2015年12月19日土曜日

社外取締役

生え抜きの人々による馴れ合い経営を防ぐとされる社外取締役制。テレビに登場する評論家も、それがあるべき姿との論調で語ることが多いが、以前食事をご一緒した自称‘独裁’経営者は「社外取締役など、全くもってナンセンス」と切り捨てた。「会社の事情やビジネスについてよくわかりもしない部外者が経営に口出ししても足を引っ張るだけ、スティーブン・ジョブズ氏がワンマンでなかったら今日のアップルはない」と述べた。過激にも聞こえるが、赤字会社を立て直し、年商数百億円の企業に育て上げた人物の発言なので説得力がある。私がかつて勤めていた会社はいち早く社外取締役を受け入れたが、知識も情報も時間も限られていて、なかなか有効な助言をするに至っていない印象があった。当時脚光を浴びていた自動車メーカーの外国人社長など、「経営目標を達成できなければ経営陣は辞任すべき」と威勢のいいことを言っていたが、自分の会社が目標未達に陥っても退こうともせず、社外取締役として言ってきたことの説得力が失われた。社外の取締役が部外者の目で色々と助言するのは有用な面もあるだろうが、経営責任まで負わせるのは酷で、基本はアドバイザー的な立場に留めるべきかも知れない。