2009年5月17日日曜日

サクラメント

2か月連続のイギリス出張。今年3回目の世界一周にして高校時代に1年間留学していたサクラメント郊外のロックリンの町を訪ねることにした。サラリーマン時代は何年かに一度しかホストファミリーのもとを訪ねることがなかったが、3年前にホストファーザーが他界してからは年に一回のペースでホストマザーのもとを訪ねている。

私が留学していた1980年代前半以降のサクラメント周辺の発展ぶりは目覚ましいものがある。当時は国際空港とは名ばかりの、ちっぽけなターミナルビルが一つあるだけだった空港には新しいターミナルが建ち、ネット予約の先駆けで機内も自由席という斬新な経営で成長著しいサウスウェスト航空がかつての大手航空会社を押しのけて圧倒的な便数を占めるようになっているのも時代を反映している。カリフォルニア州の州都であること以外、これといって特筆すべきことがなかったサクラメントだが、1980年代からベイエリアなどからの企業進出が進み、第二のシリコンバレーなどと呼ばれるようになった。周辺の町もどんどんと宅地開発が進み、ホストファミリーのところに遊びに行く度に道路の混雑がひどくなっている。

空港からサクラメントの北東40キロにあるロックリンへと車を走らせていると、目に飛び込んでくるフリーウェイの標識から留学時代の思い出がよみがえる。週末に日本語を教えていたナミオ君が住んでいたメリーズビル(ホストファミリーから彼が成長した後の写真を見せられ、26歳の若さで亡くなったことを聞かされたときはショックで言葉もなかった)、英語があまり得意でないカナダのケベック州からの留学生カールと小さな体にかかわらず1年間で20ポンドも体重が増えたタイからの留学生シャニカがホームステイしていたウィンターズ、ドイツ語の先生とクラスメートとレストランでパーティーをしたシトラス・ハイツ(後年、先生からこのレストランもなくなってしまったと聞かされた)…。

ホストマザーと話をしていると、私の同年代の人たちであれば今何をしているとか結婚して子供が何人いるだとかという話になり、ホストペアレンツの世代の人たちだと誰それが最近亡くなったといった話になる。やはり時は容赦なく流れているのだ。私と一つ違いのホストシスターと四つ違いのホストブラザーもサクラメント周辺に住んでいるが、ともに家庭をもち、それぞれの家族との生活があるので、私が行っても食事をともにするくらいになっている。私がこの地を訪ね、その発展ぶりを見届けられるのもホストマザーが健在なうちかもしれない。