2012年9月1日土曜日

参入障壁

「利益を必要最小限に抑えた価格で商品を提供することが参入障壁を築くことになる」商用で訪れた山口の会社の経営者がいった。設備産業なのでもともと人件費の比率は高くないのだが、イギリスに工場をもち、中国製品と競合する中でシェア1位を維持している。先日鳥取にある炉端焼きのチェーン店で元上司と一献傾けた。この店は安来発祥でその後山陰一体と東京にチェーン展開しているのだが、何年か前に同じ元上司に新宿店に連れて行ってもらった(といってもいつも割り勘だが…)ときと変わらないコストパフォーマンスの高さで、この日訪れた鳥取店も予約がいっぱいの盛況ぶりだった。特に山陰ならではのお造りのクオリティの高さとボリュームが際立っていて、チェーン展開してもクオリティが落ちないところに感心するが、メニューを見ると刺身の内容は書かれていない。つまりその日に入るいちばんいいネタを盛り合わせているようだ。飲食店は粗利率が高いので、固定費を埋めた後はほぼ丸儲けと元上司がいったが、ほとんどお腹いっぱいの二次会客用の割安プランも用意しているこの店を見ていると、いいものを安く提供することで目いっぱい稼働率を高めて十分ペイするような好循環が垣間見える。利益を低く抑えて参入障壁を高めるという発想は株主利益の最大化ばかりを論じるアメリカのビジネススクールでは教わらないことだが、なるほどと思える。