2013年11月30日土曜日

神田

千代田区の三崎町と猿楽町の住所表示に、かつて冠していた「神田」をつけるかどうかが議論になっていると聞き、内神田で寿司屋をやっている親戚から聞いた話を思い出した。神田はもともと今よりも多くの町名が存在していたが、郵便の効率化のために内神田、外神田といった住所表示に変えることに同意した町と、それを拒否して旧町名が残ったところがあるということだった。内神田になったところも隔年で行われる神田祭では昔の町ごとに神輿が出る(うちの親戚が住んでいるところは確か旭町)。区内には「神田神保町」や「神田小川町」など神田のついた町名が残るので、自分たちも神田ブランドの恩恵に預かりたいということのようだが、三崎町と猿楽町はいずれも戦後まで神田はついていなかったというし、猿楽町などは元々神社に供える供物を作る田畑の意味の『神田』とは相いれない武家屋敷だったそうだ。今回もめているのはかつて町名の廃止に反対した町の人たちで、住民の気質が当時のまま受け継がれていると思うと面白い。ただ、子どもの頃から神田に慣れ親しんでいる私の感覚からいうと、失礼ながらそもそもそれほどブランド力がある地名とは思えず、住所表示に神田をつけたからといって実質的に何も変わらない気がする。