2017年2月25日土曜日

情報鎖国

シンガポールでイギリスBBCのテレビ番組を見ていると、日本の首相のアメリカ大統領に対する過度な「すりすりぶり」について補佐官が一生懸命釈明している様子が流れた。アメリカ大統領の問題ある言動にモノ申すこともなく、ただ追従する姿勢を示すのは世界的にみればみっともない行為だが、日本では首相の訪米を評価する論調が多いことに驚く。多くの日本人は尖閣の防衛で成果があったと思っているかもしれないが、そもそも当事国から助けを求められているわけでもないのに南シナ海の問題に口出ししたことで尖閣沖の領海侵犯を煽り、それに対応する術もないことを露呈するとともに余計にアメリカに庇護を求めなければならなくなったというのが正しい見方ではないだろうか。成果どころかその見返りに要求される内容によっては国益を損なう恐れがあるだろう。日本のマスメディアから外国情報が消え、ある種の「情報鎖国化」が進んでいるといわれるが、日本人が気づかないところで他国の人々と感覚のずれが生じて国が変な方向に進んでいってしまうのは避けてもらいたい。

2017年2月19日日曜日

食い逃げ

昨年の6月、それまで9年間にわたってパートタイムでやっていた北アイルランドの経済開発機関との契約が終了した。契約関係が終了したのを受け、セミナーの開催等、契約外の業務で発生した超過労働分の精算を求めたところ、発生時に請求がなかったので支払えないとの回答が来た。それまで「現在の契約では支払えないので次の契約で予算を増やすまで待ってほしい」と先延ばしし、さらにその契約を他の業者に与えながら、請求遅れを理由に精算を拒むという悪質さで、仮にもイギリスという先進国(北アイルランドがその中でいかに後進地域であろうとも)のジェトロに当たる機関が公然と『食い逃げ』行為をすることに少なからずショックを受けた。ところが10年以上前にフルタイムでこの組織の仕事をしていた人物によると、彼の在任中も日本人の女性職員を契約に定められた補償金を支払わずに解雇し、この女性が弁護士に依頼して督促状を出してようやく決着したというから完全な「前科者」だ。今回は金額が小さくなく、こちらが裁判にかかるコストを嫌って値引き交渉に応じると思ったらしく、今後この件について誰にも口外しないことを条件に和解交渉することを提案してきた。つまり自分たちが世間に知られては困ることをやっている自覚はあるようだ。こちらはそのような不合理な要求を受け入れる気はなく、値引きする理由もないので、お金は残らなくても裁判で決着をつけて彼らにしっかり恥をかいてもらうつもりだが、たいていの人は多少でもお金を回収できればとこうした不合理な要求でも受け入れてしまうものと想像する。司法は悪を懲らしめるためにあると思いたいが、救いを求めるためのハードルは意外に高いことを知る一件となった。

2017年2月11日土曜日

日本人価格

往復夜行便、現地一泊の弾丸シンガポール出張。夜は現地の企業オーナーの招きで美味しい海鮮料理を食べた後、同国でいちばん高級といわれるカラオケ店のVIPルームに入った。大理石の床に大きなコの字型のソファー、大型スクリーンのカラオケ機にプールテーブルまでついている広い部屋でサイコロ遊びに興じ、罰ゲームでずいぶんとブランデーを飲まされ、いい気分になってホテルに戻ったのは深夜。翌日、現地の日系企業の人にその話をすると、「あそこは一人1000ドル以上とられるので、日本人はとても行かれない」といわれた。いやいや招いてくれた企業経営者は一人350ドルとか400ドルといっていたので、さすがに1000ドルを超えるというのはないはず。シンガポールは高い経済成長で日本などあっという間に追い越し、今や東京以上に物価が高いところになったが、こうした価格があってないような世界で日本人客に対する「特別価格」が残っているのは過去の栄光の名残だろうか。

2017年2月3日金曜日

とばっちり

相変わらずトラブル続きの東京五輪。今度は我がゴルフクラブが女性の正会員を認めていないという理由で突然批判の矢面に立たされた。頼まれて会場を貸すことになったと聞いているので、わけのわからない評論家のおばあちゃんがしゃしゃり出て批判を展開する様に大いに違和感を感じる。女性の正会員を認めるか否かについて強い意見はないが、なぜ1年間もコースを閉鎖して会員に不便をかけ、改造の費用まで負担させておきながら、以前からわかっていたことを今になって問題にするのか。暑くて遠いことだって最初からわかっていたはずだ。この事態を受けて会員の間で女性正会員を認めるべきか否かについてメールが行き交っているが、個人的には頼まれて会場を貸すことになった経緯を明確にするためにも、批判ははねつけてもらいたいと思う。女性の正会員を認めるべきか否かについてはあくまで会員の自発的な議論で決めてもらいたい。