2015年12月26日土曜日

大成A案

「大成(建設のA)案でもう決まっているから。」業界では名の知れた知人の設計士が言った。それから程なくして新国立競技場のデザインがA案に決まったとの報道に触れた。この設計士はかねてから所謂入札案件も実は出来レースで、事前に誰が受注するかわかった上で他の企業が付き合いで参加すると言っていた。発注主が仕切る、形を変えた談合だ。付き合いで参加するのはもちろん自分の番が回ってくるからで、この設計士も自分の設計が選ばれないことがわかった上で協力するのだという。某公共放送を含むメディアが公正に審査されたかのような印象を与える報道を繰り返したことで、こうした裏事情はきれいに包み隠されたわけだが、敗れたB案の建築家が「さも最初からA案に決まっていたような印象を受けた」とインタビューで答えていたのには関係者もヒヤヒヤしたことだろう。くだんの設計士によると、一連のごたごたで世界の建築業界では日本はもはや一等国とは見なされなくなり、今回参加した建築家はザハ氏のデザインを選んだA藤何がし氏に比べて世界的な評価は高いものの、今回のデザインは予算を意識したことで大学院生でもできるレベルとのことだった。また、今回採用されている案でも言われている予算で収まることはまずありえないということだった。

2015年12月19日土曜日

社外取締役

生え抜きの人々による馴れ合い経営を防ぐとされる社外取締役制。テレビに登場する評論家も、それがあるべき姿との論調で語ることが多いが、以前食事をご一緒した自称‘独裁’経営者は「社外取締役など、全くもってナンセンス」と切り捨てた。「会社の事情やビジネスについてよくわかりもしない部外者が経営に口出ししても足を引っ張るだけ、スティーブン・ジョブズ氏がワンマンでなかったら今日のアップルはない」と述べた。過激にも聞こえるが、赤字会社を立て直し、年商数百億円の企業に育て上げた人物の発言なので説得力がある。私がかつて勤めていた会社はいち早く社外取締役を受け入れたが、知識も情報も時間も限られていて、なかなか有効な助言をするに至っていない印象があった。当時脚光を浴びていた自動車メーカーの外国人社長など、「経営目標を達成できなければ経営陣は辞任すべき」と威勢のいいことを言っていたが、自分の会社が目標未達に陥っても退こうともせず、社外取締役として言ってきたことの説得力が失われた。社外の取締役が部外者の目で色々と助言するのは有用な面もあるだろうが、経営責任まで負わせるのは酷で、基本はアドバイザー的な立場に留めるべきかも知れない。

2015年12月12日土曜日

雨男、晴れ女

冬の時期は晴れる日が少ない北陸への出張。なぜかこの日は雲一つない快晴。冬でもこんな日があるんだと独り言のように言うと、同行した協力先の女性が「私、晴れ女なんです。」といった。前回来たときは一日中雨が降り、立山連邦や白山は影も形もなかったが、今回はその絶景を拝むことができた。先月行われた大学のOB会のゴルフコンペ。予想に反して雨が降り出し、がっかりだったが、表彰式の時に挨拶に立ったOBの一人が「実は私は雨男で、会社の同僚とゴルフに行く時にいつも迷惑がられるんです。」と告白。確かに前回この人が参加した時も雨が降ったような。不思議なことだが、大学時代に山登りをしていた時からこうした話はよく聞く。本人が自覚するくらいだからよほどの確率と想像するが、気の毒なのは誰からも喜ばれない雨男・雨女だろう。いっそのこと、水不足で困っているところに行ってみてはどうかと思う。

2015年12月6日日曜日

爆買い

案の定、今年の流行語大賞にノミネートされた『爆買い』。たまにゴルフをご一緒する銀座の老舗宝飾店のマネージャーは、数百万円する商品を複数買って行くのは中国人か台湾人のお客さんのみと言い、大阪駅近くのドラッグストアでは店外に掲げられたバナーがほとんど中国語のみで、日本人はあまり歓迎されない雰囲気だ。名古屋駅前の店では中国語圏のお客さん専用と思しきレーンが設けられていて、長蛇の列ができていた。(他のレーンは行列もなく、すぐにレジを済ませられたのはよかったが。)中国人観光客の爆買いを批判的に捉える向きもあるようだが、日本人の多くが値段の安い輸入品を買うようになってしまった中で、外国人観光客が日本製の製品を沢山買ってくれることに何の問題があるのかがわからない。言われているように天安門事件以降に反日教育が始まったなら、その影響を受けた世代の人たちが日本に来ることで、学校で植えつけられた日本のネガティブイメージも変わっていく可能性があるだろう。(少なくともマイナスにはならない。)もちろん、そのためには買い物にせよ観光にせよ、日本が中国の人にとって魅力的な国であり続けなければならないが。