2016年5月14日土曜日

産地偽装

欧州産の羽毛を使っているとして売られている布団の多くが実は中国等のアジア産の疑いがあるとのニュースを聞き、またオリーブオイルのことを思い出してしまった。日本全国津々浦々、どこへ行っても‘イタリア製’を名乗るオリーブオイルが大量に売られている。イタリアのオリーブ生産量はスペイン、ギリシャに次ぐ世界第3位だが、日本の消費をまかなうような量など作られていない。方や、一大オリーブオイル生産地域である中東やアフリカ製を名乗るのものは日本では殆ど流通していない。当然そこには絡繰りがある。チュニジアからタンカーで運ばれたオリーブオイルがイタリアで瓶詰めされて、‘イタリア製’として日本に輸出されているのだ。チュニジア産のものの品質がイタリア産に劣るということはないだろうが、イタリア‘産’と思って買っている人は騙されていることになる。こうした欺瞞がなぜまかり通るのか。一つにはどこの国で生産されたオリーブの実を使っているかを調べる手立てはない(つまりはばれない)こと、もう一つはイタリア製といえば、中身も疑わずに喜んで買う消費者が大勢いるからだ。羽毛布団の場合は、わざわざ欧州を経由して日本に運ぶことはないだろうから、日本の輸入者・販売者が偽装を行っている可能性が高いが、オリーブオイルの場合は「イタリアから来たのでイタリア産と疑わなかった」という言い訳も成り立つ。被害者は思ったものと違うものを買わされている日本の消費者だが、彼らのイタリア産信仰がこうした問題を引き起こしている側面もある。