本格的だ。さっそく面談の合間に行かれそうな店を4軒リストアップしてそのうち3軒をまわってみた(一杯の量が少ないのであって私が大食いというわけではない)。日本風の汁あり担担麺もそれはそれで美味しいが、山椒を効かせた汁なし担担麺も実に美味。冒険しない性格の私は広島に行くとようやく見つけた納得のいくお好み焼きの店にばかり行っていたが、今後は汁なし担担麺もローテーショーンに加わることになりそうだ。行った3店とも有名な店のようだが、そのうち1店だけインスタントのような食感の麺がゆですぎで歯ごたえがなかった。店内では大手ネットモールに出店したことを宣伝していて、以前チェーン展開を始めた当地の有名お好み焼き店で同じようながっかり感を味わったことを思い出した。やはり拡大主義とクオリティの維持は両立しづらいものなのか…。

2012年10月13日土曜日

重過失

福島原発の事故原因の究明が一向に進まないように見える(というか震災から1年半たってもまだ明確な説明が公にされていない)が、電力業界の知人によると同原発は電源が地中に置かれていたので2メートルの津波でもやられてしまう脆弱さだったという。そうした危険性の指摘は震災の前からされていて、東電の当時の経営陣もそのことを明確に認識していたのだそうだ。この事実が白日の下に晒されれば、経営陣の重過失(いわゆるグロースネグリジェンス)が明らかとなり、アメリカであれば刑務所行きだろう。しかしこの国ではなぜ、そうした事実すら明らかにされないのか。この業界関係者によればほかの原発で同じリスクをはらんでいるところは少ないそうだが(具体名をいわれたが忘れてしまった)、重大事故の原因や責任の所在すら明らかにされない国では信頼の回復などとうてい無理な話だろう。

2012年10月6日土曜日

光陰矢の如し

先週何年ぶりかで青森に行くことになり、当地に移り住んだ幼馴染に電話したところ、「あ、今週は四国に来てるんでだめ。」という思いもかけない返事。広島で働いている息子と旅行しているのだという。思えば大学時代に結婚した彼の息子はもう成人だ。「ミケーラが結婚することになった。」高校時代にホームステイしていたサクラメントの家族からのメール。ミケーラといえば私より一つ年下のその家の娘のそのまた娘。後年アメリカに遊びに行ったときに生後数か月の彼女を抱っこした記憶がある。あのときの赤ん坊がもう結婚とは…。サラリーマン時代に自分より一回り下の子たちが入社してきてずいぶんと歳をとってしまったものだなどと思ったものだが、今や二回り下の子だって成人しているし、私より一回り上の人は定年間近だ。こんなことが重なると、否が応でも歳をとっていくことがどういうことなのか実感せずにはいられない。