2014年4月13日日曜日

須藤君

幼馴染の実家のトンカツ屋で食事をしていると、日に焼けたロン毛のおじさんが入ってきた。一人で店を切り盛りしている幼馴染のお母さんが彼の姿を見て「あら」といい、私の方を向き直って「誰だかわかる?」と聞いた。幼馴染と共通の知り合いとなると小学校か中学校のクラスメートだが、そのロン毛のおじさんの子ども時代の姿など想像もつかなかった。一方、彼は私の方をじっと見て「たけうち?」と聞いてきた。どうやら私は昔の面影を残しているようだ。おばさんに相当ヒントをもらってようやく小学校時代に一度だけクラスが一緒だった須藤君だとわかったが、丸顔であること以外は昔とずいぶん風貌が変わってしまった。彼はアメリカ帰りだった私のことが印象に残っていたらしく、私自身が覚えていない当時のことを話した(これがいちばん恥ずかしいパターン)。聞けば今は工事現場の監督をしていて(なるほど日に焼けるはずだ)、被災地にも出向いているという。大学時代のクラスメートであれば同じような道を進んでいる人が多いが、小学校時代となるとずいぶんと道が分かれる。帰り際に「じゃあ、また。」と連絡先の交換もせずに別れた。果たして彼と再び会うことがあるのかわからないが、長年会っていなかったクラスメートが元気にやっている様子を見るのは悪くないものだと思った。