2016年1月30日土曜日

コンビニおでん

コンビニおでんは食べてはいけない食品の最右翼というショッキングな記事を読んだ。筆者は三陸の老舗練り製品メーカー社長から聞いた話を紹介しているのだが、大手コンビニチェーンから要求された「仕様」の中でどうしてもクリアできなかったのが、「練り製品はおでんのダシ汁の中で8時間浮いていること」というものだったそうだ。チクワ、ハンペン等の練り製品は、スケトウダラなどの魚肉のすり身に食塩、砂糖、でん粉、調味料などを入れて練り合わせて作るが、通常の作り方では具材が汁を吸って型崩れを起こしてしまうため、どうやっても汁の中で8時間浮いたりしないという。そこで同業者に相談したところ、「原料のすり身にリン酸塩とソルビットをたくさん使えばすり身の比率が下がり、おでんの汁も吸いこみにくくなる」との助言を受けたそうだ。コンビニおでんはばら売りと同じなので添加物の表示義務がなく、コンビニチェーンのホームページにも原材料は表示されていないというから驚きだ。さらに大半のすり身は船上で作られ、品質保持や増量のためにリン酸塩やソルビットが添加されるそうだが、使用した食品には影響が出ないということで添加物の表示が免除されるという。これをキャリーオーバーといい、この制度を利用(悪用)すれば表示の必要がなく、消費者にもわからないという。考えてみれば汁の中に何時間も浮いている具材も異様だが、直射日光を浴び続けても腐らないペットボトル飲料も気味が悪い。天然のものとは似て非なるビタミンCという名の添加物のお蔭と聞くが、こんな欺瞞がまかり通る国が果たして先進国と言えるだろうか。また、コンビニチェーンはもとより監督官庁もこうした実態を知らないはずがなく、消費者の健康のことなど実はあまり気にしていないことが想像される。

2016年1月23日土曜日

トランプ旋風

私が学生の頃‘不動産王’として一世を風靡したドナルド・トランプ氏がこのような形で再び脚光を浴びるとは思いもよらなかった。私の記憶にある彼はやや脂ぎった観のある中年ビジネスマンだったが、ずいぶんといい(悪い?)おじいさんになったものだ。彼を支持する人たちは、彼の歯に衣着せぬ過激な発言を痛快に思うようだが、そうした発言ができるのは彼がビジネスマンであって、政治的に正しいことを言わなければバッシングされる職業政治家でないからだろう。多くの国民が彼の特定の人種や宗教を標的にした発言さえも熱狂的に受け入れてしまうのが、彼らの無知さや溜まっているうっぷんの表れだとしたら、ずいぶんと困った国である。

2016年1月16日土曜日

再開発

「このへんもいよいよ再開発されることになったよ。」内神田で創業100年の寿司屋を営む叔父が言った。何でもM菱不動産が雑居ビルやら小規模店舗やらが密集する内神田一帯に新しいビルを建てるらしい。そんなことをしてしまったら神田の町の雰囲気は台無しで、今でも旧町内会ごとに神輿が出る神田祭も存亡の危機になるかも知れない。そもそも何でも新しくすればいいという発想は頂けない。丸ビルも昔の方がよほど風格があったし、有楽町の三信ビルディングの取り壊しも実にもったいないことだったと思う。昨年の9月に赤坂のビルから兜町のビルに移ったが、50年前に建てられた鉄筋コンクリート造りの前者のビルは時代遅れの疲れた古っちいビルになり下がっていたのに対して、80年以上前に建てられた石造りの後者のビルは旧丸ビルや三信ビルのような風格があり、威厳を感じさせる。今の丸ビルや新丸ビル、三信ビルの跡地に建てられた高層ビルが果たして50年後、100年後に旧丸ビルや三信ビルの威厳を残せるのか。甚だ疑問だが、私自身がそれを見届けることもないだろう。

2016年1月10日日曜日

アベノミクス

某週刊誌に大前研一氏がアベノミクスについて語る記事が掲載されていた。アベノミクスなるものがいかに的外れで、崩壊不可避かという内容だった。私自身かねてから国内市場が縮小する中で金融緩和を行っても積極的に借入を行う企業などあるのだろうか、企業が政権の意向通り賃上げを行ったとしても、これほど物価が上がり、将来に不安がある中で消費が喚起されるだろうかといった、アベノミクスのロジックに対する漠たる疑問は持っていたが、記事はこうした疑問を確信に変えるもので、景気回復どころか、いよいよ日本の衰退も加速するのかと思った。特に共感したのは日本が低欲望社会になっている、つまりお金を稼いで贅沢をするという発想のない人が多くなっている現実を理解していないという点で、思えばバブルから30年近く経とうとしているので、消費の主役も代替わりしているのだ。また、インフレ目標を達成できなかった上に今度は非現実的なGDP目標まで持ち出して、達成不可能とわかっている財務省の役人たちがGDPの計測方法を変えようとしているとも書かれていたが、これが事実なら世も末だ。大前氏の指摘を考えると、中間層を増やすという民主党の政策の方がまだ消費を喚起する可能性があるような気がしてくる。日本の大企業が最近ますます海外の企業の買収を進めているのは成長性の高い海外の市場で足場を築くためとばかり思っていたが、大前氏によると、暴落する恐れがある円資産を海外の資産に変えようとする意図もあるそうだ。ということは大企業の経営陣も早晩アベノミクスが崩壊することを予想しているのだろうか。そうなると連立を組む公明党が消費税の軽減税率のことで政権離脱も厭わないなどと、それまでは考えられなかった強気なことを言い出したのも、経済政策の失敗を見越して首相と距離を置きたいとの思いがあるのではないかと疑ってしまう。(ちなみに大前氏は軽減税率は逆進性が高く、高所得者層により大きなメリットをもたらすと指摘している)「異次元の金融緩和」などと威勢が良かった日銀総裁が、「規制緩和が甘い」などと政権に責任転嫁を始めたときにはいよいよアベノミクスの先が見えたと判断していいかもしれない。

2016年1月2日土曜日

紅白

史上最低の視聴率を記録したというかつての「国民的」歌番組。実家で何気なく最後まで見てしまったが、歌っている歌手の背後に巨大なスクリーンを据えて意味不明な映像を流したり、歌手の背後でお笑い芸人を踊らせたりと、見るに耐えない演出が盛りだくさんだった。事前に紅白の関連番組を放映したり、人気の朝ドラの俳優や芸人をかつぎ出したのだから視聴率は稼ぎたかったのだろうが、それならなぜせっかくの歌を台無しにし、来年も見ようという気にさせないようなことをするのか。作っている当人たちが面白いと思ってやっているのだとしたら、民放で実績のある人たちと入れ替えるなどして番組を生まれ変わらせなければ、長期低落傾向は終わらないのではないかと思う。