2018年8月4日土曜日

東アジア情勢

産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏の東アジア情勢に関する講演は実に興味深かった。毎日新聞20年、産経新聞20年という異色のキャリアをもち、アメリカの政権の内情にも通じている。何となく想像はついていたが、かの国の独裁者がそれまでの態度を一変させ、アメリカとの首脳会談を切望したのは、アメリカが『限定的手段』と呼ぶ、いわゆる斬首作戦を本当にやりかねないとビビったからとのこと。それで人質として取られていたアメリカ人を解放させ、朝鮮戦争で亡くなった米兵の遺骨を返還させたのだから、「最大限の圧力」と何とかの一つ覚えのように言い続けている間に完全に蚊帳の外に置かれてしまった我が国の首相とは対照的だ(さすがにピタッと言わなくなったが)。中国に対する姿勢も歴代の大統領の融和政策が明らかに失敗したとの認識からだそうだが、実際に行動に移すところも威勢のいいことをいうだけのポピュリスト首相とは対照的だ。ちなみに我が国のメディアは尖閣周辺の領海を繰り返し侵犯している中国の船を「公船」と呼んでいるが、実は戦闘能力がある立派な武装船だそうで、武力で一気に島を乗っ取るかはわからないものの、侵犯されても成すすべのない日本の施政権下にはないと宣言するのは時間の問題とのこと。日本を取り巻く国際環境は非常に厳しいものがあるという言葉が重く響いた。