2009年10月18日日曜日

ハブ空港

ひと月あまり前に、所属している千葉のゴルフクラブのコンペで地元の地銀の前会長さんとご一緒した。この方は地元財界のトップで、あの森田健作知事の後援者でもある。一緒にラウンドをしている間に聞いた裏話がその後にニュースになった出来事と妙に一致しておもしろい。

まず不正経理問題。このコンペの翌日に健作知事が謝罪し、記者会見場に居並ぶ県庁の幹部職員に向かってこうしたことが行われていることを知っていた者は手を挙げろという様子がテレビで放映された。誰一人として手を挙げなかったが、前会長の話を聞く限り、誰一人として知らなかった者はいないはず。千葉県庁では伝統的に庶務が決裁権のある管理職の印鑑を一括して預かり、本人たちの代わりにポンポンとハンコを押しているというから驚く。監査はないのかとお聞きすると、もちろんあるが皆地元の慣れ合い業者とのこと。やれやれ…。

千葉県でも行政首長が財政の健全化に取り組むために地銀など民間から人を入れて行政改革に取り組もうとしたことがあるそうだが、部長職を減らすように命じたら別の中間管理職をつくって人件費全体が逆に膨れ上がってしまったというから笑える(千葉県民だったら笑えないか…)。

前会長はコンペの翌日に健作知事と成田空港会社の社長との会食をセットアップしているということだった。何でも石原都知事と個人的に親しい健作氏が千葉県知事に当選すると成田の国際線を羽田に持っていかれてしまうのではないかと心配した成田航空会社の社長が知事選挙で対立候補を応援したため、今になって健作氏との仲直りの場を設定してほしいと頼んできたとのこと。しかし当の健作氏は青春ドラマのスターらしく?そんなことは一切気にしていないという。最近健作知事が羽田の国際化を優先的に進めるという前原大臣の言葉に鼻息を荒げて反応しているのを見て、この会食は成田空港会社側の目的を十分に達成したものとみた。

羽田の国際化がもっとも国益にかなっていることは誰の目にも明らか。早く実現してもらいたい。ただ今回のハブ空港論議で一つ思い出したことがある。石原都知事が最初に知事選挙に立ったときに公約としていた横田基地の国際空港化だ。個人的にはこれが実現すればさらにありがたいのだが、“内際分離”の原則についてコメントする都知事の口からはもはや横田のヨの字も出てこなくなっている。アメリカとの交渉が難しいことは想像していたが、今度は千葉県知事が成田の既得権の維持に走り始めているので、しばらくは議論すらできる雰囲気ではないだろう。