2017年4月21日金曜日

中国

大学のOBの集まりで講演を行った石平先生の話は中国の人たちの考え方を知る上で興味深かった。彼の国に行くとあらゆる物のスケールの大きさに驚くが、人々が考える時間のスパンも我々日本人よりはるかに長く、戦前・戦中などごく最近のことのようだ。アヘン戦争以降の100年間を「屈辱の歴史」とし、それを清算して民族の復興(「華夷秩序」の回復)を果たし、再びアジアの頂点に立つのが目標で、何世紀にも亘って進んだ文化を教えてあげたのに西欧列強に追随してひどいことをした日本人は許せないのだという。戦時中大陸にいた祖父が日本兵の隊列を見て「東洋鬼」(トンヤンクイ)といった子供の口を親が慌ててふさいだという話を思い出した。さらに明治以降の日本はかつて進貢国だった琉球(沖縄県)を取り込み、韓国を併合して中国の影響から切り離したので余計面白くないらしい。南シナ海を軍事支配さえすればアジア各国は中国の軍門に下るしかなくなるため、アジアの頂点に立つためには今後も島の軍事拠点化は続けるとのこと。日本人は「国際協調」といった言葉を好むが、国際政治は力の論理というのが中国の理屈で、それを中国に教えたのはほかでもない西欧列強や日本だといわれると反論しづらい。また、中国の庇護のもとに暮らすのがアジア諸国民の幸せという考え方は韓国を併合した時代の日本の考え方に共通するところもあり、日本が「いい子」ぶりづらいところだ。中国によるアジア支配の最大の障害がアメリカの存在と影響力、そして日米同盟とのこと。米軍基地がある沖縄で“色々と”工作を行っているだけでなく、北京で琉球独立を主張する学者を集めた会議までやっているというから驚く。一方、アメリカにとっても太平洋戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争と、世界中でもっとも多くの血を流してきたアジアの重要性は変わらず、世界の他の地域から手を引いてもアジアから引くことはないため、今後は世界のどこよりもアジアで紛争が起きる確率が高いというのが先生の見立てだった。