2019年6月29日土曜日

過剰警備

G20の警備に集まった警官の数が3万人を超えると聞くが、2週間余り前に大阪に行ったとき、すでに全国の県警の名前が記されたパトカーをあちこちで見かけた。これほど多くの警官が何週間も地元を留守にしても問題ないなら、ふだん何をしているのだろうかと考えずにはいられなかった。大阪の地域与党はG20を誘致できたことをアピールし、現政権はその政党との関係を深めたい思惑だろうが、こんなイベントを開かずとも大阪はすでに世界的な知名度があり、名前を売りたいのであればG7を開催した洞爺湖や伊勢志摩のような警備がしやすいところを選べばよほど負担が少なかっただろう。米大統領の「日米安保不平等」発言で、同様に巨額の(といっても政府が正確な金額を公表するとは思えないが)費用をかけた米大統領の国賓来日などの一連の「抱きつき外交」が世界に恥を晒すだけの無駄遣いだったことが明らかになったが、外交成果を得られる実力もないならせめてこうした国費の無駄遣いはやめてもらいたいものだ。これは余談だが、米大統領のような人が六本木の炉端焼き屋での接待を喜ぶものだろうかと知人に聞かれた。マクドナルドのハンバーガーを何より好む人物が炉端焼きのような料理を喜ぶとも思えず、庶民的な店を好むような人でもないだろうから、彼を喜ばせるのが目的だったとしたら完全な外れだろう。(現にテレビに映る彼の顔は、満面の笑みの我が国の首相と対照的にとても楽しんているようには見えなかった。)ただ、あの首相のことなので、そもそもが大統領を喜ばせるためではなく、自身のアピールのためにやった可能性は多分にあるだろう。

2019年6月22日土曜日

女性に道を聞いてはいけない

連携先の人と兵庫県某市のクライアントを訪ねたとき、Google Mapで前回よりも近道と思われるルートを見つけ、タクシー乗り場のない駅から歩き始めた。ところがすぐに迷子になり、近くの店にいた女性にいわれた通りに見たこともない幹線道路を歩いているうちにおかしいと気づき、沿道の不動産屋で反対方向といわれた。タクシーに乗れば間に合ったかもしれないが、流しをやっているのは大都市の中心部くらいのもの。ほかの地域ではタクシー乗り場がある駅で乗るか、電話で呼び出すしかない。おかげで時間に余裕をもって最寄り駅に着いたのに、アポイントの時間に15分も遅れてしまった。実はその女性がいったのは私の感覚とは正反対の方向だったが、地元の人が間違えるわけはないと歩き続けたもので、会食の席でクライアントにその話をすると、一言「女性に道を聞いてはいけない」といわれた。知らなかった...。そもそもGoogle Mapを信用し、少しでも近道をしようというスケベ心をもった私が悪いのだが、知らずに女性に聞いてしまったことが悔やまれた。

2019年6月16日日曜日

パシリ

案の定、何の成果もなく国費の無駄遣いに終わった首相のイラン訪問。米大統領の「パシリ」を買って出たときには冗談だろうと思ったが、実際に行ってしまったのを見てなぜ外務省は止めなかったのかと思った。「地球儀を俯瞰する外交」と銘打ってさんざん国費を使った割に10年経っても国連の常任理事国入りはおろか、公約の領土問題や拉致問題は逆に解決から遠ざかり、温泉接待までしたロシアからは経済協力をさせられた上に北海道へのビザなし渡航を要求され、何とかの一つ覚えのように圧力圧力と言い続けたあげくにアメリカに追随して対話路線に転じようとしたら北朝鮮にそっぽを向かれる恥晒しぶり。こうした自らの失策を覆い隠すために拉致問題が関心事でないことを知りながら来日した米大統領を被害者家族と引き合わせるパフォーマンスを行ったのだろうが、このことは自分にもはや解決能力がないといっているに等しい。ナイーブな日本国民の目を欺くといえば、最近の国会答弁で財務省が出した2千万円の個人貯蓄に関する答弁もいい例で、同庁が何の根拠もなくそのような数字を出すはずもないのにそれを否定するのは、自分の任期中に露呈しなければいいという彼の考え方を表しているのだろう。また、こうした都合の悪い話から注意をそらすためにか国会で質問に立った野党の女性議員に国民の年金は民主党政権時代に比べて40兆円増えていると答弁したが、これもまた国民の無知につけこんでの印象操作といえる。日本経済をけん引してきたのは彼の経済政策とは関係のない外需であり、彼がやったことといえば日銀が実質的に上場企業の「大株主」になるほど巨額の株式の買い入れを進め、安定運用が基本の国民の年金まで株式市場につぎ込む「禁じ手」だ。そのことで上がった株価を自らの経済政策の成果のごとく語るのだから欺瞞もいいとこ。日銀がさらに買い入れる余地は少なく、株価が下落したら年金も吹っ飛ぶリスクがあるが、これもやはり彼が政権の座にある間に起きなければいいという発想なのだろう。知り合いの文化人にこんな不誠実な人物が長年首相を務めていることについてどう思うか尋ねたところ、「同感だがほかにいい人がいるか」と聞かれた。そう思う人は多いらしく、世論調査でも「ほかよりよさそうだから」という消極的な支持理由をあげる人が多い。(不支持理由の筆頭が常に「人柄が信用できないから」ということに少し救われる。)どの政党でも構わないのでせめてもう少しまともな人間になってもらい、これ以上日本の恥を世界に晒すのだけはやめてもらえればと思う。

