2017年10月1日日曜日

栄枯盛衰

少し前にイギリスのケンブリッジ大学が中国当局からの要求に従ってウェブサイトに掲載されている天安門事件など中国関連の論文について、中国からの接続を遮断したというニュースを目にした。中国の監督当局からの要求に従わなければ、中国での業務全般に悪影響が出ると警告されたとか。同大は中国での子ども向け英語教材の販売が好調だというから純粋にビジネス上の判断なのだろうが、中国の言論統制が海外にまで及んできたことを象徴する出来事だった。ここまでは大学とはいえ、民間の一営利企業の話ともいえるが、中国ナンバー2の訪英でも女王が出迎え、人権問題の「じ」の字もいわなくなったイギリス政府の中国に対するすり寄り方も露骨なものがあり、この数十年の間に完全に立場が逆転したことを表している。とはいえ、イギリスは同じ島国でも日本に比べてよほど世界情勢に明るい人たちが政治を司っている計算高い国。我が国は彼らが取っている行動の背景を理解し、その上で自国の戦略を考えるべきだろう。