2015年9月26日土曜日

防潮堤

9,000億円もの国家予算をつぎ込んで建設するという被災地沿岸地域の防潮堤。次の津波が日本のどこで起きるかもわからないのに、直近で起きた災害に反応して莫大な国家予算をつぎ込む国がほかにあるだろうか。費用対効果の概念が完全に欠落してしまっている中央官庁と自分の懐が痛まなければお金の使われ方に無頓着になる地元自治体。こうしたことが後世にどれほどの禍根を残すかを考えない人たちが予算の使い道を決めている国の将来が憂える…。

2015年9月19日土曜日

安保法

ふだん政治の話をしない人から安保法について意見を聞かれると、本件への関心の高さを感じる。政府は我々一般国民が知らないリスクを認識していて、国民を守るためにやっていると思いたいところだが、現政権(というか日本の政治家全体)に正しい時代認識、国際情勢認識があるのか、また、本当に憲法に違反していないのかという2つの疑念がぬぐえない。前者の国際情勢の認識に関しては、首相が外遊先でイスラム国を刺激する発言をして日本人の人質二人が殺害されるに至ったことや、靖国神社への参拝についてアメリカ政府に苦言を呈されたとたん慌てふためいて外相を“説明”のためにワシントンに送るところを見ると何とも心許ない(そうしたアメリカ政府の反応を見越した上で敢えてやるのならまだいいが)。安保法も合理主義のアメリカが日本を守るために中国と本気で事を構えることなどありえないという認識のもとにやっているのであればいいのだが、そのあたりもかなり怪しい。また、国会での答弁のぐらつきぶりが半端でない首相や防衛相がいくら合憲と主張しても説得力がない。今回の騒動はいずれ歴史の審判を受けるだろうが、それが取り返しのつかない事態が起きた後にならないことを願いたい。

2015年9月12日土曜日

原状回復

小さいながらも自ら会社を経営してみると、サラリーマン時代には考えも及ばなかった問題に遭遇する。5年間過ごした赤坂見附駅前の事務所の家主である某私鉄系のT急不動産から、今月期限を迎える定期借家契約を更新するのであれば、事務所の窓の前に広告用の懸垂幕を下げることに同意してもらうといわれた。外に面している部分が全面ガラスで開放感だけが取り柄のようなオフィスだったので、視界がなくなれば魅力も半減だが、それでいて家賃は下げないという。もともと建物の老朽化で空調や配管の不具合が頻発したこともあり、契約は更新しないことに決めた。すると今度は“原状回復費用”と称して1年分の家賃に相当する金額の支払いを要求してきた。これは入居時に保証金として同社に預けた金額とほぼ同じだ。この物件を仲介した業者も、新しい物件を探してくれた業者も原状回復費用は家賃2か月分以内というのが相場で、1年分などというのはありえないとT急の阿漕ぶりに驚いていたが、法律の専門家に相談すると、個人で住まいを借りるのとは違い、商売人(会社)どうしの契約は、テナント側があまり保護されないといわれた。改めて契約書を見てみると、なるほど当該費用については施工業者(関係会社)を含めて貸主が一方的に決めてよいよう内容になっており、この分野の専門家である貸主に悪意があれば好き勝手をされかねないことがわかった。当方が猛抗議したのを受けて、いきなり家賃半年分に下げてきたが、それでも相場の3倍以上だ。名のある不動産会社なので安心して入居したが、とんでもなく高い授業料となった。

2015年9月6日日曜日

報道の自由

大手居酒屋チェーンがブラック企業大賞を受賞して以来、この賞に関する報道が聞かれないと思ったら、昨年は大手家電量販店のY社が受賞していたという。なぜ昨年に限ってマスコミが報じなかったかといえば、この家電量販店が各メディアに支払っている広告料がばかにならないからだそうだ。「マスコミを懲らしめるには広告収入をなくせばいい」といった国会議員がいたが、こうした報道自粛でマスコミ自身がそのことを証明してしまった形だ。これは札束でマスコミのほっぺたをひっぱたける企業に都合が悪い報道がされないことを意味し、マスコミの存在意義にも関わる問題だろう。最近でも大手居酒屋チェーンがブラック企業のレッテルを貼られてからイメージダウンし、赤字幅が拡大したというニュースは報じられている一方で、直近の受賞者に関する報道は相変わらず見られない。本邦にも広告収入に頼らない公共放送があるが、民放のバラエティ番組の模倣をしては悦に入っているようでは多くは期待できない…。