2019年6月9日日曜日

言論封殺

土曜日に「“政治的発言”芸能人はタブー」と題する番組が放映され、劇作家の鴻上尚史氏が「政治的発言が問題なんじゃなくて、実はよく見ると、政権を批判してるとか反体制側の人たちが問題になっているわけで、(芸能人が)首相と会食しているのは誰も炎上していない。政治的発言がまずいんじゃなくて、政権に対する批判に対してすごく炎上するようになってるってのは、すごくヤバイと思います」と見解を述べ、MCの上田晋也氏も「不健全ですよね」と応じたそうだ。実質賃金の低迷、格差/貧困層の拡大、財政赤字の拡大、国力と国際的地位の低下、近隣諸国との関係悪化、領土/拉致問題の後退...10年間にわたる現政権が残した負の遺産はあまりに大きいが、もっとも憂慮すべきは都合の悪い行いを覆い隠すために影響力のある芸能人の言論の自由を封じようとする現政権とその取り巻きがもたらした民主主義の後退かもしれない。時を同じくして天安門事件30周年や香港における逃亡犯条例反対デモのニュースが流れていたが、今や様々な面で我が国の先を行く彼の国の言論封殺についてあれこれいえる国ですらなくなりつつあるように感じる。

グルテン

毎日ジムに通い、食事にも気をつかっているアスリートなアメリカ人の知人。ここのところ胃の調子が悪くてしかたがないというので、漢方薬局でせんぶりを買って煎じ方を教えた。とても効果があったといわれ安堵したが、時を同じくして来日したカナダ人のクライアントが「それはグルテンの摂取によるもの。自分もなったがパンやパスタ等の小麦粉製品を食べない生活を一週間続けたらすっかり良くなった」と聞かされた。確かにくだんのアメリカ人は大のピザ好きで、さっそくそのことを伝えた。"グルテンフリー"なる言葉を聞くようになって久しく、一時の流行りと思いさして気にも留めていなかったが、実際にそのようなことがあるのだと知り、胃が丈夫でない自分も気をつけなければと思った。(といいつつ今日もランチにカルボナーラを食べてしまったが...。)

2019年6月5日水曜日

晩節

国連の言論と表現の自由に関する特別報告者で日本のメディアは独立性に懸念が残るとの報告書に関し、「日本政府の立場が十分に反映されておらず、報告書の記述も不正確で根拠不明」と“過剰”反論した官房長官。政府に都合の悪い報道をするメディアにさんざん圧力をかける一方で、犯罪を犯した御用記者を警察に不起訴にさせるという法治国家にあるまじきことをしておきながら、いったいどの口がいっているのか。政府のスポークスマンがこの体たらくというのは我が国も随分落ちたものだが、この人の辞書には「晩節を汚す」という言葉がないのかと思った。今の政権下で加速度的に国際的な地位が低下している我が国だが、こうした人物が選挙で当選して政府の要職にあるというのも厳然たる事実。我が国の「後進国体質」を象徴している人物といえるかもしれない。