2014年6月7日土曜日

雲仙

今週は久しぶりに長崎県の雲仙を訪れた。思えば前回来たのは普賢岳が噴火する前だった。当時の様子は実はあまりよく覚えていないのだが、岩崎弥太郎の元別荘という当時三菱セメントの社員寮となっていた宿で出た料理が実に美味しかったことは今でも思い出す。下界よりも涼しくて緑が深く、温泉も実にいい。にもかかわらずホテル街は人の気配がなく、大型のホテルや旅館が廃墟のように建ち並んでいる。実に寂しい光景だ。今回は宿泊先のホテルが主催するウォーキングツアーに参加し、雲仙の歴史について知る機会を得た。もっとも印象深かったのが、長崎に住む外国人の避暑地のイメージが強いこの地が、高野山や比叡山よりも100年も前に開山した霊山で、一時は千人を越える修行僧がいたということだ。当時のお寺が残っていれば高野山以上の価値があったというが、キリスト教徒たちの焼き討ちにあって焼失してしまったという。本邦で日本史を習うとキリスト教徒たちが迫害されたというイメージしかもたないので、これは意外な史実だった。それにしてもアクセスが悪く観光客が減り続けているという雲仙。仏教遺跡もない状況で、どうしたら盛り返せるのか…。