2012年10月28日日曜日

メイド・イン・ジャパン

久しぶりに見たNHKスペシャル。自分が取材を受けたこともあり、どのような出来上がりなのかが気になった。そもそも10年以上も前に辞めた会社のことをマスコミに話すのもどうかと思い、出張でほとんど東京にいないと伝えたが(これは事実)、出張先にでも出向くといわれ、結局逃げ切れずに?下関駅近くの喫茶店で会うことになった。実際に会って話をすると日本の大手メーカーのエンジニアが海外の競合に技術を売っていることも知っていて、窮すれば鈍するというネガティブスパイラルに陥った状況をよく理解しているようだった。私が入社した頃のソニーはひたすら市場シェアーを追って国内外で工場を新設し、ハードの販売に寄与するとの確信から大金をはたいてレコード会社に続いて映画会社を買収したが、こうした拡大主義、自前主義と独占の発想が、ソニーがデジタル時代の覇者になることを阻害したという考察は実に的を得ていると感じた。その後移った投資銀行でソニーの競合に出入りするようになり、そうした大手企業が自分たちが活かしきれないほど大量の理系学生を採用していることを知ったが、番組ではこうした大企業で思うような仕事ができない人たちが独立して起業している事例が紹介されていた。取材を受けている間、ポジティブなトーンでの番組作りをしたいという意図が感じられ、今の状況でそのようなことができるのだろうかと思ったが、実際に番組を見てみると私が業界との関わりを失ってから色々な動きがあって、必ずしも悲観することばかりではないと感じた。