2011年11月5日土曜日

永平寺

零細サービス業者としてはついつい顧客層の多角化を図ることで経営を安定させようという発想になってしまう。このため紹介のあった案件についてはよほど採算に合わない場合は別として基本的に断らないようにしている。

最近提携先から紹介のあった福井の地元メディアから来年永平寺でスティーブ・ジョブズ氏の一周忌をやるのを手伝ってほしいといわれた。何でもジョブズ氏が禅に傾倒して一時は永平寺に出家することまで考えていたので、故人の思いを叶えるために考えついたという。そして副住職からは、寺側が持ちかけることはしないものの、遺族の依頼があればやってもいいとの感触を得ているとのこと。

はじめに依頼されたのは提案書づくり。しかも内容に関して何らインプットがなく、提示された報酬もあまりに少ない。そこでそのような金額では翻訳料にしかならないということと提案書のような商業主義的なものを出しては遺族の心証を害する恐れがあるということを伝えた。すると今度は遺族宛のレターを用意してほしいといわれ、報酬も引き上げられた。

提携先との関係もあるのでお引き受けしたが、思えば永平寺というのは我が家の宗派である曹洞宗の総本山。永平寺から直接依頼があればお布施代わりに無償でお引き受けしたのに。その見返り?にこれまでの人生で犯したすべての過ちを許してはもらえないだろうか…などとくだらない考えが頭をよぎった。

本件は商売的にどうだったかは別として、うちが曹洞宗であることを改めて思い起こすきっかけにはなった。それにしてもなぜご先祖は曹洞宗などというストイックな宗派を選んだのだろうか。私自身は南無阿弥陀仏と唱えれば極楽に行かれるような宗派の方が合っているような気がする。