2010年1月16日土曜日

甲州ワイン

甲州ワインをイギリスに売り込むためにロンドンで大規模なテイスティングが行われたという。海外展開を試みる理由が国内市場で輸入ワインとの競争が厳しくなっているからという。アメリカのワイン産地でもっともおいしいといわれる小規模なブティーク系のワインは国内で消費される量で充足されてしまうので輸出にまわらないものが多い。海外に出して売れるほど競争力のあるワインであれば国内で十分に売れると思うのだが。

私は大のぶどう好きで季節になると山梨産のぶどうを買って食べるが、当地のワインを飲んでおいしいと思ったことはない。昨年能登を旅行した際に地元のワイナリーに立ち寄って試飲してみたが、やはり水っぽくてとてもおいしいといえる代物ではなかった。日本の風土はワイン用のぶどうの栽培に適していないという話を聞いたことがあるが、それが真実味をもって感じられた。実際に大手メーカーの中にはぶどうを海外の産地から輸入して国内の自社の醸造所でワインにしているところもある。

今回のイベントをワインの有名産地がある大陸欧州ではなく、イギリスでやったというのが興味深い。やはりワインの本場でやる勇気まではなかったのか。イギリスでは軽いワインが人気だそうで、味にこだわりのある国民でもないので(失敬)、物珍しさも手伝っていくらか売れるかもしれないが、美食家の国で同じようなイベントを開いたら立ち直れないくらい酷評されてしまうかもしれない。このあたりは主催者側も心得ているのか。

お茶の葉は緑茶も紅茶も烏龍茶も皆同じだとかで、最近は緑茶の価格が下がっているため国内のお茶農家でも紅茶を作り始めているところが多いと聞く。しかし鳥取で買った大山産の紅茶も、静岡の業者に頼まれて試飲した当地産の紅茶もまずくはないが海外の有名産地のものにはとうてい及ばない。逆にスリランカで試飲した緑茶は嗜好の違いはあるかもしれないが日本で売れるレベルではなかった。土壌による違いなのか製造の技術によるものなのか、あるいはその両方なのか。

世界中のものが流通する時代、土壌であれ、気候であれ、製法であれ、ほかの国にまねができない強みのある商品でないと勝算はないだろう。日本産のものだと価格も安くないだろうからなおさらだ。日本人が海外のおいしいワインの味を知ってしまった以上、甲州ワインの売れ行きが伸び悩むのは当然のこと。輸出にこだわるなら、むしろ食用のぶどうを近隣の国々に売ることに注力してはどうかと思う。