2015年2月22日日曜日

リー・クアンユー

シンガポールのリー・クアンユー元首相が重い肺炎で入院したというニュース。聞けば御年91歳とのこと。企業を創業した人物は数多いるが、一つの国を作り上げた人物というのはそういないだろう。何年か前にスリランカを旅行したとき、訪問した南部の茶園のオーナーが、自らが経営するゴルフ場にやってきた若き日のリー氏とゴルフをしたときのことを語ってくれた。独立したばかりのシンガポールは当時まだ貧しく、内戦が始まる前のスリランカの豊かさを目にして、「いつかシンガポールもこの国のように繁栄させたい」と語ったという。正しい経営判断を続ける企業はどんどん発展し、誤った経営判断を続けるとどんな大企業でもいずれは落ちぶれてしまうが、国も同じではないかと思う。一人当りGDPであっという間に日本を追い越してしまった同国だが、リー氏のリーダーシップと同国の優秀な官僚たちがいなければ成しえなかったことだろう。

2015年2月14日土曜日

北陸新幹線

久しぶりの北陸。京都から金沢、富山と回り、飛行機で東京に帰ったが、金沢も富山もいよいよ来月に迫った北陸新幹線の開業で大盛り上がりで、金沢は駅周辺の地下道が整備され、西口側も見違えるようにきれいに整備されていた。一方の富山はまだ工事が続いていて、列車を降りてから臨時改札口にたどり着くまでずいぶん歩かされた。思えばこの数年間、富山駅は来る度に駅の入口が変わっている気がする。東京では昨年から北陸新幹線のテレビCMが流され続けていて、あれではこの冬に北陸を旅行しようと思っていた人が思いとどまるのではないかと思ったが、そのためか金沢も富山も観光客らしき人が少なく、ホテルも驚くほど安かった。東京に住んでいる者としては空港が遠い金沢へのアクセスがよくなることは有難いが、富山でお会いした人が大阪にはもう何年も行っていないといわれていたように、北陸新幹線の開業が東京への一極集中にさらに拍車をかけるのではないかと思う。そしてそれを強力に後押ししているのが大阪を本拠とするJR西日本であるのが皮肉に思える。

2015年2月7日土曜日

小麦粉商売

久しぶりの鳥取出張。訪問先の人にお土産に何を買ったらよいか聞くと団子を勧められた。京都をしのぐレベルの松江の生和菓子ならともかく、団子などというのはそれほど味に差が出るものとは思えない。もっといえば小豆も使わず小麦粉のみを原料とし、大した手間もかかっていないので相当原価は安いはず。以前、積極的に海外展開を進める大手うどんチェーンの人に、「原価はただみたいなものでしょう」とやや失礼な質問をしたら「はい」と素直に認めた。小麦粉しか使っていない食べ物は原価が低い分、粗利がとれるため、お客さえ入れば大きな儲けが出る。この団子も鳥取の定番のお土産とあっていちばん目立つところに陳列してあり、後で地元の銀行の人から作っている会社の社長は大変な大金持ちになっていると聞いた。しかし、すぐに原価を考えてしまうメーカー出身者としてはお金がかかっていないものに不相応な値段を払う気にならない。代わりに買った伊勢の赤福に酷似した栃餅は目立たないところに陳列されていたが価格が妥当で赤福よりもよほど美味しく、なぜこちらがもっと評価されないのか不思議だった。