2014年9月27日土曜日

クリエイティブ産業

ディズニーに勤める人とゴルフをご一緒した。ゲーム製作を担当されているとのことで、アナ雪のようなヒット作が生まれるとそのキャラクターを使ったあらゆるものが売れるという。映画、DVD、ゲームと“使い回し”ができるキャラクター物の商売は、こつこつと新しい製品を開発し続け、原価をかけて製造し、人手をかけて販売するメーカーにとっては実にうらやましい商売といえよう。しかもミッキーマウスのように陳腐化しないキャラクターであれば、長期的に収益をあげ続けることができる。日本でミッキーレベルの人気を獲得しているキャラクターはキティだろうか。先日洗濯バサミまでキティのものを使っているキャディーさんが、「キティは今年で40歳なんです。」というので、「ずいぶんおばあさんだね。」と冗談めかしていうと、「私も今年40なんですけど。」といわれた。もちろんネコ年齢のことをいっていたのだが…。キティショップはアイスランドの小さな町でも見かけたくらい世界的な人気になっているようで、このキャディーさんのような固定客を獲得して大きな収益をもたらしていることは想像に難くない。こうしたキャラクターものを好むのは女性が多いようで、ミッキーやキティのようなかわいい動物系が受けるようだ。くだんのキャディーさんが手ごろなサイズのステンレスボトルも持っていたので、「それいいね。」といったら「安かったから買いました。」といわれた。日頃は財布の紐が固い人をも緩ますキャラクターの力を改めて認識させられた。

2014年9月20日土曜日

スコットランド

スコットランドの独立騒動。当事者でもなく、同じような問題も抱えていない日本のメディアがちょっと騒ぎ過ぎだったのではないかと思う。投票の直前に某英国メディアのネットを使った世論調査で独立賛成派が反対派をわずかに上回ったのが一因かもしれないが、そうしたネット調査は往々にして世論を正確に反映しておらず、投票結果を見ると反対派が賛成派を終始上回っていたと見るのが正しいだろう。10年前に仕事で初めてスコットランドの最大都市グラスゴーを訪れたとき、ちょうどサッカーの欧州選手権が行われていた。夜、訪問先の人に連れられて様々なタイプのバーをはしごしたが、どこに行ってもサッカーの試合を放映していて、皆大いに盛り上がっていた。スコットランドは弱いので(失敬)、早々に敗退しているのになぜこれほど盛り上がるのかと不思議に思ったが、しばらくして皆、イングランドの対戦相手を熱心に応援していることに気づいた。スコットランドが敗退したら同じイギリス(UK)のイングランドを応援してもよさそうなもので、地元の人になぜイングランドの対戦相手を応援するのか聞くと、「敵の敵は味方(enemy's enemy is a friend)」と答えた。北海の油田の税収があればスコットランドは豊かな国として独立できるという話は当時からあったが、その後独立を党是に掲げる民族党が復活したスコットランド議会で政権を掌握し、今回の住民投票に至ったのも、その根底にはこうしたスコットランドの人々の反イングランド感情があったものと想像される。今回独立派が負けた形にはなったが、独立運動を盛り上げて住民投票を行ったことで中央政府から自治権の拡大という対価を受けるという“実”を得ることになったのだから、大したものだ。

2014年9月13日土曜日

気の治療学

お世話になっている施術師の勧めで買った本。人間の健康にまつわることが色々と書かれているが、食品添加物が人体に与える影響に関する記述が特に興味深い。現代人になぜがんや花粉症が多いのか。確かに昔の人との違いの一つは食品添加物を日々摂取するようになったことだろう。そして使用が許されている添加物が人体に与える影響は実は立証されていない(すぐに目に見える症状を起きないだけ)という。また、こうした添加物が使われている駅弁やコンビニ飯は素材本来の味がなくなってしまっているというのもまさに共感した。最近の若い人に味覚障害が多い(マヨラー等がそのいい例)というのも食品添加物が蔓延した後に育った世代だからだろうか。しかし、外で調理済みの食材を買う場合、添加物が使われていないものを探すのは難しい。こうしたものを食べると後で気持ちが悪くなる私は、なるべく添加物が少なそうなものを買うようにしているが、ない場合は食べること自体をあきらめてしまう。「食中毒を起こされると会社の存亡に関わるから」という発想かもしれないが、果たして食品添加物をじゃんじゃか使っている業者たちは“お客様”の健康を少しでも考えているのか、はなはだ疑問だ。

2014年9月6日土曜日

東海道新幹線

新幹線嫌いの私も名古屋や京都への出張があると仕方なく利用する。その度に耳にするオーストラリア訛りの英語のアナウンスに、長年東京に住んでいても北関東弁が抜けなかった母方の祖父母のことを思い出す。新幹線のアナウンスをしているのはドナというオーストラリア人女性で私も一度会ったことがあるが、JR東海がアメリカ英語ではなくイギリス英語を求めたのに対して自分はイギリス英語ができるといって仕事を受注したと聞く。「8号車」の8を“アイト”と発音する彼女の発音はイギリス英語とは程遠いが、おそらくJR東海の人にはそれがわからなかったのだろう。(自分たちで聞き分けられないのに、なぜイギリス英語を求めたのかは不明。)では彼女が嘘をついてまで仕事をとろうとしたのかというと、必ずしもそうとはいえない。というのもオーストラリア人の中には自分たちがイギリスの標準語を話していると本気で思っている人がいるからだ。アメリカ留学中にクラスメートだったシドニー出身の“ダイビッド”(デイビッド)など、自分たちは(アメリカ人と違って)クイーンズ・イングリッシュを話すと得意げにいっていたものだった。私の祖父母は東京に住んでいた年数の方がよほど長かったのに最後まで訛りが抜けなかった(栃木と茨城でお互いに相手が訛っているといっていたが、孫の私には区別がつかなかった。)そんな話を宇都宮出身の新聞記者の知り合いにしたところ、栃木の人間が訛りが抜けないのは皆、標準語を話していると思っているからだといった。(彼の親戚はU字工事の漫才を聞いて、我々はあんなに訛ってない、とU字工事とまったく同じ訛りでいうそうだ。)新幹線のアナウンスがオーストラリア英語というのは日本語のアナウンスが北関東弁であるのに等しく、イギリス人やアメリカ人からは大いに違和感があるといわれるが、中には「面白い」とか「親しみがわく」と感じる人もいるのかもしれない。しかしそれはJR東海が意図したことではないだろうし、長年使い続けているということはその事実にすら気づいていないのではないかと思う。