2019年11月22日金曜日

特殊詐欺

ひっかかることはまずないと安心していた母親が甥を名乗る詐欺犯から金をだまし取られた。話を聞けばおかしなところだらけだったが、それを指摘しても、間違いなく甥(つまり私の従兄)の声だったと譲らなかった。このことがあって昨年、叔母が母に私が金の無心をしてきたといってきたことを思い出した。どんなに困っても頼ろうなどとは思わない叔母だったので余計に不愉快だったが、母の場合と同様に開口一番「おばさん?」と聞かれて甥の名前をいってしまい、そこから甥と信じ込まされとものと想像する。二人の明暗を分けたのは、一方が甥が困っていたら助けようとする人で、もう一方が甥が困っていても助けようとしない人だったことで、助けようとする方が損をするというのは皮肉な限りだ。警察によると電話の声は生の声と違って判別が難しいそうで、子どもを名乗っても騙される親がいるくらいなので、声を聞く機会が少ない甥であればなおさら騙されやすいのだろう。子どもを名乗った場合に比べてお金を出す可能性は低くなりそうだが、それを補っても余りあるくらい騙せる確率が高いのだろうか。

2019年11月10日日曜日

身の丈

八王子の豪邸に住むという文部科学大臣の「身の丈」発言。つい本音が出たと正直にいえない言い訳が何とも見苦しい。考えてみれば日本もずいぶんな格差社会になったものだ。彼の発言はそれを是認する現政権の本音ともいえよう。民主党政権時代に140万世帯だった生活保護世帯数も今や160万を大きく超えている。人口が減っているのにだ。一人当たりGDPも民主党政権時代に世界12位だったのが現政権下で22位まで転落した。もはやアジア1位どころか香港に抜かされ、韓国に抜かされるのも時間の問題かもしれない。国は衰退し、大半の国民は生活が苦しくなっているのに支持率が下がらない理由を考えると二つあるように思える。一つは何といっても国民の無知につけこんだ首相の「詭弁」だろう。自民党政権の負の遺産をたっぷり背負いこんで3年しか続かなかった民主党政権を「悪夢のよう」と呼んで印象操作を行ったり、労働人口が減った結果として求人倍率が上がったことを自らの手柄のように語ったり、株式市場に国民の年金を含む大量のお金を流し込んで株価を上げ、景気が回復しているといってみたり。そうした裏が見抜けない国民が多いのを見越してやっているのだから、手法としてはアメリカの大統領と通じる。もう一つは日本国民が経済的で豊かで格差も少なかった時代を知らない若い世代へと代替わりしつつあるからに思える。いい時代を知らない若い世代には格差は当たり前、日本が豊かだった時代を知らなければ貧乏国に落ちぶれていくことへの抵抗感も少ないだろう。現政権が選挙権年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げる法改正を行ったのも不満をもちづらい若い層の支持を得票につなげようとする思惑があったものと想像する。とはいえ国のトップの質は国民自身の民度を映す鏡であることは前回のアメリカの大統領選挙を見ても明らかであり、今日の事態を招いているのもいずれその犠牲となるであろう国民自身といえよう。