2019年10月29日火曜日

がんビジネス

88歳だったという女優死去の報。かつて「がん治療に専念」と発表して表舞台から去り、ほどなくして亡くなった有名人たちのことを思い出した。復帰を果たした例より多いのではないかと思う。そんなに短期間で亡くなる状態なら、精神的、肉体的な苦痛を伴い、それでいて効果も疑問な「治療」をするよりは、ストレスのない生活を送った方がよほど長く生きられたのではないかと思う。特に高齢になれば所謂がんの進行も遅いわけで、患者の無知につけこんで、生活の質を犠牲にしてまで治療を選ばせる我が国のがんビジネスは実に恐ろしいと感じた。

2019年10月18日金曜日

菜食

「今どきベジタリアン(菜食主義者)向けのメニューも用意していないなんて。」トリップアドバイザーに掲載されていた三重県の宿泊施設に対する外国人旅行者のコメント。精進料理、普茶料理といったすばらしい菜食文化がありながら、いつしか肉食に傾いていってしまった我が国は、この点においても後進国となってしまったようだ。国連の気候行動サミットに出席しながら、生産するのにもっとも環境負荷がかかるステーキを食べたいと発言して物議を醸した「クールでセクシー」な若き環境大臣がそのことを象徴しているかもしれない。私もかつてはベジタリアンが動物愛護や宗教上の理由からと思っていて、健康や環境への配慮という側面を知ったのは最近のことなので、あまり偉そうなことはいえないが。人類がこのまま肉食を続けると2050年には世界の人口を支えるだけの食料が確保できなくなるそうだ。若い世代に菜食への関心が高いのもそのためか。2050年が関係のない世代の人たちも子や孫のことを思って少しは考えるべき問題かもしれない。

2019年10月5日土曜日

司法の堕落

6年前にイギリスで開催されたG8サミットで、「何だこいつ」と思うくらい首相への「すりすり」ぶりが尋常でなかった当時の駐英日本大使が帰国した後に最高裁の判事に任命されて驚いた。その後彼が首相と「同郷」であることも知った。同じサミットで首相に腰巾着のごとくついて回っていた代議士はその後何ちゃら総活躍大臣、さらに直近では厚生労働大臣に指名された。弁護士資格もない元外交官に最高裁の判事をやらせること自体司法をなめているが、政権に都合の悪い判決を下さない人たちが判事に選ばれているのだからもはや三権分立などないに等しいだろう。地下電源では津波が来たら大事故になることがわかっていながら何の策もとらなかった東京電力の元経営陣に東京地裁が無罪判決を下したのは実にショッキングだったが、上告しても上に行けば行くほど政権にとって都合のいい、行政の責任を否定する判決を下すだろうから犠牲になった方々はうかばれない。国民にとってはそれこそ原発にからむ関電幹部の金銭受領問題よりよほど深刻だろう。もはや日本の裁判官たちは黒服をやめて白服に替えた方が実態に合っているかもしれない。