2016年12月31日土曜日

歴史は繰り返す?

今年の2大「まさか」はEU離脱を決めたイギリスの国民投票とトランプ氏が勝利したアメリカの大統領選挙だろう。いずれも排他的な思想で民衆を扇動した政治家が勝利を収めたわけだが、先月滞在したフランスでは同様に移民に非寛容な人物が保守党の大統領候補に選ばれ、社会党の分裂から、来年5月に行われる決選投票では極右の国民戦線のルペン氏との一騎打ちになる公算が高まった。そうなると右か極右かの選択となる。この傾向が来年選挙を控えた他のヨーロッパの国々にまで広がると、我々が想像しない事態に至るかもしれない。自国の問題を他の国や移民のせいにして当選した人たちは引っ込みがつかず、何をやらかすかわからない。多数決で決着がついた結果は受け入れるのが民主主義だが、この二つの「事件」については勝利した側がいっていたことのほとんどが事実でなかったのだから釈然としない。こんなことでは嘘ついたもの勝ちになってしまうだろう。

2016年12月24日土曜日

地方議会

新都知事が注目を浴びていることで、都民でもあまり見る機会がなかった都議会の様子が度々テレビで放送されるようになった。都知事の目論み通りにヒール役を演じる与党議員たちのおバカっぷりも、見世物としては面白い。所謂「セクハラやじ」が問題になったときも、都議会議員はそこまでレベルが低いのかと呆れたが、どうしてこんな人たちが選ばれるのかと考えてみると、やはり組織票が大きく作用しているように思える。東京は投票率が低いので、自らの組織に利益になる候補に集まる票がものをいう。都知事はそのことをよくわかっているので、政党復活予算を廃止したのだろう。与党議員たちが、よくわからない理由を述べて強く抵抗したことが、この制度が彼らの集票マシンとなっていたことを物語っている。しかし地方議会がダメなのは東京だけではないようだ。議員の政務活動費の不正受給が問題になった自治体は、報道されているだけでも兵庫県や富山市がある。知り合いの設計士の先生が岐阜に住む息子から、嫁が県議選に立候補するのを止めてほしいといわれたという。これまで政治に関わったことがない主婦が立候補したくなるほど、彼の県の県議会はレベルが低いのだそうだ。国会ほどメディアに取り上げられる機会もない地方議会にもう少しチェック機能を働かせることはできないものだろうか。

2016年12月17日土曜日

外交センス

案の定、ロシア側の完全勝利に終わった日露首脳会談。テレビで話題になっていた大遅刻は、より立場が弱い相手に対してそのことを知らしめるためにやる行為。ロシアが国際的に孤立する中、経済協力を餌に領土問題で譲歩を引き出そうという発想だったのだろうが、トランプ大統領の誕生で日本に譲歩する理由がなくなったことは素人目にも明らか。また、シリアやウクライナで冷徹極まりないことをやっている人物が北方領土の旧島民の声に本気で耳を傾けるかも明らか。さらに、自国の利益追求のために欧米諸国との協調を乱した日本に対する評価はどうなってしまっただろうか。大金をかけて国益を損ねただけとしか思えない。(首相自身がいつもになく一生懸命テレビ番組に出演して成果を強調しているのがそのことを物語っている。)先月はアメリカ、ヨーロッパと中東を駆け足で回ったが、どこの国の人も日本の首相が誰よりも先にトランプ氏の自宅に駆けつけて「信頼のおける人物」と評したことを知っていて、日本人として恥ずかしい限りだった。「日本はアメリカ国民が誰を選ぼうとすりすりしなければならない立場」と言い訳をしつつ、なぜ世界中で資質を疑問視されている人にわざわざ真っ先におべっかを使いに行って恰好の嘲笑の的となり、それを取り繕うかのように現大統領との真珠湾訪問を発表するのか。日本の外交センスはよく分からない。

2016年12月10日土曜日

無責任大国?

原発事故の処理費用が当初の見積額11兆円から21.5兆円に2倍に増える見通しという。オリンピックのときといい、誰が見積もって、どうしてこれほど大きく外したのか何ら説明も聞かれないし、マスコミもこの肝心な点には一切触れない。福島の事故の場合、発生前から津波の危険性が指摘されていたにも拘わらず電源を地下に置いたまま放置していた当時の東電幹部が罰せられることすらない。今や原発事故が発生することを前提とした対策がふつうに語られるようになっているが、事故が発生する可能性は限りなくゼロに近いといっていた人々はどこにいってしまったのか。また、今回の廃炉費用の見通しで原発はコストが安い発電方法といっていた説明が一挙に説得力を失ったが、そのようなことをいって原発を推進してきた政治家や御用学者には何ら説明責任はないのか。こんなやった者勝ち、いったもの勝ちでこの国は大丈夫なのだろうかと思う。

2016年12月3日土曜日

ビーガン

何年か前、高校時代にアメリカでホームステイしていた先の弟(所謂「ホストブラザー」)がビーガン(絶対菜食主義)になった。いかにもそれ系な奥さんの影響と思い、あえて理由を聞くこともなかったが、先月久しぶりにアメリカで会った際に「早死にの家系なので健康で長生きするために始めた」と聞いた。さらに糖尿病等の病気を併発して危険な状態にあった義理の母親もビーガンになり、薬も飲まずに健康になったと聞き、マクロビオティックで末期がんから回復した九州の人のことを思い出した。マクロビオティックも動物性のものを摂取しないという意味ではビーガン食そのものだ。このように食事で生死に関わる病気が治るとなると医者の商売もあがったりで、くだんの義理の母親がかかっていた医者は数値が改善しても、正常値に戻っても念のために薬を飲めと勧めたという。ただ、西洋医学至上主義の我が国では医者のいうことに従わないことは非常に勇気がいることで、先の末期がんだった人も、医者から見放されなければマクロビオティックを試すこともなかっただろう。日本の医者の中にもこうしたことに気づいている人はいるだろうが、それを口にすると異端扱いされ、商売にも響くといったところだろうか。