2009年5月11日月曜日

水際作戦?


17日ぶりの日本。飛行機は定刻より早く到着したのに一向に下ろしてもらえない。「これから機内検疫を行う」とのアナウンスが流れ、しばらくしてゴーグルにマスク姿の検疫官がぞろぞろと乗り込んできた。とんだ歓迎だ。

WHOも疑問を呈する日本の水際作戦。島国ならではの発想だろう。致死率の高い危険な伝染病なら徹底的にやってほしいが、今回はちょっと違う気がする。何せメキシコ以外では死者の数が少なく、また、ほかのインフルエンザに比べて特に致死率が高いとか感染力が強いということもいわれていない。

家に帰ってテレビを見てようやく日本での大騒ぎの原因がわかった。7時のニュースの何と冒頭の15分間も割いて新型インフルエンザの話をしていたのだ。感染者が多数出ているアメリカやカナダの落ち着いた報道ぶりとは対照的だ。メディアがこうも視聴者の不安を煽るような報道をしていたとは…。特に公共放送の場合、海外のニュースのクリッピングを使って他の国でも大きく報道されているような話をするが、実際には数あるニュースの一つとして取り上げられているだけで、トップニュースですらない場合が多い。海外のニュースがリアルタイムに入って来る時代になったとはいえ、国内のメディアの影響力はやはり大きく、国民の間で要らぬパニックを作り上げることさえできることを再認識させられた。

日本のメディアが過剰?報道をしている要因としては、メキシコでの犠牲者の数が数十人にのぼっているからということがあるかもしれないが、新型インフルエンザと特定されるまで感染者の数を調べることすらなかったのだから、実際に感染した人の数は報道されている千人とか二千人といった単位ではなく、もっと何万人もいた可能性がある。3月にシアトルに出張したとき、メキシコからの出張者がインフルエンザにかかっていて、彼と接した人たちのうちの何人かがうつされた。皆かなりつらそうだったが、当の出張者は回復し、最終日にはぴんぴんしていたし、うつされた人たちも皆ほどなく回復した。彼がかかっていたインフルエンザが新型だったとしても今さら誰にもわからない。

感染者が千人でそのうち数十人が亡くなっているとしたらちょっと心配だが、何万人中数十人なら普通のインフルエンザと変わらないのではないだろうか。また、メキシコからの出張者が新型インフルエンザだったとして、彼と接した人のごく一部しかうつらなかったことを考えると(ちなみに私はセーフだった)、感染力も決して高くないことになる。さんざん大騒ぎをしてパニックを作り上げたメディアと国(厚生労働省)がどのようにしてこの騒動を収束させていくのか見ものだ。鳥インフルエンザのときのように何となく立ち消えにして人々が忘れるのを待つのか。鳥インフルエンザが終息したという報道はいまだに聞いていない。