2018年10月6日土曜日

ポピュリスト

自分に対する批判に感情的に反応する幼稚さ。そのときどきの都合でいうことをコロコロ変える軽さ。総裁選で何人もの議員にカツカレーを食い逃げされる人望のなさ。どこかの国の大統領と共通点が多いように見えるが、決定的に違うのはかの国の大統領が就任から2年経たないうちに(その良し悪しは別として)公約を実現しているのに対して、就任して6年経っても必ず解決するといっていた北方領土問題は相手にいいとこ取りされただけ、拉致問題に至っては完全に蚊帳の外に置かれるなど、進展どころか後退している始末。頼み綱の経済政策は安定運用が大原則の国民の年金を株式に投じる禁じ手を使い、日銀が並み居る上場企業の大株主になるまでお金をつっこんで「景気回復感」を演出したのももはや限界。人口が減り、経済の活性化を阻む不合理な規制を緩和しない(政権与党が既得権益を支持基盤としていることからすれば当然)中で経済成長など望むべくもなく、インバウンド頼み、ギャンブル頼みに走ってしまった。外交面では国会をさぼって外遊を繰り返して「頑張っている感」を出そうとしているように見えるが成果が見えず、旧来の見返りなきバラマキ外交の負担を負わされるのが国民であるのはいうまでもない。国防面ではポピュリストの本領を発揮して威勢のいいことをいっているが、経済力なくして国防は成り立たず、OECDの基調演説で「これからは基礎研究ではなく実践的研究の人材育成に力を入れていく」などと経済力の源泉の何たるかを理解していない発言をして出席者をのけぞらせたくらいなので、彼の長期政権のつけは必ずや次の世代にまわってくることだろう。何年か前に彼を評して「自分が政権にある間さえよければいいという考えの人」と評していた元銀行マンの評は実に的を得ていたと今さらながら思う。