2018年4月28日土曜日

蚊帳の外

テレビ各社がこぞって生中継した南北首脳会談。どこかのチャンネルでお笑い番組でもやっていればそれを見たいところだったが、選択肢がない…。自らの権力基盤を強固なものとするためには身内にでも手をかける人物がまともな首脳扱いをされている状況に違和感を感じるが、我が国の「蚊帳の外」感も半端でなかった。記者からのつっこみに「そんなことはない。韓国の大統領に拉致問題も取り上げるように頼んだ。」と得意の強弁をする首相。他国の水面下の動きに気づかずに何とかの一つ覚えのように「圧力と対話」と繰り返している間に自力解決ができない状況に陥ってしまったのだとすれば、相当外交音痴といわざるをえない。あれだけアメリカの大統領に尽くしてきたにも拘わらず、EUに加え韓国までもが免除された鉄鋼関税の対象から除外してもらえなかったのも情けない話だが(超強硬派として知られる米通商代表部(USTR)代表を前にへらへらにやついている経済再生相の姿に既に勝負あったと感じた)、北方領土問題では待ちぼうけの温泉接待(欧米では遅れて到着するのは相手にどちらが立場か上か知らしめるため)の末にロシアにいいとこ取りされ、進展どころか後退してしまった。ここまで外交センスがないと、財政赤字も顧みず外遊先で経済支援を約束して回った成果も見込めず、国益を損ねられた上に首相のパフォーマンスにかかった費用を負担させられる国民は二重の被害者といえるかもしれない。

2018年4月21日土曜日

連鎖

「接客業の女性との言葉遊び」等、聞いている方が赤面してしまうような釈明をする財務省トップ。諸々の疑惑や表面化した問題について「徹底的に膿を出す」と、これまでの行動とは裏腹なことを堂々という首相と照らし合わせて「類は友を呼ぶ」とはよくいったものだと思った。事務次官の任命権者は大臣、大臣の任命権者は首相だ。加えて覚えていないはずがないことを覚えていないと強弁する首相秘書官と、彼を信じると言い切る首相。この国の政を担う人たちはどれだけ「人格に難あり」な人たちで固められてしまったのだろう。そうした人たちが行っている政策がまともであればまだいいが、インフレ目標が未達の上に金融機関の窮状がさらに深刻になれば、いよいよ「何とかノミクス」のボロも出始めるだろう。

2018年4月14日土曜日

土俵騒動

大相撲春巡業の土俵上であいさつをしていた舞鶴市長がくも膜下出血で倒れた際、救命処置を施した女性が土俵から下りるよう場内放送で促された問題。さすがに人命が関わると伝統の何のといっていられないのか、相撲協会が謝罪するに至ったが、安定を好み、変化を嫌う傾向が強い日本人は伝統という言葉にも弱く、こうしたことでも起きなければ、女性が土俵に上がることもないままだったかもしれない。(今回のことがあったからといって今後積極的に女性を上がらせることもないだろうが。)それにしても市長が倒れても何もせずに周りを取り囲んでいるだけの男たちと、人命を救うためにとっさに行動をとった女性の対照的なこと。女人禁制は男が作ったルールだろうが、奇しくもその男たちの「使えなさ」を証明する出来事だった気がする。

2018年4月7日土曜日

アメリカン・ディスカウント

京都の人が関西という括りで大阪と一緒にされたがらないのと同じくらいカナダ人は隣国のアメリカ人と一緒にされたがらない。確かにカナダでは銃の乱射事件など聞かないし、大声で騒いだり傍若無人な振る舞いをする人も見かけない。彼らはアメリカよりもヨーロッパ寄り(つまりもっと洗練されている)といったりもする。そんなカナダの顧客から『アメリカン・ディスカウント』という言葉を教わった。要はアメリカ人は何でも大げさにいう癖があり、話も3割くらい「盛る」ため、実態は3割引き(ディスカウント)で解釈するのが妥当で、たとえば売上100万ドルを達成したという社長がいれば、70万ドルくらいだったと思えば間違いないとのこと。確かに控え目で奥ゆかしいことが必ずしも美徳とされない彼の国の人は履歴書に書く内容も盛ったりする。生まれながらにほら吹きというよりは、競争社会を生き抜くためにそうならざるをえないようにも見える。

2018年4月2日月曜日

37年目の真実

「ここがロバート・ワーグナーの家。」高校時代にハリウッドの映画館で『レイダース』を見た後、当地の友人が案内してくれたのを今でもよく覚えている。ロバート・ワグナーといえば『ウェスト・サイド物語』で主演したナタリー・ウッドの旦那。彼女が入江で水死したというニュースを驚きをもって聞いたが、遺体に複数の打撲の痕跡や傷跡があったものの事故死とされたそうだ。ところが最近になって彼女が船上でワーグナーと口論になり、その後行方不明になったという当時の船長の証言が出て、ワーグナーが重要参考人として警察から事情聴取を求められているという。事情聴取を拒んでいる時点でかなり怪しいが、37年経った後に新たな証言が出て重要参考人になるなど、本人も想像していなかったのだろう。悪事に時効はないといったところだろうか…。