2011年12月17日土曜日

九州


今週は正味3日の旅程で九州を縦断した。もとは北九州と福岡を2日でまわる予定だったのが、これに別途訪問する予定だった鹿児島を加えて3日の旅程とした。以前は福岡に行くついでに鹿児島に足を延ばすなどという発想はなかったが、九州新幹線の開通で今は1時間半とかからず行かれてしまうのだから驚く。私が何年か前に訪れたときは人影もまばらだった指宿が観光客で賑わっているというから経済効果も大きいようだ。

今年の夏以降、セミナーや商談で繰り返し福岡と北九州を訪れているが、何度か通っているうちに町の歴史も産業も異なる両市がお互いを距離感をもって見ていることに気づいた。北九州といえば私の世代は小学校の地理の授業で習った一大工業都市。かつての製鉄の町も今ではすっかり様変わりしたが、福岡の便利なところに空港があるのに自前の空港と航空会社をつくるあたりに地元財界のプライドと結束力が感じられる。今年は初めて北九州市内に本店を置く銀行ができたが、これは山口銀行の九州にある拠点を統合したもので、当地に来ると福岡より海峡を隔てた山口県の方が距離的にも心理的にも近く感じられる。(写真は私が好きな門司港にあるホテルから眺める関門海峡)

福岡での宴席の後、夜の新幹線で鹿児島中央駅に降り立つと、南国とは思えない寒さに驚いた。後になって大陸からの寒波が九州南部までやってきていたことを知ったが、実は東京の方が暖かかったことを知り、7月に札幌に出張して意外に蒸し暑かったときと同様にちょっと損した気分がした。鹿児島中央駅は新幹線の開通に合わせて建てられたのか、立派な駅ビルになぜか観覧車までついていて、かつての面影がなかったが、駅前の「若き薩摩の群像」のみがこの駅が西鹿児島と呼ばれていた当時の名残をとどめていた。

東京の会社が九州で商売をとるには頻繁に通ってこちらの真剣度を示すとともに、地元愛が強い当地の人たちに自分と九州とのつながりをアピールするのが有効だったりする。福岡では私の4代前が黒田藩の商家の出であることがそれなりにアピールしたように思えるが(実は大分の出という説もあるが、これは大分に行ったときのためにとっておいている)、鹿児島でも同じことを聞かれてとっさにご先祖が鰹節問屋をやっていたと話した。実際に枕崎と取引をしていたかはわからないが、面談相手は満足げだったのでそのように思われたようだった。

こうした努力?が報われて九州でも少しずつ商売がとれるようになってきたが、いかんせん本州の大都市圏に比べて会社の数が多いわけでも、規模が大きいわけでもないため、ROI(投資利益率)は決して高くない。このため今後も商用で九州に通い続けられるかはどれだけ商売のフローを生み出せるかにかかっており、来年にはその結論が出るだろう。