2017年8月5日土曜日

高値掴み

ベトナムの企業買収案件を紹介した関西の食品流通大手。紹介したベトナム企業は同国トップクラスでこの上ない組み合わせなのだが、既に昨年同国で同業を買収したのでしばらくは見送りたいと告げられた。同社の有価証券報告書によると、このベトナムの会社を買うのに30億円を超える金額を払ったようだが、当該企業はうちが紹介した会社より規模も質も劣り、10億円でも払い過ぎと思われた。さらにネットで調べるとこのベトナムの会社には私もホーチミンで面談したことがある同国の首相の娘が始めた会社がアドバイザーについていたことがわかった。このベトナムの会社の情報を開示してもらうのにお金まで払わされたというから、海外での企業買収に無知であることにつけ込まれてやりたい放題やられたことが想像される。3千億円でブラジルの会社を買って1千億円減損処理したキリンビール、6千億円でオーストラリアの会社を買って4千億円減損処理した日本郵政、6千億でアメリカの原発会社を買って7千億減損した東芝は論外としても、日本企業の高値掴みは相変わらずのようだ。買い手側である日本企業にもアドバイザーはついていたはずだが、買い手側のアドバイザーも買収価格が高くなればなるほど報酬が増えるので、適正価格で買わせようという動機づけは働きづらい。また、アメリカであれば経営陣は責任追及を免れないが、日本は官民ともにアカウンタビリティが欠如しているので緊張感も反省もなく同じことが繰り返されるのだろう。