2010年7月24日土曜日

マンマ・ミーア

一年ぶりのエジンバラ。例年だとクライアントが町の中心部のホテルをとってくれるのだが、今回はなぜか空港近くのホテル。何のことはない、セントアンドリュースで行われている全英オープンと日程が重なり、観客がエジンバラに滞在しているためだった。ヒースローからエジンバラに向かう飛行機にはゴルフファンと思しき日本人がいつもより多く乗り合わせていたが、残念ながらエジンバラの空港で石川遼プロの姿を見かけることはなかった。

市の中心部で行われた会食の帰りに乗ったタクシーの運転手によると、エジンバラ市内のホテルが混んでいるのは全英オープンのためばかりでなく、あのロッド・スチュワートのコンサートが行われているためでもあるという。5月にベルファストから来日した50歳代のクライアントは帰国後の週末に奥さんと当地で行われるロッド・スチュワートのコンサートを見に行くのだと楽しげに語っていた。ロッド・スチュワートといえば私が子どもの頃によく聞いた名前だが、その後はほとんど聞かなくなった。

それにしても還暦を過ぎているであろうかつての大物スターが母国のある年代の人々の間で高い人気を維持し、いまだ現役で活動しているというのだから驚く。しかもジャズとかではなく体力の消耗の激しいロックだ。もはや新曲がヒットチャートを上ってくることも、日本などの海外で公演することもないだろうが、コンサートでの集客力を維持できるというのは大した過去の遺産で、そうしたレベルのアーチストはそう多くないだろう。

2年前、ニューヨークで人気ミュージカル“ジャージーボーイズ”を見たとき、会場を埋め尽くす団塊の世代と思しきおじさん・おばさんたちが主人公であるフォーシーズンズのヒット曲に熱狂する様を見て、若い頃に聴いた音楽というのは一生ものなのだと思った。ロッド・スチュワートもイギリスのある年代の人たちにとって青春時代を思い起こさせるアーチストなのだろう。私の年代にとってのロッド・スチュワートやフォーシーズンズは思い浮かばないが、イギリスに向かう飛行機の機内でブロードウェイで大ヒットした “マンマ・ミア”の映画版を見て、アバの曲はよく覚えていることに気づいた。わかりやすい歌詞と耳に残るメロディー。国境や世代を超えて愛されているという意味ではロッド・スチュワートやフォーシーズンズよりも偉大かも知れない。

アバの全盛期はまだ子どもだったのでコンサートを見に行ったことはないが、再結成して来日するなら見に行くかもしれない。しかしそれはかないそうもない。3か月ほど前、出張帰りに乗った飛行機で隣合わせたスウェーデン人女性によると、マンマ・ミーアの大ヒットでアバが母国でも再び脚光を浴びたが、ほかのメンバーが現役で作曲や歌手活動を続ける中、リードボーカルのブロンドの女性は完全引退してしまっているとのことだった。残念…。