2009年5月18日月曜日

コスタリカ


サクラメントの後は中米のコスタリカに立ち寄った。なぜコスタリカにしたかといえば利用する航空会社が飛んでいること、それから何となくイメージがよいからといったところだろうか。相変わらずガイドブックももたない行き当たりばったりの旅行だが、行く間際になって大学院時代のコスタリカ出身のクラスメートに連絡をとり、見どころを尋ねた。

この元クラスメートによるとコスタリカは火山とビーチがいいとのこと。最近は年齢のせいか強い直射日光が苦手でビーチは避けるようにしているため火山へのツアーに参加することにした。おもな火山ツアーは私が滞在している首都サンホセに近いポアス火山に行くものと車で3時間半ほど北上したところにあるアレナル火山へ行くものの二通りがあり、私はホテルの人の勧めで溶岩流が見られて且つ温泉に入ることができるという後者のツアーにした。

サクラメントでホストマザーにコスタリカはアメリカ人観光客が多く行くところだと聞かされていたが、実際に火山ツアーに参加していたのもアメリカ人8人、メキシコ人4人、ウルグアイ人2人、ギリシャ人1人で東洋人は私一人だった。ツアーガイドが道路の横を流れる川が“コロラド川”という名前だと説明すると、アメリカ人の一人が真顔でアメリカのコロラド川と同じ川かと質問した。確かに地続きではあるが…。アメリカはもう少し地理の教育に力を入れたほうがいいかもしれない。

せっかく長い時間をかけて行ったのに火山は雲隠れしていて溶岩も見られなかった。唯一楽しめたのは温泉で、普通の川のように温水が流れてくるリゾートで3時間余りの時間を過ごした。深い緑に囲まれた場所で温泉につかるのは格別だが、川の流れが結構急で、日本であれば危険だという理由でこういうことはやらせないのではないかと思った。同国滞在中、日本人観光客には一人としてお目にかからなかったが、この温泉リゾートには日本人と同じく温泉好きといわれる韓国人のグループが来ていた。その中にいたおばあさんが上流の方で下着姿のままお湯につかって垢すりをしていたのには驚いた。

欧米を旅行するとホテルのバスタブが浅すぎて風呂に入る気が起きないことが多い。コスタリカも滞在しているホテルがシャワーだけだったので温泉に首までつかってリラックスすることができたのはよかったが、そのためだけに3時間半もかけて行く価値があるかといえばちょっと疑問。特に我々日本人であれば母国に火山も温泉もたくさんある。一方で温泉に行く機会が少ない欧米人は皆大はしゃぎだった。

私がコスタリカに来る前に描いていたイメージは、ジャングルやビーチなどの手つかずの大自然、軍隊のない平和な国といったポジティブなものだったが、同国出身の元クラスメートがいっていた通り、首都サンホセはこうしたイメージとはだいぶ趣を異にする。滞在初日の夜にホテルから2ブロックしか離れていないスーパーに買い出しに行こうとするとフロントの人に一人で行ってはいけないといわれた。そこで渡された観光客向けの注意書きにはこんなことが書いてある。

・貴重品は必ずホテルの部屋のセイフティボックスに入れる
・ホテルのフロントであっても持ち物から目を離してはいけない
・出かけるときは必ずフロントにもっとも安全な行き方を確認する
・タクシーに乗るときは必ず法律に準拠して営業しているか確認する
・現金の引き出しは人通りが多く明るいところにあるATMを利用する
・現金の引き出しは近くに誰もいないことを確認してから行う
・引き出したお金は金額を確認したら必ずしまってからATMを離れる
・迷子になったら周りの安全を確認してから地図を広げるか警察に助けを求める
・見知らぬ人の前で立ち止まってはならない
・車で移動するときは窓を閉めてドアをロックし、車内にものを置きっ放しにしない
・タイヤがパンクしたり、後ろからつけられたり追突されても決して車外に出ない

どんだけ危ないんだい!私が勝手に抱いていたコスタリカのイメージがもろくも崩れ去った。