2010年6月6日日曜日

新総理

今から20年余り前、当時通っていた都の西北の大学に菅直人氏がやって来た。革新系の議員として名前が知れ始めていた頃のことだが、大隈講堂の前の方に座って話を聞いていたはずが、その内容も、その後に行われた質疑応答の内容もまったく思い出せない。もっといえば政治家の講演会にそれほど興味があったわけでもない私がなぜこのとき足を運んだのかも思い出せない。当時社会民主連合で菅氏と政治活動をともにしていたゼミの先輩の故久和ひとみさんの関係だったかも知れない。

思い出せることといえばライトに照らされる壇上に座る菅氏の姿と、東京工業大学を出ていながらなぜまっとうに?エンジニアの道を進まずに好き好んで政治の世界などに入ったのだろうと思ったことくらいだ。そして国会議員4人しかいない革新系のミニ政党に所属するこの人物が総理大臣になる日が来ようなどとは夢にも思わなかった。何せ当時政治学の権威であった私のゼミの教授をして、想像しうる将来自民党が政権の座を降りることはないだろうといわれていた時代だった。

BBCでは3年で5人目、CNNでは2006年以降5人目の日本の首相と報じられ、国内の評論家も首相が代わりすぎるのはよくないといった論調が目立つ。確かに外交上マイナスな面はあろうが、国民が「失敗した!」と思っても任期中は代えられない国と比べてどちらがいいだろうか。それよりは前政権が対外的に約束したことを反故にしないことの方が外交的に信用を保つのに重要だろう。

市民運動出身としては初、世襲以外の首相も久しぶり、私の隣の選挙区だがいつも余裕で当選していたわけでもなく、野党時代が長かったのでずいぶん苦労もしているはず。浮世離れしている感じもなく、プラグマティックな考え方ができそうにも思える。首相の座を虎視眈々と狙い、実現したらやりたいことが色々あったやに聞くが、果たしてどれだけ政権を持続させ、それを実行することができるだろうか。