2016年4月30日土曜日

オリーブオイル

「頂いたオリーブオイル、苦みが強かったので食べるのをやめて乾燥肌に塗ってます。」エジプトから取り寄せている‘本物の’オリーブオイルをプレゼントした女性に言われ、日本人はすっかり‘まがい物’に慣らされてしまっていることを認識した。オリーブオイルはその呼び名から誤解されやすいが、種子から搾油するその他の植物性の油と違い、オリーブの実の果汁だ。オリーブの果汁には苦みがあり、苦みがあるオリーブオイルというのは‘本物’である証だ。では日本で流通しているオリーブオイルにはなぜ苦みがないのか?オリーブオイルの量産工場に行ったことがある人なら量産機にパイプがつながれているのを見たことがあるだろう。オリーブの実から効率よく果汁をとるために加水、加熱をするのだ。この工程でポリフェノール等の水溶性の成分は溶け出してしまい、味も損なわれる。また、使うオリーブの実の量が多い量産工場では、屋外で山積みにしたまま長時間放置する為、かびたり劣化したりする。その臭いを取るために精製が行われるのだが、そのために果汁が本来持つ味も香りも栄養価も失われてしまうのだ。これはオリーブオイルが体にいいと思って使っている人には残念なニュースだが、ふつうの植物油に比べて体に悪いということもないだろう。ではなぜ、こうした欺瞞が横行するのか。それは量産機を使わずにオリーブオイルを作るのには大変な手間と時間がかかり、商業ベースには乗りづらいからだ。うちが扱っているのと同じ作り方をしている会社が小豆島にあるが、ここのオリーブオイルは200ml入りで5,000円近くする。市販のもので満足している人に無駄な贈り物をしてしまったと後悔したが、肌に塗って使っているだけでもまだいい。市販のオリーブオイルを肌に塗るのはお勧めできない。また、本物のオリーブオイル(果汁)は飲んでも平気だが、市販のものは飲めば間違いなくお腹を下すだろう。