2011年7月2日土曜日

節電の夏

小社の小オフィスにも「電力使用の15%削減令」のお達しがあり、家主である大手不動産会社から具体的な行動計画の提出を求められた。電灯、パソコン、空調など、そもそも最低限の電力しか消費していない我がオフィスで15%削減というのは容易なことではない。南側が一面のガラス張りで日中はブラインドを開ければ電灯がいらない明るさだが、空調を強くしないといられないくらい暑くなる。逆にブラインドを閉じてしまうと部屋の中が暗くて電灯を使わざるをえない。苦肉の策?として7月と8月に1週間ずつ事務所を閉鎖して在宅勤務にすることにした。

東京では駅もビルもすっかり節電モードで消えている電灯が増えたが何ら支障は感じない。むしろこれまで昼間から無駄に明るくし過ぎていたのではないかと思う。節電中の駅の雰囲気はヨーロッパを思い起こさせる。当地の人たちは自然光を多く使い、電灯で無駄に明るくすることがない。それに近年増えた駅のエスカレーター。お年寄りや体が不自由な方のためのエレベーターなら分かるが、健常者が少しでも楽するように使われるだけのエスカレーターに貴重な電力を使うのは甚だ疑問。そしてエスカレーターばかり使っている人たちはやがて生活習慣病になり、医療費の負担増に寄与することだろう。資源のない日本がなぜあそこまで無駄に電気を使うようになってしまったのか?原発に依存せざるを得ないくらい消費があったのか、それとも供給側が必要以上に消費を煽ったのか…。

村上春樹氏がカラルーニャで述べたことはもっともと思う。公共工事の名のもとに美しい国土を削って道路やらダムやらを造ったかと思えば、雇用を創出する産業がなくていよいよ困っている自治体に札束と引き換えに原発の立地を受け入れさせ、ついには国土の3分の1を放射能で汚してしまった。このような事態に及んでもはや「入るを量りて出づるを制す」が不可避であることがはっきりしているのに、国民の間に不安を煽って原発容認に世論を誘導しようとしているように思えるのは私だけだろうか。東電が保有している大量の株式や不動産を見ていったいあなたは何屋さん?と聞きたくなるが、その金満ぶりは原発利権の根深さをも反映しているのだろう。我々国民は二度騙されないようにしなければならない。

話を我が社に戻すと、事務所を一週間単位で閉鎖することで何か支障があるか同僚と考えてみてもあまり思いつかない。メールはネットのアクセスさえあればどこからでも出すことができるし、電話は転送可能。大企業でないので社内会議もなく、在宅の同僚とのコミュニケーションはスカイプで済む。来客はあるが、営業の人以外はアポイントをとってから来るので日程は調整可能、荷物の受け取りや発送も1週間分まとめてもほとんど問題はない。資料の印刷なども予めわかっている企業訪問のタイミングに合わせてやっておけばいい。そう考えると計画性をもつことでふだんからあまり事務所に来る必要はなくなり、事務所の代わりにどこか涼しいところで仕事をするのが最大の節電方法という気がしてきた。