2019年6月16日日曜日

パシリ

案の定、何の成果もなく国費の無駄遣いに終わった首相のイラン訪問。米大統領の「パシリ」を買って出たときには冗談だろうと思ったが、実際に行ってしまったのを見てなぜ外務省は止めなかったのかと思った。「地球儀を俯瞰する外交」と銘打ってさんざん国費を使った割に10年経っても国連の常任理事国入りはおろか、公約の領土問題や拉致問題は逆に解決から遠ざかり、温泉接待までしたロシアからは経済協力をさせられた上に北海道へのビザなし渡航を要求され、何とかの一つ覚えのように圧力圧力と言い続けたあげくにアメリカに追随して対話路線に転じようとしたら北朝鮮にそっぽを向かれる恥晒しぶり。こうした自らの失策を覆い隠すために拉致問題が関心事でないことを知りながら来日した米大統領を被害者家族と引き合わせるパフォーマンスを行ったのだろうが、このことは自分にもはや解決能力がないといっているに等しい。ナイーブな日本国民の目を欺くといえば、最近の国会答弁で財務省が出した2千万円の個人貯蓄に関する答弁もいい例で、同庁が何の根拠もなくそのような数字を出すはずもないのにそれを否定するのは、自分の任期中に露呈しなければいいという彼の考え方を表しているのだろう。また、こうした都合の悪い話から注意をそらすためにか国会で質問に立った野党の女性議員に国民の年金は民主党政権時代に比べて40兆円増えていると答弁したが、これもまた国民の無知につけこんでの印象操作といえる。日本経済をけん引してきたのは彼の経済政策とは関係のない外需であり、彼がやったことといえば日銀が実質的に上場企業の「大株主」になるほど巨額の株式の買い入れを進め、安定運用が基本の国民の年金まで株式市場につぎ込む「禁じ手」だ。そのことで上がった株価を自らの経済政策の成果のごとく語るのだから欺瞞もいいとこ。日銀がさらに買い入れる余地は少なく、株価が下落したら年金も吹っ飛ぶリスクがあるが、これもやはり彼が政権の座にある間に起きなければいいという発想なのだろう。知り合いの文化人にこんな不誠実な人物が長年首相を務めていることについてどう思うか尋ねたところ、「同感だがほかにいい人がいるか」と聞かれた。そう思う人は多いらしく、世論調査でも「ほかよりよさそうだから」という消極的な支持理由をあげる人が多い。(不支持理由の筆頭が常に「人柄が信用できないから」ということに少し救われる。)どの政党でも構わないのでせめてもう少しまともな人間になってもらい、これ以上日本の恥を世界に晒すのだけはやめてもらえればと思う。