2011年5月1日日曜日

ドルトムント


震災後、海外の友人・知人たちからずいぶん心配のメールをもらったが、3年ほど前にインドのタージマハール観光で知り合ったドイツ人からのメールは嬉しい驚きだった。デリーからの飛行機が悪天候で着陸できずに引き返し、空港でさんざん待たされた揚句、ようやく夜中過ぎに車で目的地に運ばれたのは忘れ難い思い出で、このとき同じ車に乗っていたのが彼だった。その翌年、大の相撲ファンである彼が息子と二人で日本に来ることになったが、あいにく私が出張中で会えず、それ以来連絡が途絶えていた。

偶然とは不思議なもので、彼からメールをもらったとき、何年かぶりにドイツに行く予定を立てていて、しかも彼が住むドルトムントに近いデュッセルドルフで週末を過ごすことになりそうだった。そのことを伝えると車で案内するのでどこか行きたいところはあるか聞かれた。ミーハーにも香川真司が活躍するドルトムントの町を見てみたいといったところ、「私はドルトムントで生まれ育った人間なので断言するが、この町に見所は一つもない!」といわれた。何と明快で潔いコメント。大学時代、名古屋出身のクラスメートが同じことをいっていたような…。

というわけでドルトムントはあきらめてベルギーとの国境地帯の町をめぐることになったが、その代わりに?彼が撮った香川の写真を2枚ほど送ってくれ、タージマハールに行ったときにも彼がものすごい勢いで写真を撮っていたことを思い出した。ドイツで会ったときにこのときの写真を保存したディスクをくれたのだが、デリー出発前に撮った空港の写真や振替輸送で手配された車の写真、さらには運転手がお客を待たせて腹ごしらえをしに行った沿道の食堂の写真まで几帳面に撮っていたことに驚いた(さすがドイツ人…)。

ドイツで彼と再会したときには香川はけがで戦線を離脱してしまっていたが、彼はドルトムントが香川なしでも勝てるチームになったといっていた。そして昨日(4月30日)、とうとうドイツ1部リーグで9季ぶりの優勝を決めたことをニュースで知った。何となく我がことのように嬉しくなって彼にお祝いのメッセージを送ったところ、すぐに「これも香川のおかげだ」と返事が返って来た。香川が引き続き当地でがんばってくれれば、いくら見どころがない町でも次回は行く口実になるかもしれない。