2012年4月7日土曜日

新世界


大阪に商用があるといっても通天閣を目にすることはまずない。訪問先はせいぜい北浜、京橋、道修町、博労町、心斎橋周辺で、泊まるのも梅田かなんばあたりだ。しかし今回の出張では富田林の高校の教員をやっている友人と食事をすることになり、彼の通勤経路でもある天王寺で待ち合わせることになった。

駅の周辺は何年も見ないうちに大きな公園ができるなど再開発が進み、ネオンの色調が変わった通天閣も以前より洗練されたように見えるが、新世界周辺のディープな雰囲気は昔と変わらず、タイムスリップしたような感覚を覚える。建設現場の柵の外面に明治か大正の頃の新世界の写真が飾ってあり、その当時いかに「新世界」という名にふさわしい繁華街だったかがうかがえた。往年の一大繁華街といえば東京なら浅草あたりになるだろうか。

友人と串カツ屋や将棋クラブが並ぶ一画を歩きながら、大阪に来たら一度は“二度漬け禁止”の串カツを立ち食いしたいと思っていたことを思い出した。ところが友人に話すと最近は胃がもたれるので揚げ物が食べられないなどとジジくさい(失敬!)ことをいわれた。天王寺で待ち合わせる相手などほかにいないので、また来る機会があっても串カツ屋体験はかないそうにない。

昭和の雰囲気が漂う古いアーケードの商店街を歩きながら、ふとこの風景を再び目にすることはあるのだろうかと思った。こうした昔ながらの風景がそのままであってほしいと思うのは、それだけ年をとったということだろうか…。