2016年5月7日土曜日

オリーブオイル・ソムリエ

オリーブオイルでもう一ネタ。日本には「オリーブオイル・ソムリエ」なる資格がある。ワインのソムリエを真似たものであることは容易に想像がつくが、オリーブオイルの味や香りをワインと同じように品評するのはかなりナンセンス。ワインはブドウの出来もさることながら、醸造技術によって差が出るので、味や香りでその技術を評価するというのはアリだが、オリーブオイルは本来はオリーブの実を圧搾して作るオリーブの果汁であり、醸造品ではない。また、日本で流通している、精製品に味や香りづけしているものをいくら評価してもあまり意味がなく、それよりは生産の過程で加水、加熱、濾過などをせず、どれだけオリーブの果汁本来の味や香り、そして栄養価を残しているかの方がよほど重要だ(本来のオリーブオイルの生産工程を知っていれば、小売値で1本1,000円などといった金額で作れないことはわかるはず)。こうした資格が存在すること自体、この世界でいかに欺瞞がまかり通っているかを表しており、まじめに取り組んでいる小規模生産者にとっては嘆かわしい限りだ。