2016年6月9日木曜日

第三者委員会

「第三者の厳しい目」で調査するとして、第三者ではわかりえないことの答弁まで拒んだ都知事。本人が選任したとなれば、どこまで第三者なのだろうかと思っていたが、調査結果を公表するとした記者会見を見てその猿芝居ぶりに呆れた。政治資金の使途について「不適切」と断じて都知事の行動を厳しく戒めるように見せつつ、どれも「違法性はない」と結論付けて、知事にその職に留まる道を与えた。まさしく本人が希望した筋書き通りだろう。このことで一連の知事の行動が違法でなかったとの前提で道義的責任のみ問う論調になってしまっているが、実は木更津市のスパホテルでの宿泊が単に家族旅行だったとしたら、収支報告書に会議費用と記したのは政治資金規正法の虚偽記載という立派な違法行為になるそうだ。つまり、違法性があるとすればこの一点であり、それについて宿側に聞き取りをする等、最低限の調査もしていないのだから、この第三者なる弁護士たちは知事の意のままに「無罪」の判断を示したとしかいいようがない。一連の行動を見て知事の人間性は誰の目にも明らかだが、いちばんがっかりなのは調査を行った佐々木善三と森本哲也なる弁護士がいずれも元検事であることだろう。いちばん調べなければならないことを調べもせずに、知事に都合が良い結論を出すなど、検事をやっていた人にはやってほしくないことだ。佐々木氏は元経済産業相の関連団体をめぐる政治資金規正法違反事件でもその無罪放免に尽力したというが、そんなブラック政治家御用達みたいな人が検事をやっていたなんて、この国の司法は大丈夫なのかと心配になる。