2016年10月29日土曜日

大麻騒動

アメリカ、特に西海岸やハワイに住んだことのある者であれば、大麻を所持していたとして元女優が逮捕されたニュースをさも大事件のように報じる日本のメディアを滑稽に感じただろう。アメリカで大麻をやる人などざらで、日本のメディアは幻覚症状云々と報じているが、そんな話は聞いたこともない(もちろんやり過ぎればあるのかもしれないが)。マリファナをやると「ハイ」になるといい、吸っている人を見ると目が潤んで気分が高揚しているのがわかる。それがタバコに比べて悪いことである根拠があるなら聞いてみたいものだ。ちなみにタバコは常習性が高く、吸わない人には不快な臭いを発するが、大麻は香ばしい香りがする。もちろんこうしたものを全て禁じるのならわかるが、片方だけ合法とするのはおかしな話だ。大麻くらいで大騒ぎする日本のメディアは、古来世界中で使われてきた大麻がタバコ産業を保護する目的で禁じられた歴史についてきちんと学び、公平に報道すべきだろう。

2016年10月22日土曜日

復興五輪

ボート競技の会場変更問題で久しぶりに聞いた言葉だ。招致に成功した途端、どこかに吹き飛んでしまい、いざとなると被災地での開催に後ろ向きになるのだから、招致のためにはどんなことでもいっていた必死さが窺える。千葉市長が講演する昼食会で同じテーブルに座った大手ゼネコンの副社長。組織委員会の会長との親密ぶりが噂されて何かと話題の会社でセンシティブなことは聞きづらいと思っていたら、隣に座っていた人が無邪気に切り出した。すると副社長は五輪招致の際にいっていた予算がそもそも非現実的なものだったと答えた。この時講演していた千葉市長もオリンピックの話題に触れ、予算削減のためにフェンシングやレスリングの会場として幕張メッセを提供することにしたのが、今の状況を見ると仮設費用の負担までさせられるのではないかと危惧していた。こうした話を聞くと、非現実的な予算を作ったのが誰なのか明らかにした上で費用負担を配分するのが合理的な気がしてくる。

2016年10月15日土曜日

タイ王室

生前退位の話題でエリザベス女王とともに思い浮かんだタイのプミポン国王。エリザベス女王は今でもテレビで見かけることがあるが、プミポン国王はそういえば最近あまりお見かけしていなかった。バンコクに出張した際に現地で暮らす日本人から、国王の死去とそれに伴う新国王の即位が混乱を招くかもしれないといわれたことを思い出した。皇太子の素行についてはかねてから噂ベースでは聞いていたが、電機メーカー時代の上司からは、出張で乗り込んだタイ航空機で突然「ロイヤル・フライト」になったとのアナウンスがあり、いったん乗り込んだ乗客が全員下ろされた話を聞かされたことがある。再度パスポート・チェックを受けた後、機内に戻されると、召使を引き連れた皇太子が乗り込んできて、ファーストクラスのトイレに直行したかと思うと次々に脱いだ服を放り出し始めたそうだ。召使は国王の前で立ってはいけないらしく、ひざまずいた体勢のまま、それを受け取っていたという。タイの暫定政権が皇太子に即位要請をしたと早々に発表したのは、国民の人気が高いという王女を支持する勢力との混乱を避けるためか。それにしても、これほど王室の動向が影響を与える国も今では珍しいかもしれない。

2016年10月9日日曜日

オーストリア航空

新聞の片隅に掲載されたオーストリア航空の日本撤退のニュース。電機メーカー時代、欧州出張の帰りにウィーン経由で同航空会社のフライトに乗ったことを思い出す。今では当たり前のコードシェアという言葉が聞かれ始めた頃で、当時は提携先の日本の航空会社の客室乗務員も同乗していた。以降、航空会社間のアライアンスが進む一方で、海外に出かける日本人が減ってしまったので、特に欧州系の航空会社にとっては日本に直行便を飛ばすよりも、北京行の便から提携先の航空会社の便につないだ方がコスト効率が高くなったことは想像に難くない。地理的な条件に加えて日本のアジアにおける相対的な地位の低下も象徴しているようで、ちょっと寂しい。

2016年10月1日土曜日

ポピュリズム

国会で自衛隊員を称えようと呼びかける首相に与党議員たちが総立ちになって拍手し、今にも「ハイル・ヒトラー」とでも叫び出しそうな異様な光景を見て、この国はどんな方向に進んでいってしまうのだろうかと不安になった。自衛隊員たちやその家族のことを本当に思っているのであれば、必要以上に中国を刺激したりはしないだろう。刺激して領海侵犯を煽り、それに対して成す術もないところを見せつけられてしまうと、何の勝算もなく、国民にアピールするためだけにやっている動機が見え隠れする。喧嘩しても勝てない相手であることをよく認識していながら口先で威勢のいいことをいうのは前線で脅威に晒されている人たちに対して無責任なことだ。あからさまな侵略行為を受けている東南アジアの国も経済面で依存度が高まれば高まるほど彼の国との付き合いを優先するようになるだろう。日本は高度経済成長を遂げて世界第2位の経済大国になった過去の栄光を引きずっていても何もいいことはなく、こうした現実を受け止めて賢明な外交運営をしていくべきだろう。総立ち議員たちを見る限りそれも望み薄ではあるが…。